王妃の豹変
誤字脱字日本語がおかしいなどあまり気にしないでいただけると嬉しいです。
私が目を覚ますと見慣れない天井とナンシーが目に入った。
「奥様!目を覚まされましたか?」
「えぇ。ここはどこなの?」
「王宮の一室です。あの後医者を呼んだんですが、傷がひどくて王宮でないと治療はできないと言われて…。」
「そうなの…。でも、よく急に王宮に来られたわね。暇ってわけでもないでしょうに」
「旦那様が説得したんですよ。あの時の旦那様は必死でしたから国王陛下もいいと言ったんでしょう。」
「私をあれだけ疑っていたのにね…。少し、1人にしてくれる?」
「わかりました。」
私は、もう何も考えたくなかった。
これからどうなるかも、あの子をどうするかも
そして、少しぼっーとしているとナンシーが入ってきた。
「奥様、国王陛下がお呼びです。」
「わかったわ。」
「手伝います。」
そうして、私は国王陛下の元へ行った。
「失礼致します。」
「入れ。」
私が部屋に入るとアーレスト様にトリシオン様、王妃様まで勢揃いだった。
「お待たせしました。」
「大丈夫なの?アテネーちゃん。」
「えぇ。まだ痛みますが…。」
「そう。謝ってすむことではないけれどごめんなさいね」
「えぇ。」
「それより、どういう事だ?アーレスト。
なぜ、妻に剣を向けた?」
「アテネーの産んだ子供が黒髪だったからです。アテネーと兄上の不貞を疑って、問い詰めても違うと言うので足を切ろうとしました。
そうしたら、急に侍女がきてそれをアテネーが庇って怪我をしたのです。」
「おい、俺はお前の嫁と不倫なんてしてねぇよ」
「なら、なぜ黒髪の子が生まれるんです?」
「じいちゃん似なんじゃないのか?」
「そんなことあるはずがない。どうせみんな兄上の元へ行ってしまうんだ。」
「どうしてそんなことが言えるんだ?」
「それは…。」
「まて。それでは埒があかん。魔道具を用意してある。これで血縁関係を調べられる。」
陛下が、私の産んだ子供の髪とアーレスト様の髪を魔道具に入れた。
すると、魔道具の色が緑色から黄色に変わる。
「これではっきりした。その子の父親はアーレストだ。間違いなく。」
「本当に…?」
「あぁ。」
「なら、僕はアテネーになんてことを…。」
アーレスト様が座り込む。
「旦那様、お立ちください。私は、潔白が証明されただけで良いのです。」
「すまないアテネー。僕は君に…酷いことをした。僕は、昔母に言われたんだ。
お前みたいな子は捨てられるって。
そんな昔のことを信じて僕は君を傷つけてしまった。僕との子を産んでくれたのに…。」
アーレスト様の目に涙が滲む。
「いいんですよ。旦那様。誰も死んでいませんし…」
「これで不倫疑惑は無くなったけど結局なんで黒髪が産まれたんだろうな?」
「もしかして旦那様、本当は黒髪なんじゃないんですか?旦那様は国王陛下のご子息ですし、可能性はありますよね。」
「違うわ!!」
大声で叫んだのは王妃様だった。
「その子は、産まれた時から金髪なのよ!!
私に似てね!そうよ。絶対そうなのよ。」
王妃様はぶつぶつと呟き続ける。
「トリシオン、魔法解除の結界をこの部屋に張ってくれ。」
「はいはい。」
「やめなさい!トリシオン!!」
王妃様が止めるのも聞かずトリシオン様が結界を張る。この国で結界を張れるのはごく一部の人間しかいないので私は初めて見た。
すると、アーレスト様の金髪が黒髪に変わっていった。
「なっ、マジで黒髪だったのか」
「やめなさい、やめなさい!やめなさい!!
私の恥を晒さないで!!!!」
「旦那様に鏡を用意して」
「わかりました奥様。」
アーレスト様が鏡で金髪から黒髪になった姿見を見る。
「これは…黒髪。これまで魔法で染められていたということか。」
「やめて!!これは私の恥なのよ!!!
お前がお前がいなければ!!!私は完璧でいられたのに!!!せめて、バレなければ!」
「どういうことだ?王妃ヘレニクス。答えよ」
陛下が問い詰める。
「私の実家では、長男は父親の髪色、次男は母親の髪色であると決まっておりますの。
そうでないと我が家は衰退してしまうの!!!
それなのに、そいつは!!父親の髪色で産まれてきたのよ!!!!その決まりを破ると家紋は衰退してしまう。そう思ってそう思って……。」
「私に会わせる前に魔法で髪を染めたのか」
「えぇ、そうですよ。
こんなことになるなら産まなきゃよかった!!
そいつなんて、ただの落ちこぼれよ!!!
親の望み通り生まれてくることもできないね!
息子なんてトリシオンだけでよかったのに!!!こんな所でバレるなんて!!」
「それでアーレストにあんな変な思考を教え込んだのか?!」
「だって、私はその子のせいで不幸になったのにこの子はのうのうと生きるなんて不公平ではないですか!!!!!
お前みたいな卑しい子は大事な人も愛する人も全部兄に取られてしまうとね!!!
だから、そういう人は閉じ込めるのよともね、
その教えに従ってアテネーを閉じ込めたり傷つけたりする姿は、面白かったわ!!!!!
特に無理やり結婚した時なんかね!!!!」
「母上…そんなふうに思っていたんですか?」
「えぇそうよ。悲しいかしら!そうなら私はとっても嬉しいわ!!!あなたの不幸は私の幸せなのよ!!!!!だから、幸せなあなたなんて見ていられないのよ!あんたは、これからもアテネーを傷つけて傷つけて傷つけて嫌われてしまえ!!そして不幸でいてちょうだい!!!」
「そうですか。残念ですがもう僕はアテネーを傷つけません。屋敷に閉じ込めもしません。僕は間違っていました。もう、貴方には囚われません。」
「ははっははははははは。バカ言ってんじゃないのよ!!!!あんたは一生私に不幸にされるのよ!!!あんたなんて死んでしまえ死んでしまえ死んでしまええぇぇえぇえ!!!」
「傭兵!王妃を拘束せよ!」
「はっ!」
王妃様の腕が掴まれ拘束される。
「はなせ離せ!卑しい身分の者がわたしに触れるな!!!!」
この後、王妃様は一生アーレスト様に干渉しないことを条件に罪を犯した者が住む王宮内にある塔で過ごすこととなった。
だが、その罰が与えられた理由が口外されることはなかった。
「すまなかったアーレストにアテネー。彼女があんな人間だとは…。」
「いいえ、父上。僕も母上の言う通りにアテネーに接してしまった罪があります。
アテネーあの時は、無理やり結婚させてしまってすまなかった。好きでもない相手の子供を産むのはしんどかっただろう。離婚してくれても構わない。もちろん金銭援助はするし子供は育てる。自分の気持ちに正直に答えてくれ。」
「私は……。」
私は、最初は無理やり結婚させられて苦痛で仕方なかった。でも、今は狂気的なアーレスト様はいなくなって私を愛してくれるアーレスト様が目の前にいる。それに、お腹を痛めて産んだ子がいる。そんな状態を手放したくないと思っている自分がいる。
「私は、離婚したくありません。
確かに最初は無理やりでした。嫌でもありました。けど、今は愛してくれる人と大事な子供がいてくれればそれでいいです。これからも、一緒にいてください」
「本当に僕を許してくれるのか?
僕は、君の足を切ろうとしたんだぞ」
「えぇ。もう、昔のことです。それに、王妃様のせいだとわかりましたから」
「君は優しすぎる」
「そんな私にあなたは惚れたのではありませんか?」
「あぁ、そうだったな。どうかこれからも一緒にいてくれ」
「えぇ。もちろんです。旦那様。」
私達は笑顔で見つめ合った。
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