276話 秘め事の理由
「わたしに内緒でこんなところで何をやってるんですか!シアさまだけずるいです!」
俺の後ろでは、体にバスタオルを巻いた姿のヒナが少し怒り気味の顔で腕を組んで仁王立ちしていた。
「えっ?ヒナさん?」
「ヒナ!いつの間に!」
「いつの間にじゃないですよ!人の気配がするので様子を見に来てみれば、わたしに内緒で二人だけでこんな楽しそうな事してるなんて!」
「楽しそうな事なんて・・・っ!」
俺はそこでやっと自分とシアの状況を再確認した。
シアは俺がバスタオルをはぎ取ってしまったせいで、全裸で四つん這いになり尻を俺に向かって突き上げている体勢だ。
そして俺の方は・・・そんな体勢のシアの腰に手を添えてシアの尻に覆いかぶさる様な形で膝立ちになっていたのだ!
しかも俺が腰に巻いていたタオルもさっき慌てて起き上がった時に剥がれ落ちてしまったのだろう。
俺の方も全裸になっていたのだ。
そしてそんな俺の股間からそそり立ったそれの先端は・・・今まさにシアの背後から突き刺さろうかという位置にあったのだ!
「違う!ヒナ!これは誤解だ!」
「そうです!ヒナさん!誤解です!」
「その体勢のどこが誤解なんですかっ!二人だけこんな事をして!」
「ヒナの方こそ、領主と何をやってたんだ?」
「なっ、何って・・・・・いいじゃないですか?親子間の事なんですから」
ヒナは少し動揺し、声が小さくなって口ごもった。
やはり後ろめたいと思っているんだろうか?
「親子でもやっていい事と悪い事があるだろう?」
「そっ、そんな事より今はゲンさまとシアさまの方が大問題です!もう、いいからさっさと済ませちゃってください!でもその後は続けてわたしの番ですからね!」
ヒナはそう言うと俺の背中をグイっと押したのだ!
「ばかっ!ヒナ!今押したら・・・」
そう、この状態で背中を押されたら・・・まともにシアの中に入ってしまうじゃねえか!
だめだ!
シアとの初めての瞬間をこんな形で迎える訳にはいかねえ!
だが一方では、このままシアの中に入れてしまいたいという欲望も確かに俺の中で渦巻いているのだ。
今までにも何度かチャンスはあったのだ。
しかしその度に我慢して・・・実際には失敗が怖かったというのもあるのだが・・・期が熟すまで待つと決めたのだ。
やはりこんな風に勢いでしてしまうのではなく、最高のシチュエーションでその時を迎えないと、今までの我慢が無駄に終わってしまう!
俺は先端がシアのそれに触れるかという寸前で、それに思いっきり力をこめた!
それは更に硬さを増し、俺のへその方に反り返ったのだ!
「ひゃん!」
そして寸前で軌道を変えた先端は・・・シアの尻の穴をかすめながら背中の方へと軌道を逸らしたのだ!
よし!何とか回避したぞ!
だが、思いっきりシアの尻に擦りつけてしまったそれは・・・その快感に耐えきる事が出来なかった・・・
「うっ!」
もう自分の意志では止める事の出来ない状態に入ってしまっていた。
限界を迎えてしまったそれは・・・勢いよく溜まっていたものを発射してしまったのだった。
「ゲン!何をしてるんですかっ?・・・ああんっ!」
そして丁度そのタイミングで叫びながら振り返ったために・・・俺から迸ったそれは、見事にシアの顔に命中し、大きく口を開けた瞬間だったため、口の中へと入ってしまったのだ!
・・・またやっちまった。
シアにかけてしまったのはこれで何度目になるのだろう?
「この味は・・・ゲンの・・・味ですね」
シアはそう言って口の周りに付いたそれを舌でペロッと舐めながらそう言ったのだ。
「ああっ!シアさまだけずるいです!わたしにも下さい!」
そう言ってヒナはシアに抱きついてシアの顔を舐め、そのままシアの唇にむしゃぶりついたのだ!
シアに抱きついた時にヒナの体に巻いてあったバスタオルも外れてしまい、ヒナも全裸になっていた。
そして同じく全裸のシアを抱きしめながら激しいキスを繰り返しているのだ。
それを見ていた俺は・・・一旦冷静な気分になっていたはずなのに、再び興奮状態に戻ってしまいそうだ。
「おまえら、いい加減にしろ!」
俺は二人の頭から手桶でお湯をかけた。
自分の腰にタオルを巻きながら二人にもバスタオルを渡した。
「早くこれを巻け!」
「何事ですか?一体?」
そして、丁度そこに領主もやってきた。
「これは・・・もしかして二人の逢引きを邪魔をしてしまいましたか?」
「いえ、とんでもありません」
シアが慌てて否定するが、この状況を領主にどう説明したものか?
「それよりもお二人は何をされていたのですか?」
どう切り出すか考えていたら、シアがダイレクトに聞いてしまった。
「わたしはヒナに古傷の治療をしてもらっていたのだが?」
「えっ?古傷?」
「そうですよ、お義父様は昔の戦争の古傷がいくつもあって、今でも時々痛みを感じるというのでわたしが治癒魔法で直していたんです」
「どうしてお風呂で?それにさっきの体勢は?」
「わたしはまだ、治癒魔法が上手くないので患部に密着して揉みほぐしながらでないと上手く治せないのです。部位によってはお風呂で体を浮かせてもらった方がやりやすかったので、最初はベッドで治療していたんですけど途中からお風呂に来て治療していたんです」
「何だって!それじゃ部屋にいた時からずっと傷の治療をしていただけだったのか?」
「もちろんそうですよ?・・・・・あっ、もしかして、わたしとお義父様がエッチな事してると思ってたんですか?」
「いや・・・そんな事は・・・」
結局俺たちが、勘違いして後をつけていた事がヒナにばれてしまったのだった。




