289話 魔物の追跡
ヒナが余計な事を言うから、人魚の姿になった俺達三人で抱き合ってる様子を想像しそうになっちまったじゃねえか!
「ヒナさん!変な事言わないで下さい!絶対無理ですから!」
・・・シアも同じ想像をした様だな・・・
「君たち!いつまでも遊んでいないで魔物を追跡するよ!」
俺たちがくだらない事をやっている間に、ギルは海上で人魚の姿に変身したジオに跨っていた。
「俺たちは先に行く。後から付いて来い」
ジオはそう言って沖に向かって泳ぎ始めてしまった。
ジオの細くくびれた腰にギルが跨ってるのを見て、なんだか少し悔しい様な羨ましい様な気分になったが・・・気にしない事にしておこう。
それよりも、俺たちも早くジオ達を追いかけなければならない。
「それで俺はどっちに乗ればいいんだ?」
「「わたしです!」」
見事にシアとヒナがハモッた。
「ヒナさんは両手剣を使った戦闘がメインですよね?同じく剣を使うゲンと一緒に戦うのであれば魔法が主体のわたしの方が有利です」
「それはそうですけど・・・わたしもゲンさまに乗られたいです!」
・・・だから言い方がエロいんだよ・・・
「仕方ないですね・・・ではこうしましょう。魔物を見つけるまでの間はゲンはヒナさんに乗って、魔物を見つけたらゲンはヒナさんからわたしに乗り換えてください。それでいいですか?」
・・・なんか、まるで俺が二股かけているような言い方だな・・・いや、実際に二股かけているんだが・・・
「わかりました・・・それでいいです」
何とか話がまとまったみたいだな。
「じゃあ、ヒナ、お前に乗るぞ」
「はい!心の準備はいつでもできています!」
・・・いや、そういう意味じゃないからな・・・
ヒナが砂浜の浅瀬まで移動し、海に浮かんだところで俺はヒナに跨ろうとした。
「そうだ!ゲンさま!仰向けに泳いでもいいですか?その方がゲンさまのお顔が見れますし!」
ヒナが水中でグルンと回転した。
・・・ヒナが顔を少し赤らめて期待に満ちた表情で俺を見ている。
それを見てヒナの考えている事が手に取るように分かった。
このままヒナに股がったら、俺の股間はヒナの総排出口の真上に当たるじゃねえか・・・
「ヒナさん!遊びじゃないんですよ!普通に泳いでください!」
ヒナがシアに怒られていた。
「ちぇ・・・わかりました」
ヒナはしぶしぶ体を回転させて元の向きに戻った。
ヒナがうつ伏せに戻ったところで、俺はヒナに跨った。
ヒナの細くくびれたウエストは、いい感じに跨りやすい。
そして尻のふくらみが妙に俺の尻にフィットした。
これは結構乗り心地が良いな。
「これはこれで!背中とお尻にゲンさまを感じられて結構素敵です!」
ヒナがなんだか喜んでいる。
「いいから行くぞ!」
「はーい!しっかりつかまっていて下さいね!」
俺はヒナの肩に手をかけてつかまった。
すると、ヒナはいきなり猛スピードで泳ぎ始めた。
振り落とされそうになった俺はとっさにヒナの背中に抱きついた!
「あはっ!そのまましがみついていて下さいね!」
・・・わざとやったな?ヒナ。
隣を見るとシアも同じ速度で並んで泳いでいる。
シアは少しあきれ顔でそんな俺達を見ていた。
「このままジルさん達に追いつきますよ」
「はい!もっとスピードアップします!」
ヒナがさらに加速した。
体を起こそうとしていた俺は再びヒナにしがみつくはめになった。
「ヒナ!いきなり加速するな!」
「あはは!ゲンさま、もっとぎゅうっとしっかりしがみつかないと振り落とされちゃいますよ!」
ヒナはわざとジグザグに泳いだり上下に波打つ様に泳いだりしている。
・・・どうやら俺をしがみつかせたままにする作戦だな?
しかし、戦闘になればもっと激しい泳ぎの中で手を離して俺も戦う必要がある。
俺は両膝でヒナのウエストをしっかりホールドし、あえて両手を離して体を起こしてみた。
「ヒナ、苦しくないか?」
「いえ・・・ゲンさまに締め付けられるのがむしろ快感というか・・・もっと締め付けてください!」
いや、必要以上にヒナを強く締め付ける事に意味は無いのだが・・・
だがこれならヒナが多少激しく泳いでも振り落とされる事なく剣を振るう事が出来そうだ。
「感覚は掴めた。何とか大丈夫そうだな。ヒナ、普通に泳いで速度を上げてくれ」
「ええ!もっとゲンさまに締め付けて貰いたいのに!」
「ジオ達と距離が離れてしまった。早く追いつかないとな」
とりあえずヒナの要求はスルーして話を進めた。
「ヒナさん、ジオ様たちの方角は捉えています。ついて来てください!」
シアが起きの方に向かって速度を上げた。
「ヒナ、シアに遅れるな」
「はい!任せてください!」
ヒナもシアに続き、沖を目指して速度を追上げた。
すると沖合だいぶ先から大きな水しぶきが上がった。
「あれです!きっとジオ様たちが魔物と交戦状態に入ったんです」
「だいぶ離れているな?」
「とにかく急ぎましょう!」
シアがさらに速度を上げた。
「あっ、待ってください!」
俺を乗せたヒナも速度を上げて、水しぶきの上がった沖の方に向かった。




