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 広い校庭のトラックに、石灰でまっすぐに線が引かれている。

 体力測定のために引かれた五十メートルレーンは、すでに幾人かの生徒に踏みしめられて、ところどころが欠けていた。

 それをぼんやり眺めながら、小川夏生はスタート位置についた。

 足元から伸びるレーンは、競技場のように一・二二メートル幅に綺麗に分かれてはいないし、線だってフリーハンドだからズレもなく真っ直ぐ……とはいかない。

 聞き馴染んだ「set」の変わりに、まだ耳馴染みのない教師の「よーい」の声で姿勢を作る。スタートを告げたのは、雷管の発砲音ではなく、これも教師の声だった。

 ――ドン

 その合図にどこか気の抜けた思いがしても、それでも体は勝手にあの頃のようにフォームを作って駆けていく。

 もう二年も前に走ることは止めたはずなのに、それでもまだ、あの頃の経験は夏生の中から消えてはくれなかった。


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