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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第八章 上級剣士
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264話 最後の試験

 いよいよあと一勝すれば晴れて上級剣士になる事が出来る。

 だが、次の対戦相手が決まるまで、俺は更なる鍛錬を続けなければならない。

 前回の試験はあくまでも運が良くて偶然勝てただけだ。

 実力では婆さんに及ばなかった事は、俺自身が一番わかってる。

 次もそんな偶然があるとも限らないし、幸運で勝利したとしてもそれでは意味が無いのだ。


 しかし相変わらず師匠は仕事が忙しいので、俺の指導はジオがやっている。




 だがそんな時に、冒険者ギルドの方から呼び出しが来たのだ。


「上級冒険者指名依頼です、これまでキア一人に押し付けて、断り続けて来たのですが、さすがに今回は断り切れないみたいです」


 俺だけでなく、シアの方にも呼び出しがかかっていた。


 シアもキアも、仮上級冒険者になって以降の活躍が認められて正式な上級冒険者に昇格していた。

 特にキアは既に上級冒険者として第一線で活躍している。

 ・・・まあ、俺とシアが仕事を押し付けたせいで、キアはとんでもない量の仕事を片付けているから、その実績は既に高く評価されている。


 あのキアがそこまで勤勉に仕事を引き受けている理由の一つには、ココさんや他の女性冒険者との合同依頼がしばしば入って来るからというのがあるのだが・・・

 しかし、キアだけではこなしきれない程、上級冒険者向けの依頼が溢れているのが現状らしい。



「とにかく、冒険者ギルドに行って話を聞くしかないみたいですね」


「しかたない、話を聞いてこよう」




 俺とシアは冒険者ギルドへと向かった。


「ところで、なんでお前らまでついてくるんだ?」


 ヒナとジオが当然の様についてきた。


「お二人で出かけるのに仲間外れなんてひどいです!」


 ・・・うん、ヒナは当然そう言うよな。


「俺はお前の指導を任されている。一時も離れる訳にはいかん」


 ・・・ジオはそう言って風呂まで一緒に入ろうとしたくらいいだからな。


「遊びじゃねえんだ。邪魔はするなよ」


 一応、そう言っとかねえとな。




「ほう?もうパーティーメンバーが揃ってるじゃねえか」


 冒険者ギルドに着くと、俺たちはそのままギルド長の部屋に通された。

 上級冒険者ともなると当然の待遇だ。


「呼ばれたのは俺とシアだけだろ?」


「なあに、俺は後の二人の素性も知ってるんだ。上級魔法士で中級剣士の実力のヒナ、それに勇者に匹敵する強さを持つと言われるジルだろ?」


 さすがにジオの本当の正体まで知ってるわけじゃねえみたいだな。


「それにしてもなんでお前の周りには美少女ばかり集まるんだ?羨ましいなこの野郎」


 なぜかギルド長に小突かれた。


「あんた、まさかその年でこいつらを狙ってんのか?」


「ばかいえ、さすがに今は手を出す訳にはいかねえが、こいつらみんな将来とんでもねえ別嬪になるぞ」


「・・・あの、ギルド長、そんな話をするためにわたし達を呼んだのですか?」


 シアたちがギルド長を睨んでいた。


「ああ、話が逸れたな。集まってもらったのは他でもねえ。上級冒険者指名依頼の件だ。ヒナとジルだったな、お前たちも実力的には上級冒険者に匹敵する。一緒に話を聞いてくれ」


 のこのこついてきたヒナとジルは有無を言わさず巻き込まれてしまった。


「お前らも知っての通り、冒険者ギルドは国を跨いだ組織だ。依頼があれば別の国に冒険者を派遣しなきゃなんねえ。特に上級冒険者は数が少ねえから、一国で独占する訳にはいかねえんだ」


「ああ、以前もそれで国外に派遣されてえらい目にあったな」


「あん時は本当にすまなかったな。特にシア、辛い思いをさせちまった」


「いえ、すでに解決した事ですから」


「だが、それが上級冒険者の宿命って奴だ。厄介な仕事だからこそ上級冒険者にしか任せられねえ」


「ああ、わかっている。今回も厄介な仕事なんだろ?」


「その通りだ、覚悟が出来てんなら話が早え」


「受けてもいいが一つだけ条件がある。俺は上級剣士試験に挑戦している。近日中に試験に合格しなけりゃならねえ。国外遠征ともなると数か月に及ぶ長期遠征になる可能性が高いが、時間のかかる依頼は受ける訳にはいかねえ」


「おう、その話なら大丈夫だ。今回の依頼は剣士試験を主宰している騎士団も協賛している。お前の上級剣士試験の事は考慮してある」


「試験期限の延長とかなら意味が無いぞ。こっちには別の期限があるんだ」


 シアの見合いが決まる前に俺が上級剣士にならねえといけねえんだ。


「それも承知の上だ。この依頼を受けてもお前の上級剣士試験に影響はねえ。お前次第ですぐにでも試験に合格できるって訳さ」


「どういう事だ?そんなに早く終わる依頼なのか?」


「依頼自体がいつ終わるかはわからねえよ。試験がいつでも受けられるってだけさ」


「意味が分からねえ。わかるように説明してくれ」




「つまりこういう事さ」


 ギルド長室のドアがhらいてどこかで聞いた事のある声が聞こえてきた。


 ・・・そしてあまり会いたくない奴が入って来た。


「君たちの今回の依頼には僕が同行するからさ」


 このキザったらしい話し方はやはりあいつだった。


「・・・ギル、やっぱりお前か?なんでこの国にいる」


 以前氷雪の国で共に戦った上級冒険者のギルだった。


「上級冒険者に国境なんて関係ないだろ?」


 確かにそうだが・・・




「そして今回、君の上級剣士試験の試験官は僕が務めさせてもらう事になったよ」


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