233話 絶望の再会
※文章中に性的な表現と不快な表現があります。
最後の結界の向こうに、ようやくシアの姿を見つけた。
だが、シアは周りを無数の男たちに囲まれていた。
何人もの男にまとわりつかれて良く見えないが、おそらくシアは裸だ。
そしてシアの周りの男たちもほとんどが裸だった。
両手両足を男たちに捕まれ、それらの男たちに体中を舐め回されていた。
胸にむさぼりついている男もいる。
そしてシアの背後にいる男は恍惚の表情で腰を激しく前後に動かしていた。
シアは感情の無くなった表情で、それらの行為を甘んじて受けていたのだ。
・・・何なのだ・・・この状況は・・・?
俺は目の前の光景を、受け入れる事が出来なかった。
何かの見間違いだと思いたかった。
俺が状況を飲み込めずに動けないでいると、その間に、シアの背後の男は快感の頂点をむかえた様だ。
すると別の男がその男を引きはがし、今度はそいつがシアの背後に張り付いて、腰を激しく動かしし始めたのだ。
「・・・シアに・・・シアに何をしてる!貴様ら!」
それを見た瞬間、俺の感情の糸が切れた!
俺はストーンブレードを構えて、男たちの中に突っ込んでいった!
ストーンブレードで男たちを片っ端から薙ぎ払う。
ストーンブレードを刃の無いバージョンにしていたのは僅かに残った理性などではない。
一太刀で切り捨てるだけでは気が済まなかったのだ!
一思いに殺さずに、何度も何度も叩きのめしてやるという願望がそうさせていたのだった。
「シア!しっかりしろ!いま助けるからな!」
俺はシアに群がる男どもを叩き伏せながらシアに近づいていった。
その間にもシアにとりついている男は次々と入れ替わっていく。
シアは表情を変えずにその行為を受けていた。
しかし、感情とは関係なく、体だけがその行為にびくんびくんと反応していた。
「貴様ら、それ以上シアに触れるな!」
俺は、鬼神のごとく男たちを打ち払った。
「シア!俺だ!ゲンだ!目を覚ませ!」
ひときわ大きな声で叫ぶと、シアがぴくっと反応した。
届いた!
俺の呼びかけに反応した!
「シア!そうだ!俺だ!いま助けるからな!」
シアの目がゆっくりと俺の方を見た。
そして俺と目が合った瞬間・・・
一瞬、驚愕の顔になったシアは、次第に苦悩と悲しみの顔に変わっていった。
そして、目から涙があふれ始めた。
「いやっ!来ないでっ!」
シアの口から出たのは拒絶の言葉だった。
「シア!いま助けるからな!」
「だめです!・・・こっちに来ないで下さい!」
「何を言っている。すぐに助けてやるから!」
「・・・だめ・・・わたしを・・・見ないで・・・下さい」
見ないでと言われたが、俺はさっきより距離の近づいたシアをしっかりと見てしまった。
・・・シアの体は・・・全身傷だらけで、更に皮膚のいたるところが変色していた。
体中に無数にある切り傷や擦り傷、過去の古傷もいたるところに残っていた。
腕や足などに奴隷の証である烙印を捺された跡もある。
それだけでなく、皮膚はあちこちが病に侵され、変色してただれていた。
傷口から炎症を起こして傷が悪化したものや、おそらく性病というものをうつされたのだろう。
顔や全身の皮膚にいくつもの欠損箇所がある。
あの美しかったシアの顔や体は、見るも無残な姿と変わり果てていた。
「・・・いやぁ・・・・・こんな姿・・・・・ゲンには絶対に見られたくなかった・・・」
シアの目からは、大粒の涙がぼろぼろとこぼれ落ちている。
・・・俺も、シアのこんな姿は見たくなかった。
だが、それでもシアを助け出さなければならない。
「シア、それは現実じゃない!実際のシアの体は傷ついてなんかいない!それに、たとえ現実だったとしても自分で治す事が出来るだろ!」
そうだ、これは現実じゃない!
あくまでも巫女たちが経験した過去の記憶を取り込んで、自分の記憶として受け入れてしまったに過ぎないのだ。
「・・・いいえ・・・見ての通り・・・わたしはもう穢れてしいました・・・ゲンと共に生きる資格など無いのです・・・・・あああっ!」
その時、また別の男がシアの背後から腰を強く押し当てた!
「あっ!・・・あっ!・・・・ああっ!・・・・ゲンの目の前で・・・こんな!・・・ああっ!」
そして背後から、何度も激しく腰を打ち付け続ているのだ。
「貴様っ!シアに何してやがるっ!」
俺はシアの背後で激しく腰を動かしている男に、ストーンブレードを投げつけた。
顔面にストーンブレードの柄が命中した男は、シアの背中に体液をぶちまけながら後方に吹っ飛んでいった。
だが、すぐに別の男がシアの背後に取りついて、同じ様に腰を激しく打ちつけ始めたのだ。
更に今度は前側からも、もう一人別の男がシアに覆い被さり、シアの両膝を開いて、そこに自分の腰を割り込ませた。
「あっ!あっ!ああっ!ああっ!ああっ!ああああああああっ!」
シアがこれまでよりも更に激しい悲鳴を上げた。
前後からの同時に激しい刺激を受けて、シアの精神は耐えられなくなっていた。
しかしそのシアの口は、前側から腰を打ちつけている男の唇で塞がれたのだ。
その男は、激しく腰を打ち付けながら、胸を掴んで揉みしだき、顔を背け様とするシアの唇に執拗にむしゃぶりついていたのだ。
・・・そして俺はその男の顔には見覚えがあった。
その男は・・・現実ではヒナに対してその行為を行なっていた男だったのだ。




