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【9章開始】勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第八章 上級剣士
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253話 師匠の師匠と新学期

「・・・っ!なんでジオがルルにおっぱいをあげてんだ!」


 その光景を見た俺は、口に含んだスープを噴き出しそうになった。


「どうも制服がきついと思ったら、ルルに授乳するのを忘れていた」


「・・・母乳が・・・出るのか?」


「ああ、子を産んでからまだ日が浅いからな。ララと交代でルルに授乳している」


 そういえば師匠と一緒に子供を産んだとは言っていたが・・・こういう風景を見ると生々しいな。


 一瞬だがジオの乳首をもろに見てしまった・・・


 今は乳首はルルが咥えているので見えないが・・・豊満な白い膨らみは丸見えだ。




「どうした?お前も飲みたいのか?」


 つい、その様子を見つめてしまっていた俺に気が付いたジオ、がとんでもない事を聞いてきた。


「そっ、そんなわけないだろう!」


「ジオ様!ゲンのいる前で授乳はどうかと思います!」


 シアが慌てて俺の目を手で隠した。

 

「そうか?男同士だし別に構わんが?」


「構います!ジオ様は今は女の子の体なんですよ!」


「そうですよ!ゲンさまはこういうエッチなシチュエーションにめちゃくちゃ弱いんですから!」





 ・・・ひどい言われ様だな。


 俺のそっち方面の評価がどんどん下がっている気がする。



「これは学院に言ってもぼろが出ない様にわたし達が常にジオ様のお傍にいた方が良さそうですね」


「はい、油断していると、すぐにゲンさまとジオさまがエッチなシチュエーションになってしまいます!」




 何か釈然としないが、ジオは他の男子生徒の注目も集めるだろうからシアたちが目をかけてくれているに越した事はない。




 ジオは授乳を終えると制服を整えて食事に戻った。


 みんなの食事が終わったところで、一緒に学院に向かった。




 久しぶりの登校だが・・・俺たちは完全に周囲の視線を集めまくっていた。

 何しろ学院トップクラスの美少女二人に加えて、新たにもう一人、タイプの異なる艶やかな黒髪の絶世の美少女が現れたのだ。


 ・・・そして美少女三人に間こまれている俺に対する男子生徒たちの視線は、以前にも増して攻撃的な物になっていた。


 ジオは俺やシアと同じ学年に編入する事になった。

 一人だけ別のクラスのヒナは残念がっていたが、剣士講座では一緒になるので我慢してもらった。


 教室に入ると案の定、俺たちは人垣に囲まれてしまった。

 というか、俺は人垣の外に追いやられてしまった。


 クラスのみんなにとってはシアは久しぶりの登校だし、一緒にいる黒髪の美少女の事が気になって仕方ない様だ。


 シアが自分の報告を当たり障りない範囲で説明したり、皆にジオの紹介をしたりしている。


「ええと、彼女はジルと言いまして、先代の勇者であるジオ様の親戚にあたります。外国に住んでいたのですが、しばらくの間この王都に滞在するので、その間は臨時で学院に通う事になりました」



 これはあらかじめ申し合わせていて、ジオは少女の姿の時はジルと名のる事になっている。

 容姿については、先代の勇者を知っている人からすると、雰囲気のよく似たジルの出生が気になる人は多いだろうという事で、初めからジオの親戚という設定で紹介する事にしたのだ。


「俺の名前はジルだ。よろしく頼む」


 ジオはいつものようにぶっきらぼうに挨拶をした。

 言葉使いは男っぽいのだが、外観とのミスマッチで、それなりにキャラが確立している。


 こういうタイプの女の子が好きな男子は意外と多い。

 更にジオは、男子だけでなく女子からも注目を集めていた。

 男っぽさのあるクールな美少女というのが、女子達の琴線に触れたらしい。


 ジオは男女を問わず質問攻めにあっていた。

 さながらシアがマネージャーの様にそれをさばいている。




「あの・・・ジルさんは彼氏とか、いるんですか?」


 一人の女子がストレートな質問を投げかけた。


「彼氏?・・・いや、俺は既に結婚している」


 そういえばこの質問に対する返答を用意していなかった・・・ジオは素直にそのままを答えてしまった。


「ええっ!結婚しているって?」

「お相手はどんな方なんですか?」


 当然の様に質問が激しくなった。


「ええと・・・相手は・・・」


「ジルの結婚相手は外国の方なんです!」


 うっかりジオが本当の事をしゃべりそうだったので、シアが慌ててフォローを入れた。


 この学年の生徒は、今年成人になる者も多い。

 既に誕生日を過ぎて成人している者もいる。

 結婚していてもおかしくはない年齢なのだ。

 かく言う俺とシアも、今年の誕生日で成人を迎える。


 さすがにこのクラスに結婚している生徒はまだいなかった。


 ・・・なんだったら俺とシアが一番乗りになる予定だ。




「そんな・・・出会ったその日に失恋なんて・・・」


 さっきまで舞い上がっていた男子生徒の何人かはがっくりとうなだれていた。


 ・・・俺にもそんな事があったな・・・


「まさかその相手ってお前じゃないよな?」


 とんだとばっちりが俺の方に来た。


「そんな事あるわけないだろう」


「こんな若さで人妻なんて・・・相手の男はなんて幸運なんだ」

「ねえ、結婚生活ってどうなの?その辺詳しく教えて」


 また、違うベクトルで質問攻めが始まった。



「みんな、ちょっと落ち着いて!ジルには学院にいる間は普通の学生として接してあげて欲しいの」




 シアの一声でみんなの質問攻めはようやく落ち着いたのだった。


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