王室の人々
誤字脱字日本語がおかしいなどあまり気にしないでいただけると嬉しいです。
2日後
国王陛下と王妃殿下、それに第一王子である
トリシオン様に挨拶するために朝から準備に
追われていた。
朝からお風呂に入ってマッサージをされて
豪華な装飾品のついたドレスを着た。
今日のドレスはアーレスト様とペアのデザインで
赤を基調とした上品なドレスだった。
そして、朝から馬車に揺られた。
「朝からありがとう。アテネー」
「大丈夫です。これくらいなら」
本当はドレスのレースが重すぎて今にも崩れ落ちて
しまいそうだった。
「おとといの夜は無理をさせてしまったからね…。
馬車の中だけでもゆっくりしておいてくれ。」
「わかりました。」
私は少し馬車の椅子に身を委ねた。
それから30分ほどで王宮に着いた。
窓越しの王宮はとても立派だった。
馬車を降りようとするとアーレスト様が手を差し出してきた。
「エスコートするよ。」
「ありがとうございます。」
そう言ってアーレスト様の手を取る。
数十分ほど王宮の廊下を歩いて王室の方々の
待つ部屋にたどり着いた。
アーレスト様がノックしゆっくりとドアを開けた。
「失礼します。父上、母上、兄上」
「失礼致します」
「よくきたな。かけてくれ」
「ありがとうございます」
私達は残っていた2つの椅子に腰をかけた。
国王陛下の威厳のある声が部屋に響いた。
国王陛下は王室の象徴の黒髪に赤い目をしている。
第一王子のトリシオン様は陛下に似て黒髪に
赤い目だがアーレスト様は王妃様似の
金髪に青い目だ。
「今日はきてくれてありがとうね。
忙しいだろうに」
王妃様はいつも通りの穏やかな声で言った。
「いえ、そこまででもないですよ。
兄上の方が忙しいでしょうし…」
「いや、俺はそこまで。
まだ王位を引き継いでもいないし」
「そうだな。もう少し鍛錬を積んでからな」
相変わらず私の入る隙はない。
それからしばらく会話が続いたが急に私の方に
話が回ってきた。
「それにしても、子供はまだなの2人とも?」
「えっ、それはまだ…」
私は反射的に返事をした。
「そうだねアテネー。欲しいけど…」
「そうなの〜。早く孫を抱きたいわ」
「2人は男の子と女の子どちらがいいんだ?」
「僕はアテネーとの子供ならどっちでも…」
「そうですね。私はできれば男の子がいいですけど」
「そうだよな。その方が手っ取り早いもんな」
相変わらずトリシオン様は空気を読まないような
返事をする。
「こら、そんなこと言わないの!
ごめんなさいね。アテネーちゃん」
「大丈夫ですよ。お義母さん」
ここで子供についての話は終わってまた雑談に戻った。
2時間ほど話して王妃様がお開きを提案したので
私達はそのまま部屋を出た。
そして、廊下を歩いているとアーレスト様が
声をかけられた。
「アーレスト様」
「なんだ?」
普段と打って変わって冷たい声がした。
「すみません。こちらで不備が出てしまいまして…。
少しでいいので手伝っていただけないかと」
どうやら職場の文官らしい。
「わかった。すまないアテネー。少し待っていてくれ
ないか?」
「わかりました。お仕事頑張ってください。」
「ああ、すぐ戻る」
そう言ってアーレスト様は文官と歩いて行った。
私は暇になったので壁にもたれてアーレスト様を
待っていた。
すると、第一王子のトリシオン様がきた。
「帰らないのか?」
「アーレスト様が仕事に行ってしまったので
待っておりますの。」
「なんだ、俺を待っていたのではないのか。
つまらないな」
冗談まじりに言う。
「それにしても美人だな。弟を虜にするだけはある」
「ありがとうございます。世辞は結構ですが
嬉しく受け取っておきます。」
「なんだ、世辞じゃないのにな。嬉しい…か、
なら俺の愛人になるか?」
と言いながらトリシオン様は壁に手をついて私が逃げられないようにした。
そういえばトリシオン様は女遊びで有名なんだった。
「いえ、間に合っておりますわ」
「もったいないな。容姿は合格なのに。
艶のある白髪に群青の瞳、美しいな」
トリシオン様は私の髪や顔を触ってきた。
「やめてくださいっ。私は不貞をはたらく気など…」
私はトリシオン様を両手で押さえてこれ以上
近づかないようにした。
「俺の子を産んだら名誉なことだぞ。
実際にしてみれば気も変わるかもしれないしな」
そう言いながら私の口元に口を近づけてきた。
「やめてください!!お願いします!」
私は全力で抵抗したがトリシオン様は全く止まらなかった。
「やめてっ助けて」
あと少しで唇と唇が触れ合うという時に違う手が
出てきた。
「兄上、何をしているのですか?」
そこには怒りがこもっていることが私の不透明な
目からも伝わった。
「ちっ。あと少し遅ければなあ」
「早くアテネーから離れてください。」
「はいはい、わかりましたよ。」
そう言って壁を押さえていた手と私の顔に触れていた
手をどかした。
「もう、アテネーにこういうことはしないと
誓ってください。」
「そこまでしなくてもいいだろ。
じゃあ俺は帰るからな」
「待っ…」
「旦那様、私は大丈夫ですから…」
私はアーレスト様の手を掴んだ。
「アテネー本当に大丈夫か?」
アーレスト様が私の涙を拭った。
「えぇ。ありがとうございます」
「いいんだよ。良かった、アテネー。
もし、君に何かあったかと思うと…」
そう言ってアーレスト様は私を抱きしめた。
「私は大丈夫ですから早く帰りましょう。」
「そうだな」
私達はそのあと馬車に乗って屋敷に帰った。
その後、アーレスト様はすぐに書斎に行ってしまった。
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