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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第八章 上級剣士
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272話 技の修行

 男湯には俺とギルの二人だけが残されてしまった。


 二人とも股間だけが元気いっぱいに反り返っているのが何ともシュールだ。


 「さて、どうしたものかね?いっその事、僕たち二人で愛し合うかい?」



 ギルがとんでもない事を言い出した。


「ふざけんな!誰がお前なんかと!」


「ははっ、もちろん冗談さ。僕も男と愛し合う趣味なんか無いよ」


 まあ、そうだろうとは思ったが、一瞬鳥肌が立っちまったぜ。

 その代わりと言っては何だが、今ので俺の下半身のシンボルは一気に萎んでしまっていた。


「はは、ずいぶん元気がなくなったみたいだね。今の君になら勝てそうだよ」


「何言ってんだよ、お前のだって元気が無くなってるじゃねえか」


「あはは、さすがに自分で言ってても萎えてしまうセリフだったね」


 自分もダメージ受けてんじゃねえか・・・


「今のですっかり寒くなっちまった。もうひと風呂温まって行こう」


 俺はそう言って、湯船に入った。


「うん、僕も寒くなってしまった。温まらせてもらうよ」


 ギルはそう言うと、俺からそう遠くない場所で湯船に浸かった。


 ・・・こいつ、本当に俺の体を狙ってるわけじゃねえよな?


「そんなに警戒しなくてもだいじょうぶさ。僕はかわいい女の子にしか興味無いからね。君だってそうだろ?」


「俺は・・・別に・・・」


 男には全く興味はねえが、それほど女に興味があるってわけじゃ・・・・・


 いや、説得力が無いか・・・




 すると塀の向こうの女湯の方から声が聞こえてきた。


「・・・あんっ・・・あんっ・・・あああんっ!・・・ジルさま!すごすぎますっ!」




 ・・・どうやらヒナの喘ぎ声だった。


 壁の向こうでヒナとジオは何やってんだ?




「・・・あっ・・・これっ・・・思たよりすごいっ!・・・・あんっ・・・いやっ・・・もうだめっ・・・」




 ・・・今度はシアの声だった。




 塀の向こうでどんな羨ましい事が起こっているのか想像してしてしまったら、再び俺の下半身は全開になってしまったのだ。


 ギルの方を見ると、ギルも同じ様に聞き耳を立てて、下半身が再燃してしまった様だった。




 そうしてその日の夜は悶々としながら明かしたのだった。




 翌朝、宿を出て再び馬車での旅路に着いた。


「昨日はすごかったですね、ジルさん。あの技はどうやって習得したんですか?」


 シアが少し興奮気味にジオに昨日教わった技の事を聞いていた。


「あれはララが開発した技だ。ララと共にいる時は毎晩寝技の研究をしている」


 ちょっと待て!

 それって違う目的の技の研究じゃねえのか?


「お二人とも研究熱心なのですね?」


「俺ではなくララが研究熱心なのだ」


「ララ先生はなんにでも夢中になりますからね」


「ああ、それがララの良いところだ」





 いい話の様にまとめているが、師匠の目的は絶対違うだろ?


 いや、師匠の事だから、二つの目的を同時に研究しているという事も考えられる。


 確かにジオに掛けられたあの技は、完全に体を拘束されて身動き一つできなくなってしまうが、同時に妙に気持ち良くもなってしまうのだ。

 技を真似してジオに掛け返してみたが、冷静に考えたらあれはかなり危ない体勢だった。


 うっかり昨日のジオの体の感触を思い出してしまうと、妙な気分になってしまう。


 ・・・こいつ、見た目は美少女だが、中身はおっさんだからな。

 いや、中身は赤ん坊だったか?

 さらに中身がおっさんなのだ。



「ああ、ゲンさまがジルさまを見て赤くなってます。きっと昨日のエッチな事を思い出してるんですよ!」


「・・・違う」


「ゲンの頭の中は常にエッチな事でいっぱいですからね」


「そんなわけあるか!」


「さすがの僕でも女性の事以外で頭を悩ませる事もあるというのに、君はそれだけで頭がいっぱいなんだね?さすが思春期の男子ってところかな」


 勝手に納得すんな!

 それにギルが女性以外の事を考えてる時があるってもの信じ難いな。


「ゲンの性欲が強い事に関しては、ララも頭を悩ませていた。弟子の性欲を解消させるのも思春期の弟子を持った師匠の義務かもしれないと真剣に悩んでいる時もあった」


 なんだと!師匠がそんな事を?


「今は俺が師匠代理だから、もしゲンが性欲を我慢できなくなったら、俺が解消してやる事もやぶさかではない」


 ・・・いや、さすがにそれは有り得ないだろ?・・・というか、師匠とだったら有り得る・・・のか?


「剣の師匠にそこまでしてあげる義務はありませんよ!本当に我慢できなくなったらゲンにはわたしがいるんですから!」


「ええ、シアさまはまだダメですよね?ゲンさまが試験に合格しないと。その点わたしなら何のしがらみもなくゲンさまの性欲のはけ口になってあげる事が出来ますよ!ゲンさま、我慢できなくなったらいつでもわたしに言ってくださいね!」


「ずるいです、ヒナさん。わたしの次でいいって言ってたではないですか?」


「それはゲンさまが我慢出来ればの話です。ゲンさまが我慢できなくなった時は仕方ないですよね?」


 ・・・二人共、何で争ってんだ。




「いやあ、モテモテだねぇ、ゲン君羨ましいよ。ねえ君たち、僕も性欲を持て余しているんだけど、解消させてくれないかな?」


「ギルさんは思春期を過ぎた成人男性なんですから自分で解決してください」


 シアが冷たくギルを切り捨てた。


「つれないねえ、僕も思春期に戻りたいよ」




 みんな好き勝手な事を言ってやがる。


 ・・・俺は別に我慢できねえほど性欲におぼれている訳じゃねえからな・・・




 そんな話をしながら旅をしているうちに、馬車は国境にたどり着いたのだった。


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