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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第七章 魔女の夢
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223話 第六階層攻略

 第六階層は一面氷に覆われた階層だ。


 今まではただ通過しただけだったので、この階層での戦闘は初めてだ。



 第六階層に踏み入れると、先に来ていた冒険者たちが、氷系の下級の魔物と戦っていた。


「メインルートはとりあえず確保しているが、魔物の出現が多すぎて、いくら倒してもキリがねえ!俺達が食い止めている間に早いとこ聖域に向かってくれ!」


「助かる、あとは任せてくれ!」


 冒険者たちの言葉に甘えて、俺たちは先に進む事にした。




 ルートの途中途中で、冒険者が魔物と交戦していた。

 苦戦している場合は応援に入ったが、そうでない時は、悪いが先に行かせてもらった。


 途中、中級の魔物と応戦している冒険者がいたが、さすがにこれは応援に入らないとやばそうだった。

 全身白い長毛に覆われた大きな人型の中級の魔物と数人の冒険者が対峙していた。


「何だかゲンさまと毛並みが似てますね?」




 ・・・おれもそう思った。真っ白な体毛が、俺の頭髪とよく似ている。


 まあ、そんな事はどうでもいいんだが・・・




「さっさと片付けるぞ!」


 俺は『ストーンブレード』を出現させた。

 だが、いつものストーンブレードとは少し違う。

 刀身が次第に赤く光り始めた。


「ゲンさま、それは?」


「こいつはストーンブレードの応用で『マグマブレード』だ」


 そう、『黒曜石』は元々溶岩が冷えて固まったものだ。

 熱を加えると溶岩に戻る。

 これは『ストーンブレード』に高温特性を追加したものだ。


「この階層の魔物は第五階層と逆で熱に弱い。この魔法が有効なはずだ」




 ファイヤー系の魔法を使った『ファイヤーブレード』というのも作れるのだが、ファイヤーブレードは質量が軽すぎて俺には使いづらい。

 この、ストーンブレードと同じ質量を持ったマグマブレードの方が断然扱いやすかった。




 俺はマグマブレードを構えて『雪男』に向かって急接近する。


 『雪男』は俺に気が付いて手を伸ばしてきた

 その指の先には氷でできた鋭い爪がついていた。


 俺は『雪男』の手をマグマブレードで手首から切り落とした。

 手首を切り落とした断面は、マグマブレードの熱でさらに融けている。


「やはりこいつは有効だ」


 俺はそのまま『雪男』の胴体に切りつけて行った。


 魔力を余剰に流し込んでいるマグマブレードは、切り裂いた切り口の周辺を更に融かしていく。

 見る見るうちに『雪男』の体が無くなっていった。


 そして、大穴が開いた腹の中から魔結晶がぼとりとこぼれ落ちた。


 既に体のあちこちが欠損している『雪男』はそのまま崩れ落ちて、蒸気を噴き出しながら消滅していった。



「すげえ!何て強さだ・・・」


 俺の戦いを見ていた冒険者たちがあっけに取られていた。


「怪我はないか?」


「ああ、大丈夫だ」


「じゃあ俺達は先に行くぞ」


「ああ、気を付けろよ。この先には上級の魔物の出現も確認されている」




 そこから先に進むと、やはり聖域の手前で上級の魔物と遭遇した。

 それは、全身が氷でできた巨大な鹿の様な姿をしていた。




 『氷の鹿』は俺達を見つけると、その『氷の角』を伸ばしてきた。


 氷の角は、まるで木の枝の様に枝分かれしながら俺達の周囲を取り囲んできた。

 そして周囲を囲むと、こちらに向かって枝の様な角の先端を突き伸ばしてきたのだ!


 俺はマグマブレードで氷の角を薙ぎ払った。


 ヒナとユナも自分たちに迫る角をショートソードで叩き切っている。


 サヤはシールドを展開して角を防いでいた。



「俺が切り込む。援護してくれ」


 俺は周囲を囲んだ氷の角の檻を切り開きながら上級の魔物の本体へ迫っていった。


 氷の角は絶え間なく枝を増やして伸ばしてくるが、俺はそれを次々と切り落としていった。


 俺の作った突破口をみんなもついて来ているが、後方からも枝が復活して迫って来る。

 それはヒナたちが対応してくれるので、俺は遠慮なく前方を切り開いて『氷の鹿』の本体に迫っていった。


 やがて氷の檻を突破して本体の目前に躍り出た俺は、マグマブレードで鹿の首に向かって跳躍し、首を横一文字に切り裂いた。


 氷の鹿の首は大きく裂け、切り口の周囲も融け始めていた。


「よし、行けるぞ」


 氷の鹿の首は太すぎて、一刀で切り落とす事は出来なかったが、俺はすかさず第二撃を打ち込みに行った。


 すると氷の鹿は一旦角を切り離し、自身は大きく後方に跳躍したのだ。


 その巨体からは考えられない身軽さだった。

 そして俺達から距離をとった『氷の鹿』はすかさず氷の角を展開して、俺達の行く手を阻んだのだ。


 もう一度、同じ様に氷の角の檻を切り開いて本体に接近したが、今度は本体の前に出る前に角を切り離して遠くにひげてしまった。




 これではとどめがさせないな。

 一気に片を付けるしかないか?




「わたしに考えがあります。もう一度魔物に近づいて下さい」


 サヤの言う通り、氷の檻を切り開いて本体に接近する。

 だが、これ以上近づくと、また逃げてしまうだろう。


 俺が最後の氷の角を切り裂いて、奴の本体の目前に躍り出るところで、やはり奴は角を切り離した。


「今です!」


 その時サヤが魔法を発動した!


 大量の水が『氷の鹿』の足元に流れ込んでいく。

 そして、氷の鹿に触れた水は即座に凍り付く。


 後方に跳躍しようとした氷の鹿は、足元が凍り付き、動けなくなった。


「ゲン様!今のうちです!」


 動けなくなった氷の鹿に、俺は『マグマブレード』を叩き込んだ。


 奴が動けないうちに、何度も何度も連撃を入れる

 全身が傷だらけになり欠損が増えてきた氷の鹿は、自ら足を折ってこの場所から逃れようとした。


「そうはさせません!」


 サヤが折れた足に水をかけて、再び凍りつかせる。

 逃げ出そうとした氷の鹿は再び動けなくなった。


 俺はその間にも引き続き本体を削っていた。


 ヒナとユナは絶え間なく伸び続ける氷の角をひたすら切り続けて、俺に攻撃が来ない様にフォローしてくれていた。




 やがて、体の大部分が欠損した状態になった氷の鹿の胴体から大きな魔結晶が転がり出た。


「ようやく片が付いたな」


 時間がかかったがみんなの協力で上級の魔物を倒す事が出来た。


 魔物が倒れると残った氷の檻も次第に消えていった。




 聖域に着くと棺の中にはやはり巫女が横たわっていた。


 第五階層の時と同様に、棺から出すと、魔力暴走により周囲に吹雪が吹き荒れたが、サヤの魔法で鎮静化させた。




 みんな、魔力と体力の限界に来ていたので、この日も一旦地上に戻った。




「さすがです!一日一階層ずつ攻略が進むなんて」


 地上に戻るとギルド長が迎えてくれた。


「冒険者のみんなが手伝ってくれたおかげだ」


「残るはシア様一人だけです。おそらく第八階層にいると思われますが、第七階層は巫女が不在のはずですので、明日にはシア様のところまで行けるのではないでしょうか?」




 そうだな、ついに明日はシアに会う事が出来る。




 ついにシアの元にたどり着ける興奮と不安で眠れないかと思ったが、その夜も疲れが溜まっていたのか、ぐっすりと眠りについたのだった。


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