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勇者酒場  作者: 古太十三


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4/11

4・弱肉強食

初投稿の習作です。


推敲も重ねていくので随時、変更していく予定です。

基本は細かい修正ですが、今後のストーリーと整合性を持たせるためガラッと変更することもあります。ご了承ください。

特に1.2.3話は変更しがちです。

地名はかなり適当なので変更するかもです。

とりあえずの終わり方はだいたい決まってるので、完走できるよう頑張ります。

星評価やリアクション、感想など頂けると、今後の励みになります。

改めて、よろしくお願いします!

「待たせたな。出来たぜ」


頭を抱え俯いていたアイリーンに、ウィリアムが声をかける。


おそるおそるアイリーンが顔をあげると、いつのまにかテュルソスはカウンターの修理を終え、自分の隣に座っている。

ナイフとフォークを装備して、すでに臨戦態勢である。


カウンター上にはとても美味しそうな料理たちが所狭しと並んでいる。

湯気が立ち、色とりどりの見たこともない料理。

スパイスもふんだんに使用してるようで、食欲が刺激されるものばかりだ。

また、お腹が鳴りそうになったのでグッと押さえ込んで我慢する。


「よし。準備はいいな。いただきます!」


一般的な食前の挨拶と共に、ウィリアムとテュルソスが猛烈な勢いで料理を食べ始める。

2人は頬を膨らませながら、どんどんと料理を食べ進めていく。

大皿に盛り付けられた肉料理がみるみる無くなり、2人はお互いのナイフとフォークで最後の肉を取り合っている。

すごい攻防だ…ウィリアムが優勢らしい。

聖騎士の御前試合よりも激しいかもしれない…そろそろ決着が付きそうだ。

速すぎて常人では目で追う事は出来ないが、一瞬の隙を突いた…テュルソスの勝利だった。

肉を刺したフォークを高々ともち上げて、勝ち誇っている。

その横ではウィリアムが悔しそうに項垂れ、泣いている。

よっぽど悔しかったのだろう…よい大人のはずだか…

そんな2人を呆然と眺めているアイリーン。

それに気付いたテュルソスが最後の肉料理を頬張りながらアイリーンに声をかける。


「モグ…食べないの?モグ…美味しいよ?モグ…それに食事は弱肉強食…モグ…強いものがよりたくさん食べられる。モグ…それが世界の真理…ゴクン…」


「おい!食い物を口に入れながら喋るな!」


ウィリアムが怒っている。


「えっと…はい…こんなたくさんの料理見たのは久しぶりで…ちょっとびっくりしちゃって…」


と、アイリーンは恥ずかしそうに笑う。


「なんだ?教団はまだ清貧こそ尊いだのなんだと言ってやがるのか?だから、嬢ちゃんはそんなガリガリなんだよ!飯を食え飯を!炭水化物こそ神!それが世界の真実だ!」


ウィリアムは教団批判と邪神崇拝とも取れかねないことを言いながら、焼飯料理をお皿に盛り付けてアイリーンに無理やり渡す。

それを受け取ったアイリーンは小さな声で食前の聖句を唱え、おそるおそる料理を口に運ぶ。

ウィリアムとテュルソスはじっとその様子を見つめている。

手と口は常に動いてなにか食べているが…


「あっ…お、美味しい…。す、凄く美味しいです!」


それを聞いたウィリアムとテュルソスはドヤ顔で頷きあう。

その下では最後の揚げ物を取り合ってはいるが…


そこからはテュルソスもアイリーンに料理をどんどん盛り付けてくれた。

あれも美味しい、それもおすすめ、これは食べるべき…と。

なにやら強者の施しとかなんとか、ノブレス・オブリージュがどうたらと、フンフンと鼻を鳴らしながら語っていた。

今日だけは特別らしい。

たくさん食べて強きものになれとアイリーンを励ましていた。


楽しい晩餐は続いていく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


食事も終わり、ウィリアムとテュルソスは後片付けをしている。

自分も手伝いを願いでたが、一応お客にそんなことをさせられないと、断られてしまった。


なんとなしに、2人の後ろ姿を見ていたアイリーンは、ポコっと膨れたお腹をさすりながら思う。


(久しぶりにお腹いっぱい食べた気がする。なんだか、村のお祭りみたい…楽しいな…村のお祭りを思いすなぁ…

お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、ジョンとメイ。

また会いたい…また一緒にご飯を食べたいなぁ)


アイリーンの瞳から一筋の涙がこぼれる。


ハッとして慌てて涙を拭う。

目の前の2人はこちらに背を向けている。

気付かれていないはずだ。

教団に入信し、封印術を学び、教団における封印の巫女の使命を知った。

そして、巫女候補となった今、涙も全て神にのみ捧げるべきものである。

自分のために流す涙はもうない。

敬虔な信徒であるアイリーンは神に赦しを乞う。


(飽食の誘惑に抗えなかった卑しく、そして涙を流す、この弱い子羊をどうかお赦し下さい。私のすべては神のお導きのために)


「なんだ?また祈ってるのか?敬虔なこって」


祈りが終わり、視線を正面に向けるとウィリアムがちょうど暖かいお茶を差し出してくれていた。

それを有り難く頂戴する。


よっこいしょ。とウィリアムがエプロンを外しながら、アイリーンの横に腰掛ける。

隣に座られただけで凄い圧だ。

やはり、リキーシ並みの巨体なだけはある。


「まぁ、さっきも言ったが、詳しい話は明日で良い。まだ猶予はあるんだろ?今日、明日でどうにかなる事態ではないはずだ」


(さすが元勇者様です。大体の事態を察しておられる。状況分析もおそらくお済みなのでしょう)


とアイリーンはウィリアムに対する評価を上方修正する。

粗暴に見えてなかなか頭も切れるのだろう。

どちらがこの人物の本質なのだろう。

今まで見たこともない、激しい怒りを露わにする粗暴な人物かと思えば、教団の研究者のような深慮も匂わせている。

立ち振る舞いもどこか高等教育を受けた、聖職者にも似た理知的なものも感じる。

元勇者ならば、もちろん元聖騎士でもあるはずだ。

元聖騎士ならば、ある程度の教育を受けているが、それとはまったく違う気がする。

教団の聖騎士は、お世辞にも理知的とはいえない…。

そう彼らはほぼ例外なく皆、脳筋なのだ。


(不思議な人だ。)


アイリーンは心の中でひとりごちる。


ガチャ


奥の扉が開かれ、そこからテュルソスが現れる。

そういえば、いつの間にいなくなっていた。

トコトコとアイリーンに近づいてくる。

そして、アイリーンの服の袖口をつまみ、アイリーンを見上げながらいつもの抑揚が少ない間延びした口調で。


「客間の準備が終わった…。寝る前に一緒にお風呂入る…」


…ん?


次回はお風呂回♫

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