282話 砂浜と魔物
折角なので、女性陣の水着姿を堪能しつつ海辺で遊ぶ事にした。
「俺はここで監視してるからお前たちだけで泳いでくるといい」
ジオはそう言って砂浜に立っていた。
「さあ、ゲンさま、シアさま、泳ぎましょう!」
「そうだな、今日くらいは羽を伸ばすか?だが、俺は水着を持っていないぞ」
「大丈夫です!ゲンさまの分もララさまから預かってますから!」
ヒナはそう言って俺の水着を取り出した。
「あ、すみません。ギルさまのは無いですよ」
「構わないよ。僕もジル殿と一緒に監視をしてるから、君たちだけで泳いでおいで」
・・・ギルは間違いなくジオの胸を眺めていたいのだろう。
「さ、ゲンさまも早く水着に着替えて!」
「いや、着替える場所が無いんだが?」
「わたし達にだけここで着替えさせておいて、自分は隠れて着替えるつもりですか?ゲンもここで着替えればいいですよ」
「じゃあ、後ろを向いててくれよ」
「はい!終わったら声をかけて下さいね!」
シアとヒナはそう言って後ろを向いた。
その間に俺は装備を外して着替え始めた。
誰も見ていないとは言っても、全く遮蔽物のない砂浜で全裸になるのはさすがに抵抗があるよな?
ギルがジオに話しかけながらちらちらとこっちを見ていた。
まあ、ギルは構わないが・・・
だが、よく見たら、シアとヒナもそわそわしながら、こっそりこっちを見ようとしてるじゃねえか!
・・・こいつら、確信犯か!
「おい!見るなよ!」
俺が叫んだら、二人はバツが悪そうに姿勢を正して後ろを向いた。
俺はその隙にササっと水着に穿き替えた。
「もう終わったぞ、覗くなよ」
「ふふふっ、ゲンさまもわたし達の着替えを覗けば良かったんですよ」
「覗くかっ!」
「とにかく、泳ぎに行きましょう!」
俺達三人は波打ち際に向かって走っていった。
「おい、水に入る前に軽くストレッチしろよ」
「はい!わかってます!」
俺たちは師匠の教えでストレッチには普段からかなり気を使っている。
戦場では体のコンディションが勝敗に大きな影響を与える。
体をほぐす事は、何をする上でも大事な事なのだ。
三人はストレッチをしてから、海に飛び込んだ。
「わあ!気持ちいです!」
「本当、気温が高から、海水がひんやりしていて丁度いい感じです」
シアもヒナもご満悦の様だ。
確かにこれは気持ちいい。
「ゲンさま!えいっ!」
ヒナが俺に海水を手ですくってかけてきた。
「いきなり何をする」
「隙ありです!」
今度は反対側からシアも海水をかけてきた。
「こいつらやったな」
これは二人に交互に水をかけてやった。
「やりましたね、でも2対1なら負けませんよ!ヒナさん!一緒にゲンを倒しましょう!」
「はい!任せてください!」
二人は共同戦線を張って俺に攻撃を仕掛けてきた。
「二人まとめて返り討ちにしてやる」
手が大きい分、俺は片手の一掻きで多くの水をとばせるのだ。
それぞれ片手で対応すればいい。
しかし、シアとヒナは巧みな連係プレイで仕掛けてくるのだ。
こいつらいつの間にこんな高度な連係攻撃を身に付けたんだ?
二人の連携に俺は次第に押され気味になっていった。
「やったあ!ゲンさまを倒しました!」
良く分からんが、俺は負けたらしい。
「では、罰ゲームとしてゲンにはわたし達の命令に従って貰います」
「いつの間にそんなルールになったんだ?」
「じゃあ、ゲンさまには何をしてもらいましょうか?」
「・・・裸になれとか言うなよ?」
「あはは!じゃあ、逆にゲンさまに命じます!わたし達を裸にして下さい!」
「バカ!そんな命令聞けるか!」
「ふふふっ、冗談ですよ、冗談。じゃあ次は少し沖まで泳ぎませんか?」
・・・やっぱり冗談か・・・シアが笑いながらそんな提案をした。
「別に構わないが、お前ら泳ぎに自信はあるのか?」
「はい!わたしは得意ですよ」
「わたしは少し自信ないけど、いざとなったらゲンさまにしがみつくから大丈夫です!」
まあ、近くにいれば大丈夫か?
それにいざとなれば三人とも魔法が使えるからな。
「よし、じゃあ、沖まで行ってみよう」
「今度は競争はしませんよ、わたしが先行しますからゲンはヒナさんと付いて来て下さい」
「はい!ゲンさまにピッタリ密着していきます!」
「それじゃ泳げないだろ?練習も兼ねて出来るだけ一人で泳いでみろ」
「はーい、わかりましたぁ」
ヒナは若干不服そうだったが、俺たちは沖に向かって泳ぎだした。
少しすすむと、海底が見えない位の深さになった。
「もう、砂浜があんなに遠くに見えますよ!ジルさまたちが豆粒みたいです!」
ヒナはさすがに呑み込みが早く、既に安定して泳げる様になっていた。
「もう大丈夫そうだな?ヒナ」
「はい!もうゲンさまにだって負けませんよ!」
・・・これはまた勝負になるパターンか?
「ひゃん!何かが足に触りました」
「あん、わたしもです・・・ゲン、わたしのお尻を撫でましたね?」
「いや、撫でてないぞ」
「はうん!ゲンさまが今度はわたしのおっぱいを触りました!」
「だから俺じゃないって」
「ああん!どこを触ってるんですか!ゲン」
「俺じゃない・・・おおうっ!・・・誰だ?俺の股間を触ったのは!」
「わたしじゃないですよ!」
「わたしでもありません」
「それじゃ・・・一体?」
「もしかして・・・これって?・・・魔物じゃないのか?」
そう思った時には、一瞬遅かった!
何かが手足に絡みつき、四肢が動かせなくなった俺は、海上に吊り上げられた。
そして目の前には同じ様に、手足に触手の様な物が巻き付いたシアとヒナが、大の字で吊り上げられていたのだ!
「やあん!なにこれ!」
「これは!全然動けません!」
早く二人を助けねえと!
そう思ったが、触手の力は強く、俺の力でもびくともしなかった。
こうなったら魔法で・・・
そう思った時、新たな触手が俺の体を撫でまわし始めたのだ!
うわ、何だこれ?気持ち悪い!
「ひゃあん!どこ触ってるんですか?」
「はうううん!変なとこ触らないで下さい!」
目の前のシアとヒナも、新たな触手に体中を撫でまわされていた。
どうやら触手は俺達の体を調べ回っているらしい。
・・・この展開はまさか!
そう、俺の予想通り、触手はシアとヒナの水着を剝ぎ取りにかかったのだった!




