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うた

作者: 祁答院 刻

旅路をふみしめる人は 知らず知らず

足あとのそばに 小さな落とし物をするから

覚えのない種が どこか遠くで目をさましたりする

お別れした場所に お別れした時代に


そうして咲いた花は やがて()()とよばれ

根をはった風土で もう一度かわいがられる

わたしはまだ 振り返ることをしない

未開拓の大陸を捜し 未開拓の美意識を捜し


それでも疲労につきとばされて 後戻りした日は

耳元に その花が揺れていることだろう

幼いうわごとに こころを寄せ

自分の寝顔を はじめて見つめられる


あれは ペンを持つ前のふるい記憶

はじめて 「アジア」の言葉をきき

日本がふくまれることが 誇らしかった

暮らしの規模が 一皮剥けていた


()()とよばれる わたしの断片たちは

わたしから剥かれたために わたしに出会う

だから今日も ありがたく机にむかおう

ペンを持てるかなしみを 生かすためにも

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