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勇者酒場  作者: 古太十三


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9/12

9・裏通りの事情

初投稿の習作です。

お手柔らかによろしくお願いします。

推敲も重ねていくので随時、変更していく予定です。

基本は細かい修正ですが、今後のストーリーと整合性を持たせるためガラッと変更することもあります。ご了承ください。

地名はかなり適当なので変更するかもです。

とりあえずの終わり方はだいたい決まってるので、完走できるよう頑張ります。

感想など頂けると、とても喜びます。辛辣なもの以外で…

大男と2人の少女は朝食が終わり、食後の休憩をお茶を飲みながらまったりしている。

さてと。と大男、ウィリアムは小柄な相棒テュルソスを見ながら声をかける。


「ルー。今日はパンの販売は休みだ。俺は店の営業前にリンと話さなきゃなんねぇ。お前はどうする?」


問いかけられた少女は考える素振りを見せる。

しばらく眠たそうな目で斜め上をみていたが、ポンと手のひらを叩く。


「洗濯…。リンのものを全部洗う…。あと傷んでいるものの再修繕…。あれは許せない…」


勇者酒場の料理以外の家事担当はフンと胸を張りながらやる気を見せるが、表情は常に眠そうなのでいまいち、そのやる気は伝わってこない。

わかったとウィリアムは軽く頷くが、隣に黙ってられない人間がいる、目の下に少しくまをつくっているアイリーンである。


「ルーちゃん!駄目です!そこまでお世話になるわけにはいきません。それくらいは水場さえ貸してもらえれば自分でやります!それに、その…中にはし、下着なども、もにょもによ…」


最初はバンッとカウンターに手をつき、威勢よく立ち上がりながら、テュルソスに抗議したが最後の方は風船が萎むように、徐々に声も小さくなり椅子に座り直す。

顔を赤くし、俯きながらモジモジしている。

そんなアイリーンを見ながら、また胸を張りつつ、ドヤ顔でテュルソスは言い放す。


「友達の下着を洗濯するのは、友達として当然…!なにも迷惑じゃないし…、恥ずかしいことじゃない…」


それを聞いたアイリーンは、顔を上げ驚いたように


「そうなのですか?それが友達として当然なことなんですね!わかりました。友達として当然なら、私からも是非お願いします!ルーちゃん!」


と、ぱっと笑顔になりながら、どこか嬉しそうにルーに頭を下げている。

そんな訳ないけどな…と隣に座るウィリアムはなにも言わず、ただ苦笑いをしながら少女たちのやり取りを眺めている。

テュルソスもアイリーンの扱い方が徐々にわかってきたようだ。…クククッと悪い顔をしている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


さて、それぞれの午前中の予定も決まったし、あとは実行に移すのみ。

時間も有限である、素早く行動していこう。

まずは着替えのために、少女2人は奥の扉に向かう。

ウィリアムは昨夜、相棒が修理したばかりの、店の正面扉を開け外にでる。


(フン。良い天気だ!これなら洗濯物も直ぐに乾くだろう)


と空を見上げながら、[パンお休み]と書かれた張り紙を扉に張っている。

そして、大きい身体を屈めながら扉の横に置いてあったホウキを使い、店先の掃除を始める。

大小コンビが共用で使用する道具類は、小さい方のテュルソスが使いやすいサイズ感で選ぶようにしている。

なので大きい方のウィリアムがそれら道具類を使おうすると、どうしても、子供用を使っているようにしか見えない。

そんなこんなで、背中を丸めながらチマチマと店先の掃除をしていると、店前の裏通りを歩いている近隣住人たちがウィリアムに挨拶をしていく。

ここは裏通りといっても近くの商業地域への抜け道になっているので、通勤の為か朝の人通りはそれなりに多い。

住人からの挨拶にもぶっきらぼうながら、ひとりひとり、しっかりと返していく。

20年近く前にこの場所に引っ越してきた時は、ウィリアムの巨体といつもの不機嫌そうな顔に、近隣住民たちはビビリ散らし、新しい反社が住み着いた、あれは食人鬼に違いないなど、根も葉もない噂をされていた。

しかし、長年、不器用ながもご近所付き合いをしてきたお陰か、近隣住民はウィリアムの人柄はわかってくれたようだ。


[デカい体に怖い顔、無愛想で口も悪いが、案外良いおっさん]


ほぼ悪口のようだが、これが近隣住民たちがウィリアムにつけている評価である。

しかし、今でもウィリアムを初めて見た子供は、ギャン泣きするが…。


ウィリアムが店を構えるこの地域一帯は、元々治安があまり良くなかった。

引っ越し直後のこの辺りはゴミが散乱し、チンピラがデカい顔をしていたので、結果的に地域は荒れる。

そうしたゴミをウィリアムは、積極的に掃除し始めたのである。

最初は店も嫌がらせを受けたが、その度に足腰が立たなくなるまで相手をぶん殴り、時に話が通じそうな相手には、酒を飲み交わし説教したりもした。

そして、最終的にはこの辺りを根城にしていた反社集団を、単独で完膚なきまでにボコボコにして、壊滅させている。

その後はウィリアムが、この地域一帯の抑止力となって、治安を安定させていた。

現在では自浄効果もあり、地域住民が自警団を作ったりして、治安を守っている。

当時のことを知っている住民はウィリアムに感謝し、一目も二目も置いて、ウィリアムに頭が上がらない。

当時を知らない若者も、この大男の迫力と尾ひれが付いた武勇伝に半信半疑ながらビビリ、この辺りで悪さをして騒ごうとはしない。

今の常連客の中にも、過去にウィリアムが肉体言語を通じて話し合い、更生させてきた男たちも多い。

昨夜の暴れていた2人も、数年前はこの辺りでまだ悪さをしていたが、ウィリアムがしっかりと話し合いを行い、わかってくれた男たちである。

どんな話し合いをしたかはご想像にお任せするが…。

だから、昨夜のように暴れる客を追い返しても誰も文句を言わないし、言えない。

追い返された客も頭を冷やした後は、謝りながら必ず戻ってくるし、ウィリアムもそれを受け入れる。

この勇者酒場にはそういう事情があり、常連は居着くし、反社やチンピラは絶対に寄り付かないので安心して酔っ払うことができるのだ。


酔っ払いの味方 勇者酒場


いつも予定通りにいかない。解せぬ。

今回は少し短いですが、酒場周りのお話しでした。

次回こそは勇者関係の話がしたい…

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