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第十話:鏡輔死す!犯人はシルバ!?

え〜記念すべき?第十回目です。何か企画しようかと思いましたが・・・今回はやめておきたいと思います。この区切りのいいところで、感想をくれるとうれしいなぁ・・・と思います。

十、

 僕の目の前には喧嘩を始めるミストとシルバの姿があった。

「・・・たとえ、義妹といえど容赦しませんよ!」

「・・・望むところです・・ここで血霧に変えてあげますよ!」

 はらはらしている僕の左右では右にダーク。左にカオス・・・両手に花のこの状況だが、あの二人が喧嘩しているその姿のことで非常に心にショックを受けていた。

「・・・・二人とも、闘志の風でパンツが見えてるよ・・・・ぶーっ!」

「カオス!大変だ!鏡輔が鼻血を出して倒れたぞ!」

「そ、そんなときはレバーです!レバーを放り込んで輸血を・・・」

 どうしてこうなったのだろうか・・・それは、学校の昼休みから始まった。



 その日、僕は弁当を忘れてきた。

「・・あ、弁当忘れてきちゃった」

 その呟きに対してシルバ、ダーク、カオスは三者三様の答えを用意してくれた。

「・・・まぁ、自業自得ですね?校庭の草でも食べたらどうですか?あれはいけますよ?昔、よく食べてましたから・・・」

「ふむ、それは困ったことになったな。私は昼は抜かしているから必要ないんだが・・・鏡輔はそうはいくまい?購買で何か買ったらどうだ?」

「鏡輔君、それなら私のお弁当を分けてあげましょうか?ほら、今日は珍しくお弁当が黒くならなくてすんだんですけど?」

「いや・・・やっぱり購買で何かを買ってくるよ」

 僕はそういって教室を出て・・・・

「あ、先輩!」

「ミスト?どうかしたの?」

 目の前には可愛い下級生であるミストがかわいらしいお弁当を持って立っていた。

「・・・・ええとですね・・先輩の嘆くさまがなんだか想像できたので・・・今日の朝、先輩の分のお弁当を作ってきたんです」

 それって、既に予知能力じゃないのかな?龍ってそんなこともできるのか・・・と思うこともなく、僕はミストの手からありがたくその弁当箱をもらったのだった。

「ありがとう、ミスト」

「いえ、当然のことをしたまでですよ」

 そこへ・・・

「あ、鏡輔さん実は、私鏡輔さんの弁・・・ミ、ミスト!?」

 後ろから現れたシルバがミストの姿を見て固まる。

「・・・・先輩、それでは失礼させてもらいます」

 ミストはそういって俺に後ろを見せて歩き始めた。残された僕は教室へ入った。

「・・・シルバどうしたの・・・って胸倉掴まないで!」

 いきなり彼女は僕の胸倉を掴んでそのまま天井に着きそうなまでにあげる。

「・・・鏡輔さん・・・まさか、ミストまで・・・」

「ぐ、ぐるじい・・」

「質問に答えてください・・あの小娘に踊らされているんじゃないんですか?」

「ぐはっ・・・」

「・・・そうやって、逃げても何も変わりませんよ・・・」

 そのままだんだんと・・・そう、だんだんといつかの父さんが言っていた・・・いや、ノートに書かれていたおじいさんにあった気がした。


「よぉ、お前が輝の子供か?」

「ええと、あなたは?」

「わしか?わしはお前のひいじいちゃんじゃ。どうじゃ、このアロハ似合うじゃろ?」

「えーっと、確かに・・・」

「うむ、輝と違ってよい目をしておる・・わしはなぁ、最近天国を完全制覇してしまって暇だったんじゃが・・・地獄の完全制覇を目指しているんじゃ」

「完全制覇って・・・何のですか?」

「む、それはなぁ・・天使っ娘と悪魔っ娘のスリーサイズを完全網羅・・・わしの手にかかれば時間の問題じゃ・・・・」

「へぇ、すごいですね?普通はそんなことを考えませんよ」

「そうじゃろうそうじゃろう・・・ところで、おぬしはなんでこんなところにいるんじゃ?」

「あ、どうやら・・・やられちゃったみたいで・・・」

「なるほど、おぬしには龍の血がまだ覚醒していないようじゃのう・・あやつは既に龍の力を覚醒した状態で生まれたからのう・・・わしに任せてみろ!はぁぁぁぁぁ」

「す、すごい・・力がみなぎっていく・・・」


 目が覚めると、そこには少しばかり汚れた白い天井が広がっていた。

「・・・お、気がついたか?」

 隣にはダークが座って僕を見下ろしていた。

「大丈夫だったか?シルバさんが手を離すと同時に、意識を失ったんだぞ?」

「あ〜なるほど・・・」

 先ほどのおじいさんの表情を思い出しながら・・・・僕は立ち上がった。

「ん?もう体のほうは大丈夫なのか?」

「まぁ、大丈夫だけど・・・しかしまぁ、他の二人はどうしたの?」

「・・・・実はな、お前が気を失ってすぐに・・・教室の天井からシルバさんの妹さんが飛び降りてきたんだ。そして、木刀を引き抜いて彼女は『先輩に手を出す者ならば、たとえ、姉さんだとしても許しません!』と・・・その結果、シルバさんと妹さんは屋上で果し合いを行っている・・・カオスさんはその付き添いに行ってしまった」

 この状況、さすがにどうかと思うぞ・・・シルバ、君は僕より果し合いのほうが大事なんだね・・・とぼやいている場合ではない!ここは急いで屋上に向かわなくては・・・・

「ダーク!僕たちも屋上に行こう!」

「ああ、わかった」


 屋上ではにらみ合いがずっと行われていた。

「・・・・姉さん、先ほどあなたは私の契約者を一度殺害してしまいました・・・無念を晴らすため、私はあなたを倒します」

「・・・それがどうしたというのですか!大体、私の契約者です!私の力があれば組成だってできます!」

 やってきた僕の目の前で、そんなやり取りが続いていたのであった・・・


 簡単に説明すると、こんな感じになっていた。

「・・・さて、覚悟・・・・」

「望むところです!」

 ミストはその手に木刀を掲げ、シルバのほうは指を鳴らす・・・そこには大きな槍が握られていた。槍といっても、どうやら先のほうが練習用のなぎなたのような感じになっていた。

「・・・・面白そうな展開になってきましたねぇ・・・」

「・・・そうですね。ところで、カオスさん・・・止めるといってませんでしたか?」

「いえ、私は止めるなんて一言も言いませんでした」

「・・・そうですか・・・・」

 にらみ合いが続いたのだが・・・・お互いに同じタイミングで動き始める。

「・・・でぇぇい!!」

「・・・はぁぁぁ!!」

 木刀と槍が交差し、鈍い音を立てる。

「・・・まぁ、あれくらなら大丈夫だよね?」

 僕は不安を覚え、隣に座っている(カオスも座ってお茶を飲んでいる)ダークに尋ねた。

「・・・いや、あの木刀は姿こそ木刀だけど触れるだけで切れるんじゃないか?きっと、ただものじゃない・・・それに、シルバさんが持っているものも似たようなもの・・・つまり、両方真剣よりも危ないものって考えたほうがいいかもな」

「そんな殺生な・・・」

「私とて、そう思っているから・・・こうして、隙を伺っているのだ」

 そういっておせんべいを食べている彼女はどうかと思うぞ・・・僕も何か止めるように努力したいので彼女たちの隙を伺う。


それから、一時間後・・・・


「・・・あの二人、タフなんだね?」

「・・・そうだな、正直三十分ほどで両方とも力を使い果たすと思ったんだが・・・・見通しが甘かったか?」

 それも違うかもしれない・・・なぜなら・・・

「はぁ・・・はぁ・・・」

「ぜぇ・・・・ぜぇ・・・・」

 お互いに間合いを取って再びにらみ合っている。

「・・・よし、鏡輔行くぞ!」

「わかった!逝くぞにならなければいいけどね!」

「私はシルバさんをとめるから妹さんをお前はとめろ!」

 僕ら二人は走り出して彼女たちが再び間合いを縮める前に近づいたのだった。

「でぇええええい!!」

 ダークの雄たけびが聞こえ、シルバの持っていた槍を蹴り飛ばす。蹴られた槍はそのまま飛んでいき・・・・校庭のほうから爆発音が聞こえてきた気がするのだが、気のせいだろう・・・今はこっちに集中していないと僕のほうが危険だ。

「はぁぁぁぁ!」

 僕はミストの木刀を素手で掴んだ。無論、危険な刃の部分ではなく、ミストが持っている部分だが・・・・

「せ、先輩!?」

 前面からは危なかったので後ろから抱きつくように柄を僕の手中に収める。ついでに、抱きついているといっていいので・・・・なんだか、得した気分だ。

「ミスト、ストップ!」

「・・・・先輩、一度あの人に殺されたんですよ!」

「わかってる・・・だけどさ、何も君たちが争わなくていいじゃないか?ほら、僕はこのとおりぴんぴんしているからさ?」

「・・・わかりました・・・先輩がそこまでいうのなら・・・」

 そういってようやく刀から手を離してくれたのだった。まぁ、これで平和に終わりそうだったのだが・・・・

「・・・鏡輔さん、いつまで抱きついているんですか?」

「え・・・できればもうちょっと・・・冗談、冗談」

 ダークに取り押さえられているが、彼女は何をするかわからない。

「・・・まぁ、今回は先輩が無事でよかったから私は身を引きますが・・・姉さん、今後、先輩に何かするようであれば私はあなたを倒します」

 夕陽に向かって歩いているミストが姉であるシルバにそう答えた。

「ふん、自分だって初めは鏡輔さんを襲ったそうじゃないですか?あの時、鏡輔さんがくたばっていたらどうするんですか?」

「・・・私は姉さんと違ってそのようなことは絶対にしませんよ。命の恩人に普通は恩返しをするようですが・・・今日の姉さんの行動はどうかと思います。先輩、それではこれからも気をつけて生活してください。あと、やばいと思ったら大きな声で叫んで逃げるといいですよ。不審者は大体これで逃げますからね・・・特に、暗い夜道などは絶対に一人で帰らないように・・・・他のダークさんやカオスさんがいないときにはどのようなときでも、私が先輩の隣にいますから・・・」

「ふん!ミストに助けられなくても私がいますから結構です!」

 そういってシルバはミストがいるほうとはぜんぜん違うほうを見たのだが・・・僕としては途中は省略でいいとおもうけどなぁ・・絶対、途中からは男の僕が関係なさそうな話だったけど?

 去り行くミストは途中でこちらを振り返った。

「・・・・先輩、明日もお弁当を届けに来ます」

「・・・え、あ、そうなんだ・・・・ありがとう」

「いえ、これも私の役目ですから・・・・」

 そういって今度はまちがいなく、去っていった。


 その夜、シルバは機嫌が悪かった。

「・・・ふんっ!!」

「鏡輔、非常に居心地が悪いな?」

「・・・そうだね、だけど僕のせいじゃないような・・・」

「確かにそうですねぇ〜鏡輔さんは今日、くたばりましたからね」

 そんな話をしながら、僕たちは夕食の時間を過ごしたのであった。

「・・・しかしまぁ、あのミストって子・・・なかなかやりますね・・・」

「そうなの?」

「ええ、あの身のこなしに太刀筋・・・何より、あの刀が危険物です。簡単に説明すると、普通は存在しないような代物ですよ」

「そうなんだ・・・」

「ええ、これは注意が必要ですね。鏡輔さんを万が一、襲うようなことがあれば対処しないといけません」


 そういって、珍しくカオスがそのぽやんとした顔をすこしだけしかめたのであった。


さてさて、メモリアルの第十話・・どうだったでしょうか?前回、宣言したとおりにミストとシルバの関係を書けたと思っています。ミストの立場としては影からおせっかいに鏡輔を助けるような立場です。最近はシルバよりも目だっているような気がしますが・・・これはこれでしょうがないですね。メインヒロインなんて決めてませんし・・・・まぁ、終わり方はそのときになって決めることにしましょう!それでは、また今度・・・!(追伸 誰か、感想くれる方がいるならばぜひともお願いします!)

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