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二話  太い物より細い方が強そうなのは?

 俺と結衣の家は思っていたより近かった。結衣の家は俺の家より高校に近く、俺は知らずに結衣の家の前を通っていた。だから、あの後の事、朝は俺を自分の家の前で待っている結衣と登校し、帰りも結衣と一緒に帰っていた。

 でも、今日は高校の玄関に結衣は居なかった。俺が靴を履き替えて校門に向かって歩いていると、どこからか聞き覚えのある声が聞こえた気がした。最初は空耳かと思ったけど違うようで今度確かに聞こえた。聞いた事の無い声も混じっていたから声のする方へ向かう事にした。



 そして今、俺は校舎の影に隠れている。高校の玄関を出た後の聞き覚えのあった声は結衣だった。

 今どんな状況か説明すると、結衣の前には三人の男子が居る。その内の二人は一人挟むように一歩後ろに立っていて、背中越しで顔は見えないが体型は中肉中背で身長は俺と同じくらいだ。もう一人は結衣の正面に立っていて、見た目では90kgを超えているように見える。しかし、身長は両脇の男子とあまり変わらない。

 どっちかって言うとあの両脇に居る奴の方が強そうの見える。気のせいか?なんて事を校舎の影から顔を出しながら考えてたら結衣と目が合った。すると結衣の顔が明るくなった気がする。


「永~。丁度良かった、助けて~」


「何だ。誰か居るのか?お前ら、見てこい」


「ハイ、ハイっと」


 ちょっ、何で呼んだ!?そして何で来る!?どうしよう、俺、何も出来ねぇよ。

 こうなったら一人を不意打ちで何とかして、もう一人は……どうにかするしかねぇ。

 二人の影が近づいて来ている。一人が俺の前に姿を現した。

 喰らえ!空振り覚悟の右ストレート!


「うぉ!ちょ、ちょっと待てって」


「……へ?」


 その声に俺は急いで手を止めた。体重を掛けてなかったから簡単に止まった。


「別に俺達は喧嘩しようってわけじゃねんだよ」


 デブの両脇に居た二人が俺の前に来て小声で呟いている。


「じゃあ、何でこんな所に?」


「あのデブに付き合わされてな。あいつ弱い癖に威張っててムカつくんだよ。俺達が逆らえない事を良いように使ってさ」


「あいつは佐々木に何の話してんだ?」


 何か言われないように苗字で呼んでおこう。


「何でも告白とかだったけ?」


「あぁ、断られたけどな」


「そうなんだよ。諦めが悪すぎて俺達が帰れねんだよ。あのさ、あのデブどうにかしてくれよ」


「まぁ、佐々木も放っておけないしな……分かった」


「ありがとう、助かる。じゃあ、俺達は気絶したって事で、よろしく。あ、それとアイツはかなり弱いから楽だと思うぜ」


 そして二人は走って帰って行った。やっぱ、デブは弱いんだな。にしても気絶したって、いいのか?


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