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【9章開始】勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第八章 上級剣士
248/323

247話 師匠の帰還

連載再開します。

「ゲン、私と赤ちゃん作ろう!」


 王国に帰って、ひさしぶりに対面するなり、師匠の第一声がこれだった。


 ・・・一瞬、何を言われたのか理解できなかった。


 これは白昼夢なのだろうか?

 俺は師匠に対して妄想を抱きすぎて、夢と現実の区別がつかなくなってしまったのだろうか?




「ララ様、男性を見るたびに見境なしに性交渉を求めるのはいかがなものかと思います」




 ・・・なんだって!・・・師匠、男とだったら誰とでもするようになっちまったのか!




「ちょっと!シィラ!人聞きの悪い事言わないでよ!見境無じゃないよ!この人とだったらありかな?って思える相手にしか声をかけてないじゃない!」


 ちょっと待て!・・・それって、師匠が俺とだったら子供を作る行為をするのもアリだと思ってるって事じゃねえか?


 ・・・これは・・・俺が了承すれば交渉が成立するって事なのか?


「師匠、俺は・・・」


 俺は、迷いながらも承諾の返事を口にしようとしていた。


 ・・・多分これは夢だ。


 だが夢でも構わねえ・・・いや、夢だからこそこの機会を逃すのはもったいない。


 憧れの師匠と関係が持てるのだ。

 現実ではありえない事でも夢の中ならそれが許されるかもしれない。

 



「ゲン様、申し訳ありません、ララ様は先の遠征中に出産された我が子と生き別れになってしまって、精神状態が不安定になっておられるのです。今の話は無かった事として聞き流して下さい」


 俺が迷っている内に、師匠付きのメイドのシィラにはっきりと拒絶されてしまった。


「シィラってば、ひどいよ!それに本当に赤ちゃんを作ろうと思ってるわけじゃないからね!この人と赤ちゃんを作ったらどんな子が生まれるんだろうって想像して心の隙間を埋めてるだけだから!」


「心の隙間はルル様で埋めて下さい」


 シィラが師匠にルルを手渡した。


「ルル~、ラルとジルに会いたいよ~」


 師匠がルルを抱きしめながら呼んでいるのは生き別れたという子供だろうか?


 っていうか、いつの間に子供を産んでたんだ?

 しかも二人?


 それほど長い期間旅に出ていたわけでもねえよな?




「ララ、そんなに子供が欲しいなら俺がお前の子を産んでやると言っただろう」


 師匠の隣にいた黒髪の美少女がとんでもない事を言い出した。

 さっきから気にはなっていたんだが、この美少女は一体誰なんだ?


「ジオ様、お気持ちは嬉しいのですが、やっぱりそれもどうかと思うので、赤ちゃんは私が産みます!」


 師匠はこの黒髪の美少女をジオと呼んだが、一体どういう事だ。


「師匠、今そいつをジオと呼んだか?」


「うん、そうだよ。この娘がジオ様の今の姿だよ」


「ジオだって!なんで女の姿になってんだ?」


 確かに髪の色や目の色、それにクールな表情はジオっぽい。


「ジオ様はちょっと複雑な事情があって、女の子の姿に変わってしまったんだよ。でもかわいいでしょ?」


 師匠はそう言って女性版ジオに擦り寄った。

 

 ・・・美少女二人が密着してる図は、神々しささえ感じる。


「一応赤ん坊の姿には戻れるぞ」


 そう言うとジオは見る見る縮んでいき、パサリと床に落ちた服の中に、男の赤ん坊が立っていた。


「・・・確かに、ジオじゃねえか」


 一歳くらいの、ようやく立てるようになった赤ん坊が、しっかりとした姿勢で鋭い眼光を放っている。

 これは間違いなくジオだ。


「自分で姿を変えられるのか・・・それなら元の姿にも戻れるのか?」


 ジオは本来は成人男性だったはずだ。

 その姿に戻れば、師匠とは本当の夫婦の関係に戻れるんじゃねえのか?


 そうか、それでジオが元の姿に戻れたから、二人目の子供を作ったって事か。


 そんな事を考えていたら、ほんの少しだけ胸の奥に痛みを感じた。




「それが、何か制約がかかっていて、元の成人男性の姿には戻れないみたいなんだよね」


 師匠は頬に手を当てて、少し困った顔でそう言った。


「今は、赤子の姿か少女に姿にしかなれん」


 ジオはそう言うと体が大きくなり始め、手足がすらっと伸びて、股間にあったものが引っ込んで胸が膨らんでいった。


 そうして再びさっきの少女の姿に戻ったのだ。




 ・・・って!全裸じゃねえか!


 俺の目の前には黒髪金髪の、この世の物とは思えないくらい美しい姿をした美少女が全裸で立っていたのだ!


「わわっ!ダメだよジオ様!早く服を着て!ゲンは思春期の男の子だから、女の子の裸が大好きですぐ興奮しちゃうんだから!」


 あっけにとられてジオの裸を凝視していた俺の視界を師匠が遮った。




 ・・・師匠・・・師匠の俺に対する認識って、そんな感じになっているのか?




「べっ、別に女の裸が大好きなわけじゃねえ!偶然そういう機会にやたらと遭遇するだけだ!」


 


 ・・・いや、実際には興味が無い訳じゃねえんだが・・・


 目を逸らしつつも、師匠にせかされて下着を付けているジオをついつい横目で見てしまっていた。

 さっきのジオの裸がしっかりと目に焼き付いてしまって、あろうことか俺の下半身はしっかり興奮気味になっていた。



 それにしても・・・・・ジオの裸を見て興奮してしまったという事実に、何とも複雑な心境になっちまった。


『勇者を名のる剣聖の弟子』連載再開します。


『勇者の弟子はお嫁さんになりたい!』の方はしばらくお休みします。

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