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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第三章 勇者の出産
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84話 天使の微笑み

 俺の彼女は天使だった。



 シアの微笑みは、穢れた俺の罪を洗い流してくれたみたいだった。



 絶望のどん底にいた俺は、シアによって救われた。



 ・・・まさに俺の天使だ。




 「またしてほしかったら言ってくださいね!一応そういうテクニックもいろいろ教わってますので、次はもっと気持ちよくさせてあげますよ!」

 

 シアはふたたび右手を見つめてにぎにぎし始めた。


「それにしても・・・今日は見るだけで我慢するつもりだったのに・・・こんな先のステップまで一気に進んでしまうなんて!」



 ・・・・・とんだ堕天使だった。



「ふふふっ、でも、ゲンの泣きそうな顔ってはじめて見ました!」


 シアは嬉しそうに言った。


「こっちは、人生が終わったと思って絶望してたんだ」

「ふふふ、ゲンってほんとにピュアですね!かわいいです!」


 かわいいって言うな!


「こんな事ぐらいでゲンの事を嫌いになったりしませんから安心して下さい。わたしたちこれかもっとすごい事をいっぱいしますからね!覚悟しておいて下さい!」



 ・・・・・・・悪魔かもしれない・・・・・・・




 その後のシアは始終ご機嫌で、髪の手入れがあるからと先に浴場を出た。


 俺は、一度湯に入り直して、気持ちを落ち着けてからシアと別に浴場を出た。




 師匠の出産はどうなっただろうか?


 着替えてロビーに行くと、キアが待っていた。


「よお、遅かったじゃん、どこ行ってたの?」


「風呂に入ってただけだ」

「あれ?僕もさっき入ったけど、いなかったじゃない?」


「そんなはずは・・・」


「もしかして、シアと一緒に入ってたの?」


 キアがぐふふと嫌な笑い方をした。


 ・・・シアのやつ、もしかしてメイドとグルだったのか?


「そっ、そんなわけないだろ!」




 そこにシアが現れた。


 師匠がいつも着ていた、スカートの短いメイド服を着ている。


「どうしたんだ?その恰好」


「着替えが無かったので、どうしようかと思ったら、メイドさんがララ先生のお古を出してくれたんです!」


 シアと師匠は、体形は似ているがシアの方がまだ少し小さい。

 師匠が昔着ていたという服が、ぴったりだった。


 シアのメイド姿は、師匠より少し幼い雰囲気で、シアの新たなかわいらしさを発見した気分だ。


 短めのスカートから見える生足にドキドキしてしまう。

 さっきまで裸の付き合いをしていたのだが、これはこれでまた違った魅惑だった。


 はっ、そういえばシアは今、ちゃんと下着を付けているんだろうな?


「下着ならちゃんと穿いてますよ」


「なっ!何を言っている」


 なぜ、俺の考えている事がわかった?


「ゲンの考えている事ならお見通しですよ?見ますか?」


 シアがスカートの裾をつまんだ。


「やめろ!見せなくていい!」

「残念、せっかくララ先生の可愛い下着を貸してもらったのに」



 ・・・完全に弄ばれている気がする。



「何だって!ララ先生の下着だって!見せろ!シア!」


 キアがシアのスカートをめくろうとした。


「きゃっ!何するんですか?」


「やめろ!キア」


 俺はキアの頭をグーで殴った。




「そういえばココさんはどうした?」


「いてて・・・ずっとララ先生に付き添ってるよ。ララ先生、ココさんがいた方が安心するから、いて欲しいんだってさ」


 あの二人の間には妙な信頼関係があるみたいだな。


 そうだよな、師匠にはこんな大事な時に、両親も旦那も、誰も家族がいなかったんだ。


 誰か信頼できる人がそばにいた方が良いんだろうな。





 そこに、レンとルナが戻って来た。


「お疲れ様。みんな無事だな。魔物の発生はとりあえず収束したよ」


「お疲れ様」

「お疲れ様でした」

「お疲れ!」


「みんな、大丈夫だった?」

「はい、わたし達は大丈夫です」



「それよりララが産気づいたって?」

「はい、今部屋にいます。後は生まれるのを待つばかりです」


「結局戦場に出て来たそうだね」

「ああ・・・だが師匠のおかげ多くの命が救われたのも事実だ」


「もう、あの子ってば無茶ばかりするんだから!」

「だが、師匠は勝算の無い無茶はしない。子供たちは絶対に守り切るつもりで戦っていた」


「ほんと、結果的に無事だったからよかったけど・・・ちょっとララの様子を見てきますね」


 ルナは師匠の部屋に入っていった。


 ・・・ここにも師匠を本気で心配してくれる家族がいたんだったな。




「ゲン、シア、キア、大変だったね」


「いや、こっちはココさんのおかげでかなり助かった」

「ココさんは格闘術だけなら勇者以上って評判の上級冒険者だからね」

「ああ、とんでもない強さだった。ほんとに素手の一撃で『中級の魔物』を倒していたからな。そっちはどうだったんだ?」


「こっちもゼト様が張り切っててね。ゼト様のところは昨日無事に生まれたそうだよ」

「そうなんですね!それはおめでたいです!どっちだったんですか?」

「赤髪の元気な女の子だったそうだよ」

「きっとレィア様似の美人になりますね!」


 女の子でゼトに似たらちょっと残念だな。


「ゼト様は「妻と娘は俺が守る!」って、えらい気合が入っていたからね」


 何気にゼトは愛妻家だから、娘にもベタぼれになるんだろうな。

 娘の彼氏になる奴は大変だな。


 「娘が欲しければ俺を倒せ」とか言い始めたら彼氏が出来ねえぞ。


「レィア様そっくりの女の子かぁ・・・将来が楽しみだなぁ」


 キアがおかしな妄想を抱いている様だが・・・死ぬなよ。



「ララ先生のお子さんはどっちでしょうね?」

「さあな、一人は確実に男だろうけどな」

「?、どうしてですか?」


 シアはまだわかってないらしい。



 ・・・もう一人は、女だった場合、『魔女』になるんだろうか?



「まあ、師匠の子供だったら、どっちでも幸せになるだろう?」

「そうですよね、あんな素敵なお母さんなんて他にいないですよ!」


 そうだな・・美人だし、優しいし、世話好きだし、料理も上手いし・・・


「ゲン、何想像してるんですか?」


「いや、シアも師匠に負けてないんじゃないか?」

「はい、わたしも素敵なお母さんになれる様にがんばります!」




 そんな時・・・師匠の部屋から産声が聞こえてきた。


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