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【9章開始】勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第七章 魔女の夢
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238話 新たな人格

「俺の、師匠への想いが今のヒナを作ったってのか?」


「はい、シア様の処置によって、わたしはゲンさまに・・・恋をしてしまいました。そして同時にゲンさまの過去を見てしまったのです」


 ちょと待て、ヒナはそういう目線で俺の過去を見ていたって事は・・・


「ゲンさまの過去の行動や、考えから、ゲンさまがシアさまの事をとっても愛していて、大切に思っている事は十分に知る事が出来ました。それはシアさまが植え付けてくれたゲンさまのエピソードとも一致していて、わたしはとても幸せに気持ちになる事が出来ました」


 ・・・つまり、俺とシアの結構きわどいエピソードや、その時の俺の下心もヒナには知られてしまってるって事だよな?


「でも、その時点でのわたしは、本来の引っ込み思案な性格と、シアさまの他人に対する献身や自己犠牲の性格が合わさった状態でした。ですからゲンさまへの想いを心の奥に封じ込めて、シアさまとゲンさまのために自分は身を引いて、ゲンさまの前から姿を消し、ゲンさまへの想いだけ胸に抱いてひっそりと生きていたんだと思います」


「やっぱりそうだよな?今の性格とは違うんじゃねえのか?」


「はい、そうです。でもそんな時にわたしは、ゲンさまの記憶の中でひと際強く輝いている、ララさまの存在から目を離せなくなっていたんです」


 ・・・俺の心の中をのぞいたのなら・・・当然気が付くよな?


「シアさまという最愛の方を真剣に愛しているゲンさまの中で、これほど大きく心を占めているララさまがどんな方なのか興味が出てしまって、ゲンさまの中のララ様に関する記憶をたどってみたんです」


 ・・・それは・・・まずいのでは・・・


「ゲンさまはララさまに対して強い尊敬とあこがれ、それに・・・異性としての好意を抱いていました」


 ・・・やっぱり・・・知られちまったか!


「それはララさまの『剣聖』としての圧倒的な剣の強さに対するものだというのはわかりましたが、それだけでは無く、どんな事があってもめげない前向きで明るい性格によるところが大きいのだと悟りました。見た目も含めてあんなに魅力的で素敵な女性を他に知りません。わたしもララさまの事が大好きになりました」


「・・・全部、わかっちまったんだな?」


「はい、ですから男性のゲンさまがララさまに対して、そういう感情を捨てきれないのは当然の事だと思います」


 ・・・俺の深層心理までもろばれだった。


「そんなララさまの存在を知って思ったんです!折角新しい人生を歩むのなら、わたしもララさまの様に生きてみたいと!」


「それじゃあ、ヒナのその性格は・・・」


「はい!わたしが自分の意志で、ララさまみたいな人になりたい!って決めて、そうしているんです!」


 ・・・そうか・・・今のヒナの人格は、師匠の様になりたいと思ったヒナが自分で作り上げた人格だったんだ。


「それは、言うほど簡単な事ではないんじゃないのか?」


 自分の性格なんて、自分の意志で簡単に変えられるものじゃない。


「はい、簡単ではありません。ですからまず形から入ろうと思って・・・そこで魔法を封印して剣士を目指してみたんです」


「ん?・・・どうしてそう思ったんだ?」


「はい、ララさまもゲンさまも、魔法にそれほど強い関心を持っていらっしゃいませんよね?それにララさまは以前は魔法が使えなかったと伺いました。ですからララさまの性格は、魔法が使えなかった時代に、剣だけで生きてきた事による自信が元になっていると思ったんです」


「確かに、そうだな。俺が憧れているのは剣だけで最強の剣聖になった師匠だ」


「そうですよね?ですから剣を極めた方がゲンさまからの好感度も高くなるし、一石二鳥だったんです!」


 ・・・この辺のあざとさも、ある意味師匠っぽいな・・・


「そうするとヒナが魔法を使えなかったのは・・・」


「はい、自分で自分の魔法を封印していました。セナ様にはばれていたみたいでしたけど」


「そうだったのか・・・じゃあ、もしかしてその傷の治癒は自分でやったのか?」


「はい、そうです。これは魔法の封印を解除して自分で治しました。一応魔女の高位治癒魔法は覚えていましたので・・・でも実際に使ったのが初めてだったのと、急いでくっつけたので、見た目まできれいに治す事が出来ませんでした・・・」


 ヒナは少しだけ悲しそうな顔をした。


 高位の魔法を発動できるといっても、その制御には訓練がいるはずだ。

 ましてや治癒魔法となると、魔法の制御技術によって結果が大きく左右されるのだろう。


「そうか・・・でも生きていてくれたのならそれだけで十分だ」


「こんな傷跡があっても嫌いにならないですか?」


「当たり前だろう。そんな事でヒナを嫌いになるはずがない」


「嬉しいです!」




「ちょっと!あなたたち!シアさまを放っておいて何をいちゃいちゃしてるんですか!ゲンさま!そいつの言う通りにしてもシアさまを救う事は出来ませんよ!」

 

 シアのそばにいるヒナの言う通り、どうやってシアを助ける?


「何か案があるのか?」


 俺は目の前のヒナに問いかけた。


「はい!こうするんです!」


 俺の目の前のヒナはすっくと立ちあがると、おもむろにインナースーツを脱ぎ始めたのだ。


「何をしてるんだ?ヒナ!」




 そしてヒナは、身に付けていたものを全て脱ぎ捨てて・・・全裸になってしまったのだった。


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