235話 魂の救済
※文章中に性的な表現と不快な表現があります。
「ゲンさま、このままシアさまと結ばれてください!」
「ヒナ、何を言っている?」
こんな時に何を言い出すんだ。
「ゲンさま!シアさまの心を救うには、どんな姿になってもゲンさまがシアさまを変わらず愛しているという事を伝えればいいんです!」
・・・確かに・・・それならシアの心を救い出す事が出来るかもしれない。
どんな事になっても俺がシアを愛している事を証明するにはそれが一番確実だ。
「そう・・・だな・・・それしかないか?」
「そうです!こういう時は言葉ではなく行動で示さないと伝わりません!」
ヒナが力強くうなづいた。
「シア、今からお前を抱くぞ。いいな?」
目を逸らしていたシアが、やっと俺の目を見た。
「・・・やめて!・・・そんな事をしたら・・・ゲンまで穢れてしまう・・・」
その目からは止めどなく涙が流れていた。
「シア、どんな姿になっても俺はシアを愛している。その事実は変わらない」
そう言いながら、俺は装備を外していった。
「・・・ゲン・・・そんな事をされても・・・わたしは・・・嬉しくない」
シアは泣きながら首を横に振っていた。
装備を全て外した俺は、インナースーツも脱いでいく。
そうして、全てを脱ぎ捨てて俺は裸になった。
・・・俺の下半身は、シアの体を目の前にしても元気が無かった。
だめだ!これではシアに愛を伝えきれない。
俺は自分のそれを手で掴み、激しく動かし始めた!
そして目をつむり、過去に見たシアのあられも無い姿の数々を思い出す。
効果はてきめんで俺の下半身のそれはみるみる大きくなっていった。
当たり前だった。
今まで何百回もこうして繰り返してきたのだ。
これまでに見てきたシア姿は全て、いつでも鮮明に思い出す事ができる。
だが、過去の思い出を頼りにしているだけではダメだ。
今のシアを愛せなければ意味が無いのだ!
俺は目を開いて、目の前にあるシアの体を凝視した。
「・・・いや・・・見ないで・・・」
シアは、俺に見られていると知って足を閉じようとした。
しかしヒナがそれを阻止した。
「だめです!シアさま!ゲンさまを受け入れて下さい!」
ヒナがシアの後ろから手を回して、シアの両膝を思いっきり左右に開いた!
「ああっ!・・・放して!ヒナさん!」
さっきよりも大きく広げられたシアのその部分は、膿のたまった袋が破れて黄色い膿が更に吹き出し、体内からは白濁した男性の体液が更に流れ出してきた。
見るに堪えないシアの姿と、肉の腐ったようなにおいに、俺は思わす吐き気をもよおし、目を背けそうになったが、ぐっとこらえて目を逸らさずに、その光景を凝視し続けた。
この状況においても俺は下半身を萎えさせてはいけない。
そんな素振りを見せればシアが傷ついてしまう。
俺は今まで以上に激しく手を動かし、下半身の状態を維持し続けた。
今の状態のシアをありのまま愛し続ける事が出来なければ、シアを救う事が出来ないのだ。
「・・・ゲン・・・もうやめて・・・お願い・・・わたしを殺して・・・」
シアの目からはこれまで以上に大量の涙がこぼれ出していた。
「何を言っているシア、今から助けてやる!」
俺はシアに体を重ねた。
俺の体とシアの体が密着する。
かつてのすべすべで柔らかく、いい匂いのしていたシアの体は・・・
ある部分はガサガサになり、またある部分はべとべとしていた。
そして強烈な腐臭が鼻をついた。
まるで死体に抱きついたみたいな感触だ。
だがここで不快な様子を微塵でもシアに気取られてはいけない。
いや、今のシアを本心から受け入れる事が出来なければ意味が無いのだ。
俺は笑顔を絶やさずにシアに顔を近づけた。
「シア・・・愛している」
そしてシアの唇に唇を重ねた。
・・・シアの唇はひどくがさついていた。
口の中には血の味と混ざって腐った卵の様な味が流れ込んでくる。
思わず吐き気をもよおしそうになったが、吐きそうになるのを必死に堪えた。
シアは必死にもがき、俺から逃れようとしている。
しかし、今シアを離すわけにはいかない。
俺は力づくでシアを抱きしめた。
シアは、これまで以上に強く悲しみ、強く俺を拒絶しようとしている様に見える。
・・・だがこれは、俺とシアに課せられた試練だ。
これを乗り越えなければ、シアを救い、真にシアと結ばれる事は出来ないのだ。
俺は不快感を必死に抑え込み、こんな事になってもこのシアを変わらず愛し続けるのだと強く念じ続けていた。
どんなに辛くても最後までやり遂げてやる!
俺はそう強く決心して、この試練を達成する事を固く誓った。
「さあ、ゲンさま!このままシアさまを救って下さい!」
シアの後ろでヒナが俺を応援してくれている。
こんな状況でもヒナは屈託のない笑顔で俺を応援してくれるのだ。
極限状態だった俺は、そんなヒナの笑顔に救われていた。
このところ、いつもこの、ヒナの笑顔に助けられている気がする。
今だってヒナの後押しが無ければシアを救い出す事を諦めていたかもしれない。
ヒナがいてくれるから、俺はこんな苦行だって乗り越える事が出来る気がした。
一瞬・・・脳裏に不穏な考えがよぎってしまった。
こんな状態になり全力で俺を拒絶しようとしているシアをここまでして救う必要があるのか?
それよりも、ヒナと幸せになる方が楽なのではないか?
・・・だが、すぐ我に帰って、自分がそんな事を考えてしまった事に驚愕していた。
この期に及んで、そんな事を考えてしまった自分が情け無くて仕方がない。
迷っているから更なる迷いが生まれてしまうのだ!
迷うな!
このまま一気にシアと結ばれてしまえば全て解決するのだ!
「行くぞ!シア!」
「そうです!シアさまを救ってください!」
シアを羽交い絞めにして捕まえているヒナが俺を後押しする。
「・・・いや・・・殺して・・・」
シアの絞り出した声は、救われるどころか絶望の底に沈んでしまいそうだった。
だが迷ってはいけない。
これでシアを救う事が出来るのだ!
俺は下半身でまだ大きさを保っているそれの先端をシアのその部分に当てがった!
「ひぃっ!」
それが触れた瞬間、シアが小さな悲鳴を上げた!
俺も先端に触れた、何かドロドロした感触に、本能的な嫌悪感を感じてしまった。
その感触は、何度も何度も想像して、夢に見てきた感触とは程遠いものだった・・・
・・・だが、これに打ち勝たなければシアを救う事は出来ないのだ!
「・・・いやぁ・・・・・こんなのは・・・・・いやだよぉ・・・・・」
シアは大粒の涙をぼろぼろとこぼしているが、俺はもう迷わない。
今の姿のシアもシアなのだと、受け入れると決めたのだ!
覚悟を決めて、腰を一気に前に押し出そうと力を込めた!
「だめですっ!!!」
その時、背後からかけられた大きな声に反応して、俺は思わず動きを止めた。
その声にはそれだけ強い力があった。
・・・今の声は・・・?
振り返るとそこには・・・
息を切らして必死の形相の・・・ヒナが立っていたのだ。




