239話 救済作戦開始
「ヒナ!突然何やってるんだ!」
目の前のヒナは、いきなり全裸になってしまった!
「ふふっ、これでゲンさまと一緒です!」
一緒ですって、若い男女が一緒に裸になったらだめだろう?
「さあ、ゲンさま!今から私を抱いて下さい!」
ヒナはそう言って両手を俺の方に差し出した。
「ヒナ!こんな時に何をしてる!」
「・・・ゲンさま・・・わたしに考えがあるんです・・・今はわたしに話を合わせて下さい」
ヒナは向こうのヒナやシアに聞こえない様に小声で俺にささやいた。
「どうするんだ?」
俺も小声で聞き返す。
・・・ヒナは小声で俺に作戦を教えてくれた。
それは、生きる事に絶望してしまったシアの嫉妬心を煽って生への執着を取り戻させるというものだった。
確かに・・・前にも同じ様な方法でシアの意識を取り戻した事があった。
「わかった。その作戦で行こう。ただし、あくまでもふりをするだけだからな」
「もちろんわかってます!」
「さあ、ゲンさま!シアさまも認めて下さいましたし、もう誰にも遠慮する事はありません!今すぐわたしとエッチしましょう!」
今度はヒナは、シアにも聞こえる様に大声で言った。
「ああ、そうだな。ヒナ!今からお前を抱くぞ!」
俺も無駄に大きな声で言う。
「シアさま!かまいませんよね?」
「・・・ええ・・・ヒナさん、ゲンを・・・幸せにしてあげて下さい・・・」
シアは、少し驚き、貯めらながらも小声で返事をした。
「悪いな・・・シア・・・俺はヒナと幸せを掴む!では行くぞ!ヒナ」
「ええ、いつでもどうぞ!」
ヒナは仰向けに寝そべると両足を大きく開いた!
ヒナの体は、腹に大きな傷跡はあるものの、他はきれいですべすべの肌をしていた。
シアとよく似た、形の良い胸の膨らみの先端は、きれいな桜色をしている。
そして足を思いっきり大きく開いているにもかかわらず、ヒナの足の間にあるそれは・・・無垢な少女にふさわしく、つつましくぴったりと閉じている。
まさに理想的な美少女の体が、俺を受け入れる体勢でそこにあった。
それを見ただけで、俺の下半身はもう、限界を迎えそうになってしまった!
・・・いかんいかん、ここで終ってしまっては作戦が遂行できない。
「あっ、そうだ!旅の間にこうやってゲンさまとは何度も裸を見せ合ってきましたけど、これを見てくれるって約束がまだでしたよね!」
ヒナはおもむろに両手の指をそこに当てると、いきなりくぱっと左右に開いたのだ!
一瞬、きれいなピンク色が視界に入りかけた俺は、慌てて視線を逸らした。
・・・危うく直視してしまうところだった!
今それを直視してしまったら、おそらく俺は終ってしまっていた。
でも、露骨に顔をそむけてたり、目をつむってしまうと、シアに怪しまれるので、顔は正面を向けたまま、目線だけをシアにわからない様に逸らしたのだ!
・・・だから視界の片隅には今もちらちらとピンク色が見えてしまっているのだ!
「ヒナ!いきなり何するんだ!」
「こういうのはやり過ぎるくらいで無いと上手くいきません!」
俺とヒナは小声でやり取りをする。
「さすがにそれはやり過ぎだ!」
「本気に見えないと意味がありませんよ」
「・・・わかった・・・できるだけ努力する」
俺はヒナの体に覆い被さり、ヒナのそこに顔を近づけた。
「おお!何て魅力的なんだ!ヒナのここは!」
それを凝視しているかの様に振舞っているが、直視しない様に全力で目線を逸らしている。
作戦遂行のために途中で終る訳にはいかない。
シアには背を向けているから俺が目線を逸らしている事はわからないはずだ。
「ありがとうございます!・・・でもゲンさま・・・わたしの体は穢れています。今の姿は魔法で再生したものですが、穢れた過去の事実は変わりません。それでもよろしいのですか?」
「過去の事なんか関係ねえ!今のヒナはこんなにかわいいんだ!それで十分だ!」
・・・ちょっとわざとらしかったが、シアにこれを伝えたかったのだ。
「嬉しいです!ではわたしをゲンさまの物にして下さい!」
「ああ、今から俺の物にしてやる!」
俺は仰々しくそう言って、ヒナに体を重ねた。
だが、あくまでもフリでなくてはいけないので、俺の先端がヒナのそれに接触しない様に細心の注意を払う。
「ゲンさま!もっと体を寄せて!」
ところがヒナが俺の体をグイっと抱きしめた。
「あっ!」
「ひゃん!」
ヒナが急に俺を抱き寄せたために、俺の先端はヒナのその部分にちょっとだけ触れてしまったのだ!
さっきのシアの時とは違う、柔らかくてとろとろな、何とも言えない気持ちの良い感触が先端に伝わる。
そう・・・本来シアもこういう感触のはずなのだ。
・・・って、そうじゃない!
俺は慌ててヒナから腰を離す。
「ヒナっ!何するんだ!当たったじゃないか!」
「ゲンさま!本気に見せないと上手くいきませんよ?」
「ふりだけだって言っただろう?」
「シア様に怪しまれたら失敗しますよ。もう、いっその事本当にしちゃいましょう!」
ヒナはそう言って再び腰を寄せてきた!
「ちょっと待て!何を言ってるんだ!」
「ゲンさま!シアさまのためですよ!作戦です!」
ヒナが執拗に俺に腰を寄せて来る。
俺は必死にそれを躱す。
かといって、露骨に避けてしまっては、シアに怪しまれて作戦が失敗してしまう。
ぎりぎりを見極めて避けなければいけないのだ!
・・・こうして謎の攻防が繰り広げられていた。
二人で腰を激しく動かして、意味不明のダンスを踊っているみたいになってしまった!
俺はヒナの攻撃をほとんど寸前で躱していたのだが、たまに油断して、僅かに先端を擦ってしまう時がある。
そして、そのわずかに擦れた時の快感が半端ないのだ。
あやうくこのままヒナと結ばれてしまいたいという欲求に支配されそうになってしまう。
その感情に抗いつつ、更にヒナの物理攻撃も避けないといけないのだ!
・・・ある意味とてつもない試練だった。
「ヒナ!こんなのでほんとに上手くいくのか?」
「わかりません。でも、失敗してもわたしは役得ですから!」
「なっ!なんだって!」
ヒナ!確信があったわけじゃないのか?
「隙あり!」
一瞬戸惑った俺にヒナが口づけをした。
油断した・・・下半身にばかり気を取られていたせいで、上半身が疎かになっていた。
その隙にヒナが俺の首に手を回して顔を近づけ、キスをしたのだ!
そしてヒナが俺をぎゅっと抱きしめたために、ヒナの柔らかい胸のふくらみが俺の胸に押し付けられる。
何とも気持ちの良い、唇と胸の感触に、俺は一瞬我を忘れた。
ここまま、ヒナと一つになりたいという欲望に頭が支配され、無意識にヒナに腰を沈めようとし始めていた。
「ヒナさん!ずるいです!」
その時、シアの声が響き渡った。
シアの方を振り返ると、シアがもう一人のヒナの束縛を振り払って立ち上がっていた。
「わたしだって!ゲンとそういう事したいです!」
そう叫んだシアの体は、全身から光を放ち、瞬く間に全身の傷や病が修復されていったのだ!
そうして、全身から湯気がたちのぼる中・・・
元通りの天使の様に美しい姿に戻ったシアが立っていたのだった。




