251話 師匠の師匠と孫弟子
昨日は諸事情により投稿できませんでした。
訳が分からないまま、俺は大きく吹っ飛ばされた。
「いったい今、何が・・・」
そして間髪入れずにロングソードが俺に向かって叩き込まれる。
咄嗟に受け止めようとした俺のロングソードが押し負けて、今度は横に飛ばされる。
かろうじて剣で受けるのが精いっぱいで、打ち返している余裕などない。
・・・これがジオの本気か・・・いや、まだこんなもんじゃねえんだろうな。
今までは身体強化を使わない俺に合わせて、ジオも通常の腕力で対応していたのだろう。
それが今度は身体強化を使った戦い方に切り替えてきたのだ。
「上級剣士試験では相手の上級剣士は身体強化を使ってくる。その上で身体強化を使わずに打ち勝つというのであれば、更なる鍛錬が必要となる」
ジオの言う通りだ。
上級剣士ともなれば、力だけでなく技も一流の猛者ばかりだ。
同じ技量じゃ勝てる訳がねえ。
地下れで劣る分、相手を遥かに凌駕する技量が必要となる。
・・・だが、師匠はそれを成し遂げている。
絶対に不可能って訳じゃねえ。
「望むところだ。遠慮無くやってくれ!」
その後、俺はジオに一方的に蹂躙されまくった。
おそらくこれは、ジオの勇者としての全力ではなく、一般的な上級剣士の力量で相手をしてくれたのだろう。
亜魔女となった俺は、有り余る魔力を持っている。
ストーンブレードを使ったシナジーアタックを使えば、今のジオにも互角に対応できる自信はある。
だが、上級剣士試験はあくまでも剣術の試験だ。
身体強化の使用は認められているが、それ以外の魔法の使用は禁止されている。
今の俺は身体強化も使える。
いっその事身体強化を使おうか何度も迷っている。
だがここで身体強化を使って試験に合格したとしても、それでは剣聖まで到達できない気がしている。
かといって、今回の試験に失敗するとシアと結婚する事が出来なくなってしまうのだ。
・・・シアが他の男のものになってしまうなど、絶対に我慢できない。
前回の事件で、夢の中でシアが大勢の男たちに凌辱されているところを見てしまった。
あれは身を切られるよりつらい光景だった。
・・・どんな事があっても、あれを現実にしてはならない。
「悩んでるみたいですね?ゲンさま」
休憩時間に一人で考え込んでいた俺に、ヒナが声をかけてきた。
「シアさまの為なら何も迷う必要はないんじゃないですか?」
「・・・そうだな・・・俺のつまらない意地のために、シアを不幸にする訳にはいかねえよな?」
確かに・・・シアの幸せを一番に考えたら迷う必要なんか無いんじゃねえか!
「でも、ゲンさまがそれで妥協したらシア様は悲しむでしょうね」
・・・そうだな・・・シアの性格からして、シアはシアで自分より俺の事を優先して考えるはずだ。
俺が夢をあきらめてシアを選んだとしても、シアは一生その事を引きずるだろうな。
「大丈夫です!シアさまがダメでもゲンさまにはわたしがいますから!安心して撃沈してください!」
ヒナは少し悪そうな笑顔でガッツポーズをしていた。
「結局どっちなんだ?お前は」
「え?わたしはどっちでもいいですよ?ゲンさまを独り占めしたいっていうのも本心ですし、シアさまと一緒にゲンさまのお嫁さんになって、3人でエッチしたいっていうのも本心です」
「3人でって・・・そういうのは交代でするものじゃねえのか?」
「それならわたしとシアさまの二人でっていうのもアリですね。最近よくシアさまと一緒にお風呂に入るんですけど、シア様の体って柔らかくてすべすべで、本当に気持ちいいんですよ。実はゲンさまより先にシアさまの体を思いっきり堪能しちゃってるんです!」
なんだって?シアの、あの無垢な体がヒナにもてあそばれているのか?
「それから・・・ララさまが女の子同士でエッチする時のテクニックをいっぱい知ってるそうなんです。今度教えてもらってシアさまと試そうって考えてるんですよ」
ヒナがとんでもない事を言い出した。
「ちょっと待て!なんで師匠がそんな技を知ってるんだ!それにどうやって教わるつもりだ?」
「ララさまが女の子同士の愛し方をマスターしたのはジオさまが女の子の体だからじゃないですか?」
・・・そうか・・・師匠とジオは夜な夜なそういう事をやっているのか・・・確かに、夫婦だから別に悪い事ではないのか?
俺がジオの方をチラッとにらむと、少し離れた場所で休憩していたジオがきょとんとした顔でかわいく首を傾げた。
・・・この美少女が師匠とベッドの上で裸でもつれ合っているだと・・・
つい、先日見たジオの裸を思い出してしまった。
「わたしにはララさまが実践で教えてくれるそうです」
「・・・なんだと?・・・」
「この前ララさまと一緒にお風呂に入った時に、少しだけ試してくれたんです!ちょっとだけどすごく気持ちよくて、癖になっちゃいそうでした。本格的に知りたかったら今度直接教えてくれるって言ってました」
・・・ヒナが師匠とベッドの上で濃厚なエッチをするだと・・・
・・・ヒナめ、シアだけでなく師匠の体も俺より先に堪能するというのか!
「じゃあ、今度はわたしがジオさまに稽古をつけてもらいますね?」
ヒナはそう言ってジオの方に走って行った。
・・・俺はヒナに謎のライバル心を燃やし始めていた。




