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【8章完】勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第八章 上級剣士
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288話 魔法の伝授

「おかしいなあ、さっき君たちが魔物に捕まっている時も、それに今も、遠目には二人が全裸に見えたんだけど・・・すまない、きっと僕の見間違いだね」


 俺達の元へ来たギルは、腑に落ちないながらも納得したらしい。


「ギルさまはいつもエッチな事ばかり考えているから幻でも見たんですよ!」


 ヒナが余計なフォローを入れた。


「はは、それは否定できないね。でもいつもエッチな事ばかり考えているという事に関してはゲン殿もかなりのものだよね?」


 ・・・なんでとばっちりがこっちに来た?


「そうですね。ゲンもさっきわたし達が裸になっている幻覚を見て興奮していたそうですから」


 シア・・・なんで俺に追い打ちをかける?


「はははっ!もしかしたらそれもあの魔物の能力かもしれないね。それで、その魔物はどうなったんだい?」


 ギルがジオに尋ねた。


「俺が触手を切り裂いたら沖へ逃げてしまった。三人の救助を優先するため深追いはしなかった」


「そっか、でも存在を見つけた以上このまま討伐するに越した事はないだろうね」


 ギルの言う通り、ここで追跡して討伐しないと、再び見つけられるのは何日後になるか分からない。


「まだそう遠くに行っていないだろうから、魔法で水中戦闘用の姿になれば追いつけるだろう」


「水中戦闘魔法ってさっきの奴か?だが、それではジル一人で戦う事になってしまうだろう?」


 俺はジオに尋ねた。


「それなら大丈夫です!わたしもその魔法は使えます!」


「シアも使えるのか?」


「はい!ララ先生に教えてもらいました。多分ヒナさんにも使えます」


「本当ですか?教えてください!」


「ええ、もちろん。ではヒナさんこの魔方陣を覚えてください」


 シアが空中に魔方陣を描いた。


 ヒナがその魔法陣を見て形を覚える。




 ・・・この魔法は一般の魔法では無くて魔女の魔法だ。


 魔女は本来魔法陣を必要としない。

 魔女はそれぞれ自分自身の固有の魔法式を体内に生成し魔法を発動するからだ。


 だから魔女が他の魔女の魔法をそのままコピーする事は出来ない。


 シアが描いた魔法陣は恐らく師匠が作ったものだ。

 これは魔女の魔法を疑似的に一般魔法の魔方陣に落とし込んだ物でそのままでは魔法を発動させる事は出来ない。

 これを見た魔女が魔方陣を自分の固有魔法にアレンジして再構築する必要があるのだ。

 つまり、それだけの知識と技術を持った魔女同士であれば魔法の受け渡しが可能になるという事だ。




「はい!覚えました!」


 特殊な記憶能力を持つヒナは、一瞬でその複雑な魔法陣を覚えたらしい。

 それにアレンジの方法も目途がついたのだろう。

 だが俺にはすぐに覚えられそうもない。

 それに、今の俺の知識ではこの魔法を自分に合わせて再構築する事は不可能だ。


「俺にはこの魔法は無理そうだな」


「ゲンは・・・使わない方が良いと思います。この魔法は男性にはあまり似合わないので・・・」


 ・・・確かに、自分が人魚の姿になったところを想像したらちょっと気持ち悪くなってしまった。


「でもそれだと僕とゲン殿が戦闘に参加できないね?」


 ギルの言う通り、三人は水中を高速で自在に動く事が出来る様になるが、このままでは俺とギルは足手まといだ。


「ゲンとギルは俺達に跨って戦えばいい」


「ええ!いいのかい?君たちに跨るなんて」


「・・・ギルさんに跨られるのはちょっと嫌です」


 ヒナがはっきり拒絶した。

 シアも口には出していないが嫌そうな顔をしていた。


「ギルは俺に乗ればいい」


「そうかい?では遠慮なくジル殿の上に乗らせてもらうよ」


 なんか言い方がエロいな・・・




「では早速変身してみます!」


 ヒナが魔方陣を描いて呪文を詠唱し、人魚の姿に変身した。


 ・・・実際にはこれは魔女の魔法なので魔方陣も詠唱も必要ないのだが、ギルが見ている手前、形だけでも普通の魔法っぽく見せているのだ。


 ヒナの下半身が光に包まれ変化していく。

 それに伴って水着も変形し、そのまますぅっと消えてった。


 そしてヒナは・・・腰から下が魚の、物語に出て来る美しい人魚の姿そのものになっていた。


「わあ!すごい!足が尻尾になって本当に人魚になれました!」


 砂浜で人魚の姿になったヒナは、ごろんごろんと回転しながら自分の姿を確認していた。


「ヒナさん、うまく行ったみたいですね?それではわたしも」


 シアは波打ち際に移動し、少し海に踏み込んだところで魔方陣を展開し、人魚の姿へと変わっていった。

 

 ・・・人魚になったシアの姿もこの世の物とは思えない程美しかった。


 下半身は鱗はヒナの鱗が光の反射で薄い若草色に見えるのに対し、シアの鱗はピンク色ががかって見える。

 ・・・髪と色と共通なのだろうか?


「この水着は確かに便利ですね。以前ララ先生からこの魔法を教わった時は下半身裸にならなければならなかったのですが、これなら人前で変身しても大丈夫です」


 変身後は下半身はむき出しになるが、魚の姿なので確かに人に見られても問題は無いな。

 まあ、この魔法自体が一般的ではないから一目で変身する機会もそんなにないだろうが。




「わあ!人魚になったわたしのここって・・・こうなってるんですね!」


 仰向けになったヒナが自分の総排出口を指でくぱっと左右に開いて中を観察していた。


「ん?なんだ?」


 傍にいた俺もつい、その中を覗き込んでしまった。


 鱗の切れ目を左右に開いた中に見えるピンク色の肉の部分には深い穴が開いていた。


 ・・・ん?・・・そこって魚の肛門だよな?・・・いや、魚とかって肛門だけでなく色んな穴が一つにまとまっているんだっけか?


「ヒナさん!そんなとこ開いちゃダメです!早く閉じてください!ゲンも見ちゃダメです!」


 シアが慌ててヒナの手を総排出口から引きはがした。


 そうか!つまり今の穴って、ヒナの肛門でもあり・・・あの穴でもあるわけか!


 魚の肛門と思っていた時には何も感じなかったが、そう意識したとたんに俺の下半身が反応してしまった。




 ・・・ヒナの・・・穴の奥を覗き込んじまった・・・




「もう!何やってるんですか!ヒナさんもゲンも!」


 俺とヒナは真っ赤になっているシアに怒られてしまった。


 



「まったくもう!・・・ちなみに男性がこの魔法を使うと、その部分から棘の様な生殖器が2本突き出してくるそうですよ」


 ・・・なんだそれ?なんで2本なんだ?恥ずかしい以前に気色悪くないか?


 男性に勧められない理由はそれか?


「ええっ!それって!・・・シアさまとわたしが同時にゲンさまとエッチできるって事じゃないですか!」


 ヒナが異様な盛り上がりを見せていた。


「何て素敵な魔法なんでしょう!ゲンさま!ぜひこの魔法を習得してください!」




 ・・・絶対嫌だ・・・


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