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エデンの王  作者: Palerider
擁立編
7/58

第六話 反撃

GW中にどうにか投稿成功。


 西暦二五七〇年/ブリストン暦四五六年 天秤(リブラ)の月(七月)二一日

 エデン防衛軍司令部



「状況を知らせ!敵の規模、侵攻速度、そして我が軍の配備状況を!」

 

 某アニメの作戦司令室そのまんまの部屋で、この部屋の指揮官を臨時に任されている男、レンディ・ホッパー大尉が指揮官席で怒鳴る。

 メインモニターに表示されているのは、いつもと同じエデンの簡易俯瞰図と、いつもと違う青い点、そして大量の赤い点。

 現状を一言で表すとしたら、次の様になる。

 

 ―――敵襲。


「都市南東部と南西部より魔族と思われる敵多数が接近中、推定一万五千前後。既に第一防衛ラインは突破され、第二防衛ラインの部隊が交戦中、劣勢との事。緊急展開部隊が増援に向かっていますが、もう間も無く突破されます。通常部隊にも緊急召集をかけていますが、動員可能となるまで一時間はかかります」


「ちっ、自動迎撃システムは稼動しているのか?」


「していますが、火力が足りません。魔族の展開する魔法障壁を破壊するには、最低でも二〇ミリクラスの銃火器を使用しなければ…」


AH-80(戦闘ヘリ)の発進を急がせろ!M2A3(戦車)A-20(攻撃機)はまだか!?」


「戦車は既に到着していますが、敵の攻撃が思いの他激しく、被害が出ています。第二防衛ラインが混戦状態の為、攻撃機では味方にも被害が出る可能性が高く、支援攻撃ができません」


「くそっ、彼等がいてくれたら…」

 

 管制官からもたらされる不利な報告に、レンディは歯噛みしながら、エデン最強戦力の不在を嘆く。

 

 その時、


「ホッパー大尉、エデン外から通信です。この識別コードは…、使節団護衛部隊に同行したゴースト隊の物です!」


「本当かっ!?マイクをこっちに回せ!」

 

 指揮官席の前にせり出したマイクを引っ掴み、レンディは頼みの綱の最強戦力に呼び掛ける。


「レックス大尉、聞こえるか?レックス大尉!」


『司令部、よく聞こえない。はっきりと言ってくれ』

 

 レンディの友人にしてエデン最強戦力ゴースト隊の隊長、アレス・レックスの声がスピーカーから流れる。

 通信状況が悪いのか、その声は雑音混じりだ。こちらからの声もよく届いていないらしく、レンディは息を吸い込み、腹の底から怒鳴る。


「こちらエデン防衛司令部。使節団護衛部隊、聞こえるか!?エデンは現在、魔族と思われる敵勢力によって激しい攻撃を受けている!至急、支援を頼む!繰り返す、こちらは現在、攻撃を受けている。支援を求む!」

 

 何とか一息に言い切り、ゼイゼイと深く呼吸しながら返答を待つ。

 果たして、数秒後、


『使節団護衛部隊指揮官代理のアレス・レックス少佐だ。防衛司令部、状況を知らせ。データリンク機能が失われている。そちらの状況が分からない』

 

 雑音が消えたハッキリとした声にホッとしながらも、レンディはキビキビと対処し始めた。


「了解、通信領域に情報を入力したデータファイルを乗せて送信する。今後は十秒毎に情報を更新していく。以降はこちらの指示に従い、都市防衛に参加せよ。……レックス、お前が少佐って?あと護衛部隊指揮官代理ってどういう事だ?」


『…色々と嬉しくない訳有りでな。そっちこそ、大尉のお前が何で司令部の指揮官をやってるんだ?バートル中佐は?』


「こっちも嬉しくない訳有りだ。後で説明する。とにかく、今はエデン防衛に従事してくれ!」


『了解、指示をくれ』






 エデンより三キロ地点



「作戦通り、南西部の魔族の撹乱はお前達通常部隊が、南東部には俺達ゴースト隊が向かう。行けっ!」


「「「「「了解ッ!」」」」」

 

 アレスの命令で、三〇人近い兵士と五台の装甲車、そして戦車が離れていく。 向かう先には魔族の大軍が黒い塊の様に存在しているが、先程の渓谷地帯の様な奇襲でも無い限り、長官の護衛部隊を任される程の精鋭である彼等が撹乱作戦程度をしくじる事は無いだろう。

 その場にはアレスを含め、AAを装着した四名が残された。


「さて、俺達も行くか」

 

 黒いAAを纏ったアレスが呟くと、他の三人は無言のまま、代わりにそれぞれの武器(ライルは二丁のサブマシンガン、ボビーは三〇ミリガトリング砲、メルピアは対物狙撃砲)をガシャリと鳴らして答える。


「作戦は特に無し。魔族の後方部隊を適当に削っていけば、充分友軍の助けになる。後は…」

 

 アレスは言葉を切り、自分の武器(二〇ミリアサルトライフルとマグナム)をガシャリと鳴らし、三人の部下達に背を向けて言う。


「ま、死なない様に」


「「「イエス、サー!!」」」

 

 部下達が獰猛にそれに答え、アレスを先頭に一気に駆け出す。

 AAに助けられたその走りは、短距離走者(スプリンター)どころか装甲車に匹敵する速度と迫力を持っていた。






「(もうじき、落ちるか…)」

 

 魔族の大軍の後方で、この魔族軍の指揮を任されている人間型の魔族の男が心の中で呟く。

 彼が主である魔王から命令された事柄は、この一万五千の魔族軍を率いて、異世界より現れた化け物共を滅ぼす事。

 この化け物共は二〇年程前にこの世界にやって来た存在で、この世界における人間達と同じ姿形をしている。

 彼等は正体不明の鉄の武器(この世界には銃が存在していない)を使う。妙な形をした杖の様だが、炎系統らしき魔法しか使えず、しかし人間にしてはそれなりに強力な魔法を、人間の軍隊としては有り得ない数の兵士、というか全ての兵士が使う。

 これは、通常の人間の軍隊としては有り得ない事だ。

 魔王は予てより彼等を危険視して来ていたが、最近になって彼等がこの世界の住人達の連合体に加入するという情報を掴み、遂に彼等を脅威と判断。連合加入の妨害と排除を命じた。

 この男がその任務を任され、一万五千もの大軍を率いてやって来たのだが…、


「ふん…、少々過大評価し過ぎの様だったな」

 

 魔族の軍勢は、奇襲が成功したという事もあったが、予想より遥かに順調に進攻を続けていた。

 異世界人達の使う魔法は人間にしては強力な部類だったが、魔族の魔法障壁を破壊するには少々弱く、魔族軍は全く勢い衰えず進む。

 途中で巨大な鉄の馬車、馬がいないのに走る馬車が現れ、取り付けられた巨大な杖(最早杖と言うより柱だったが)から恐ろしく強力で防御不能な雷系統の魔法を放ってきて、一時的に混乱したりもしたが、的が大きかったのでどうにか魔法をぶつけて何台か破壊できている。


「南西の部隊も、順調に進んでいる様だな」

 

 もうじき、この都市は陥落する。後は異世界の化け物共を皆殺しにすれば任務は完了…

 

 グシャッ

 

 そこで男の意識は唐突に、永遠に絶えた。






「偉そうな服を着た魔族…あれが指揮官かな?倒したよ」

 

 魔族の指揮官が頭部を失って死んだ場所から一・五キロの地点。

 立ったまま狙撃砲を構えたメルピアの報告に、万が一接近された時の為に隣に立つボビーが無言で頷く。

 それを横目に、メルピアはつまらなそうに続ける。


「先住民とか魔族との戦闘は何年も前からあるけど、エデンが直接攻められたのはこれが初めてだよね」

 

 喋っている間にも、メルピアはトリガーを引き続ける。その度に、一・五キロ離れた所にいる偉そうな服を着た魔族、部隊長クラスの魔族が頭を丸ごと失って死んでいく。

 一〇体程仕留めた所で、ボビーがゆっくりと口を開いた。


「今までエデンが直接攻められなかったのは、レーダーで事前に接近を感知し、エデンから離れた所に陣地を構築して迎撃していたからだ。それを行えなかったという事は、レーダーの故障かそれとも…」


「連中がステルス技術でも持ってるって事?…ちょっと不気味ね」

 

 黒くてカクカクした魔族の姿でも想像したのか、メルピアがブルリと身震いする。


「まあ、私達の仕事は敵を倒す事だ。その辺りは情報部が調べるだろう」


「そうね、自分の仕事に集中しましょう。…そういえば、ライルと隊長はどこ?」


「あそこ」

 

 ボビーが二箇所を同時に指差す。

 その二箇所からは、茶、黒、そして赤い煙が間断無く舞い上がっている。その煙の部分をAAの狙撃用超遠距離望遠モードで見たのか、メルピアがはしゃいだ声を上げる。


「あー、隊長~っ!頑張って~!」






 舞い上がる三色の煙。その中心地に、彼はいた。

 両手にはサブマシンガン。本来の得物である大振りのナイフは腰に差し、二丁の銃器で魔族達の中を舞う様に駆ける。

 後に残る煙は、茶色が土埃、黒が発砲した際の火薬の煙、そして赤が飛散した血飛沫だ。

 ライル・ティカッツが持つサブマシンガンは一四ミリ口径。弾の材質(重量)も弾速も全く違うのだから、威力はアレスの持つ二〇ミリ口径のアサルトライフルの七割、という風に単純な話ではない。それでも普通の人間が片手で扱える様なシロモノでは無く、威力と毎分四〇〇発という連射速度で、次々と魔族の魔法障壁を破壊し、その向こうの魔族の肉体に鉛弾(魔族に対して、特に銀の弾丸等が有効という報告は無い)を叩き込んでいく。

 魔族とて無抵抗ではない。

 崖での奇襲時の様な火の雨、青い雷、岩石、水流、風の刃等、様々な魔法攻撃を放って来る。

 しかしライルには全く当たらない。それどころか味方(魔族)を誤射してしまう始末である。

 彼等が無能という訳ではない。魔法そのものにも僅かながらホーミング性能がついている。

 なのに当たらないのは、とにかく速いのだ。

 この世界において地上最速の種族と言えば人狼(ワーロウルフ)型の獣人(亜人の一種)だが、AAを装着した人間の速度はそれを大きく上回る。


 圧倒的、一方的な殺戮。

 それを繰り返し、魔族を五〇体程屠った所で、ライルはもう一つの煙の発生源が近付いて来ている事に気付いた。

 その中心は、当然ながら彼の良く知る者だった。


「…流石は隊長だな…」

 

 ライルが思わず、といった風に呟くが、それも無理からぬ事だった。

 それは最早、殺戮という言葉すら生温い、「殲滅」という名の単純作業。

 走りながら撃つ、撃つ、撃つ、時折リロード、撃つ、撃つ、撃つ、という動作の繰り返し。それをただただ、人間離れと言うか人間には不可能に近い速度で行う。

 ライル自身も、自分の動きはかなり人間離れして来たと自負しているが、それでもあの次元には全く及ばないと断言できる。

 AA自体の性能は同じ(部隊長用AAは通信機能等が強化されているだけ)、武器の総合性能もほとんど違いは無い筈。だと言うのに、恐らくライルの三倍近い数の魔族を既に屠っていた。


「俺も、まだまだっ!」

 

 自分に気合を入れ、ライルは更に攻撃速度を速めるのだった。







 魔族後方部隊は大混乱に陥り、その波は最前線にまで伝播している。その結果が、無双中のアレスの元にも通達として届く。


『…こちらは防衛司令部。ゴースト隊、聞こえますか?応答して下さい』


「ゴーストリーダーだ、司令部、どうぞ?」


『ゴーストリーダー、直ちに撹乱作戦を中断し、安全地帯まで退避して下さい。間も無く航空機部隊が空爆を実行します』


「間も無くって、まだ空爆していなかったのか?」


『前線で敵軍と友軍が乱戦状態だった為、巻き込む可能性があったんです。そちらの撹乱のお陰で前線の敵も動きが鈍くなり、今しがた友軍の撤退が完了。A-20による爆撃が可能になりました』


「了解した、ゴースト隊は撤退を開始する。巻き込む心配はしなくていいから、今すぐに始めてくれ」


『了解』

 

 司令部との通信を終え、近くの魔族をマグナムで吹っ飛ばしながらアレスは部下達に呼びかける。


「今のを聞いたな?今すぐ爆撃範囲外に退避するぞ!」


『2、もう移動中です』


『3、既に安全地帯にいます』


『4、同じく』


「…お前等なぁ…」

 

 中々薄情な部下の返答を聞きながら、周囲数メートルの魔族を一掃したアレスは跳躍してその場を離れた。


 アレス達が撤退した数十秒後、細長い銀色の攻撃機が飛来する。

 この世界の住人(人間、亜人、魔族問わず、翼人種等以外)が空を飛ぶ方法と言えば、古代(エンシェント)級魔法である飛行魔法を使うか、飛竜騎士(ドラグーン)になるかしかない。その為、航空機などと言う物の存在など知る訳も無く、ただボケッと見上げるしかない。

 そんな魔族達の目がけ、攻撃機から黒い物体が多数投下される。

 ヒュルルルという独特の風切り音を立てながら落下する物体の正体を魔族達が悟ったのは、その物体が地面にぶつかり、地上に紅蓮の花が咲いた後だった。



…自分で見ても駄作だな…。展開ムリヤリだし。特に戦闘シーン乙。

どうか…どうか長い目で見守って下さい。

次章、やっと作品概要に書いた事をやる予定。やっと…やっとここまで…。

本文中に登場する戦車、戦闘ヘリ、攻撃機は全て創作です。実在の兵器の型番からして、いずれこれぐらいの番号になるかと…。

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