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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第八章 上級剣士
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300話 勇者の真髄

 ジオは触手に絡め取られた両手両足を四方に引っ張られ、完全に拘束されてしまった。



 それを見た男どもの興奮度が一気に増したのが手に取る様にわかる。


 目の前で手足を拘束されている全裸の絶世の美女の足が更に大きく広げられてしまったのだ。

 男なら興奮しない訳がない。

 そんな男どもの欲望を汲み取ったかの様に、男達を捕らえていた触手は一斉にヒナの周りから離れてジオの方に向かったのだ。


 ヒナの周りを取り囲んでいた触手がいなくなり、残るはヒナ自身を絡めている触手だけとなった。

 今なら容易にヒナを救い出せる。


 そして、魔物は新たに捕らえたジオを自分の懐へ引き寄せようと、伸ばした触手を一気に手繰り寄せたのだが・・・




 手繰り寄せられたのは魔物の方だった。




 両足で力強く河原に踏ん張っていたジオはびくともせずに、逆に魔物の巨体が川岸へと引き寄せられてしまったのだ!


 魔物は予想外の事態に一瞬ひるんだ様に見えたが、ジオとの距離が近づいた事に変わりはない事に気づいたのか、すかさず捕らえていた男達をジオに当てがおうとし始めたのだ。


 ジオを助けなければという考えが一瞬頭をよぎったが、折角ジオが身を挺して作ってくれたこのチャンスを無駄にしては意味が無い。

 俺はすぐに思い直してヒナの方へと跳んだ。


 魔物の本体が川岸の近くまで引き寄せられたので、今ならヒナの捕まっている場所へは一息でジャンプできる。


 俺は触手がいなくなって露出した魔物の本体の上に降り立ち、そのままヒナを捕らえていた触手を切り裂いた。


「ゲンさま!ありがとうございます!」


 自由になったヒナが俺に抱きついた。


「怪我はないか?」


「はい!大丈夫です!」


「その・・・精神的には大丈夫か?」


「はい!今のわたしって結構メンタルは強いんですよ・・・でも・・・」


 ヒナが少し表情を陰らせて俯いた。

 やはりこの状況で精神的に大丈夫な訳がない。


「ヒナ・・・」


 ヒナの顔をのぞき込もうとすると、ヒナはいきなり俺の唇に唇を重ねた。


 とっさの事だったので、どうにも出来なかったが、重ねられたヒナの唇はわずかに震えていた気がした。


「これで完全復活です!」


 ほんの数秒で唇を離すと、ヒナは元気にそう言った。


「本当に大丈夫なんだな?」


 気丈に笑ってはいるが、欲望に満ちた全裸の男達をあてがわれ続けていたはずだ。

 精神的なダメージが無いはずはない。


「大丈夫ですよ!だって、あの人達の中にゲンさまより大きい人は一人もいませんでしたから!」


 ・・・理屈はわからないが、なぜかヒナが自慢げにそう言ったのだった・・・




「それより、早くジオさまを助けないと!」


 ヒナに言われてジオの方を見ると、ジオは完全に周囲を男どもに囲まれ、今まさにそのうちの一人をあてがわれようとしているところだったのだ。


 ジオは大丈夫だと言っていたが、今のジオは両足で地面に踏ん張り、両手に巻き付いた触手で魔物を岸に引き留めているため、手足を動かす事が出来ない状態だ。

 そのため、大事な部分は隠す事も出来ずに完全に無防備のままむき出しになっている。


 魔物の方はといえば、ジオを脱力させ様と、触手でそんなジオの胸や股間を刺激し始めたのだ。


 先の戦闘で触手に捕まった時は、俺たちはあれのせいで意識が集中できずに魔法が使えなかったのだ。


 しかし、勇者のジオは完璧な精神防御があるはずだ。

 あの攻撃がジオに効く事はない。


 ・・・そのはずだったのだが・・・・


 なんと、ジオの乳首から母乳が勢いよく噴き出し始めたのだ。


 なんだと!感じているのか?


「ねえ?ジオさまも気持ち良くなっちゃったんでしょうか?」


 ヒナも同じ事を考えた様だ。


「いや、そんな事は無いはずだが」


「でも・・・おっぱいがあんな事に・・・」


 ジオの乳房は触手に揉みしだかれる度に噴水の様に母乳を吹きだしているのだ。


 そして無防備なジオの体に男性の一人があてがわれようとしている。


 男性は恐怖と期待と性的な欲望が入り交じった複雑な表情のまま、触手のなすがままにその身がジオの体と重なるところを見つめていた。




「うぎゃ!」


 蛙が潰された様な悲鳴とともに、男の表情が苦痛と絶望に変わっていた。


 見ると、威勢良くそそり立っていた男の股間にあった物が無残にもひしゃげて折れ曲がっていたのだ。


「うわぁ!痛そう・・・」


 ヒナの言う通り、あれは相当な痛みだろう。


 ・・・だがそれは男にしかわからない痛みだった。


「ジオさま、何をしたんでしょう?」


「何もしていない・・・ただ、受け入れなかっただけだ」


 そうだ。

 一見無防備に見えてもジオは勇者なのだ。

 その体の全てが鉄壁の防御力を持っているはずだ。

 たとえ全裸であったとしても、本人の意思を無視して何人たりとも、その体を侵略する事など出来はしなかったのだ。


 股間をへし折られ放心状態となったその男は、顔面にジオの母乳を浴びながらぐったりとしていた。


 魔物は使い物にならなくなったその男を岸に放り投げると、次の男をジオにあてがおうとしていた。


 しかし魔物もさっきの状況を学習したのか、今度はしっかりと閉じたジオのデリケートな部位を触手を使って力ずくに左右に開きながら男のそれをねじ込もうとしたのだ。


「ひどい!あんなに無理矢理」


 ヒナは思わず目を背けた。

 女の子にとっては見るに堪えない光景だろう。

 それはまさに集団レイプの様な光景だった。


「おごっ!」


 しかし次の男の一撃もジオには歯が立たなかった様だ。


 一人目同様、使い物にならなくなった男を魔物は川岸へと投げ捨てた。




 女性の体の中で最もデリケートな部位の一つであるにもかかわらず、ジオのその場所は魔物の触手の力を持ってしても、ほんのわずかな隙間すら開く事は出来ずに、ぴったりと閉じたまま鉄壁の防御を誇ってていたのだった。

 勇者にとって全裸である事は、ハンデにすらならないほど些細な誤差でしか無かったのだ。




 俺は・・・勇者の真髄を見た気がしたのだった。


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