216話 氷雪の国再び
ヒナの調子が戻ったので、ここからは馬車ではなく自分たちの足で走る事にした。
俺達が本気で走れば、馬車よりも早く移動ができるからだ。
そうしてペースを上げて走り続けた俺達三人は、ようやく氷雪の国の国境にたどり着いた。
確か、ここの国境は入国審査が厳しかったんだよな・・・
「これは!ゲン様にユナ様、さあ、どうぞお通り下さい!」
国境の役人は俺達を確認するとあっさりと通してくれた。
むしろ歓迎されていたみたいだった。
「どうなってんだ?これ」
「何言ってるの?あなたは今やこの国では英雄なのよ?」
「何だって!どういう事だ?」
「どういう事って・・・知らなかったの?」
「いや・・・何の事だか?・・・俺達は人知れず事件を解決したんじゃなかったのか?」
「あなた達が帰国した後、巫女の少女たちの間で噂になったのよ。自分を助けてくれた男の子は誰なのかって」
たしかに、何人かの少女の記憶の再生に立ち会ってはいるが、ヒナの時の様に干渉はしていないはずなんだが・・・
「ヒナ以外にはそんなに記憶に干渉していなかっただろ?」
「みんなどういう訳か、記憶の片隅に覚えていたらしいのよ。勇者と聖女に助けてもらったって」
・・・いや、だから俺は勇者じゃねえし。
「聖女の方はシアさんだってみんなすぐに分かったけど、勇者が誰なのか話題になっていてね」
まあ、シアは見るからに聖女って雰囲気だからな。
「そうしたらビビが面白半分にあなたの事を話してしまって、それがあっという間に広がってしまったのよ」
「ビビのやつ、余計な事を」
「まあ、でも、ゲン君とシアさんが恋人同士だって事もビビが広めていたから、ゲン君に変にちょっかいを出す巫女はいないと思うわよ」
「それは助かる」
「だから、ヒナもこの国ではあまりゲン君にベタベタしすぎていると他の巫女たちの反感を買うからほどほどにしておいてね」
「えー、わたしもゲンさまの恋人ですって公表したらいいんじゃないですか?」
「それは事実と異なるだろ?」
「えー!そんなぁ、ゲン様とはあんな事やこんな事までしてしまったのにですか?」
「事故で裸を見ただけだろう?」
・・・ヒナは、キスの事とは覚えていないはずだ。
「事故だなんてひどいです。それにまだ、全部を見てもらう約束を果たしていませんよ?」
・・・そう言えばそんな約束もあったな・・・
先日のハプニングの連続で、それ以上の事してしまった気もするのですっかり忘れていた・・・
「とにかく、巫女だった少女たちは、眠りから覚めない聖女を恋人である勇者が目覚めさせる来るのを楽しみに待ってるのよ」
・・・何でそんなイベントみたいになってるんだ?
「それはともかく、シアを早く目覚めさせねえといけねえからな」
俺達は国境の先の山道を駆け上っていった。
最初の町は以前から活気があったから、あまり変わったように感じないが、確かに以前よりも更に町のみんなが生き生きしている気がする。
今日は日も暮れるし、この町で一泊する事にした。
「これはこれはゲン様、お待ちしておりました。以前と同じファミリールームを用意してございます」
前にも会った事のある宿の支配人は、上機嫌で部屋に案内してくれた。
「わあ!素敵なお部屋です!」
ヒナは高級そうな部屋に大喜びだ。
「とりあえずお風呂に入って旅の疲れを流しましょう。この部屋ってプライベートのお風呂があるんでしょう?」
「ああ、そうだ。二人は先に入ってくれ。俺はその後で入る」
「あら?一緒に入らないの?前のパーティーではみんな一緒に入ってたって聞いたけど?」
「それは・・・あの時はメンバーが家族みたいなもんだったから・・・」
あらためて考えたら際どい事やってたよな・・・
「あら?あたし達も、もう家族みたいなものじゃないの?」
「そうですよ!ゲンさまも一緒に入りましょう!」
まあ、タオルで体を隠して入る訳だし・・・構わないか?
「そうだな、じゃあ一緒に入ろう」
「わあい!じゃあ、わたし、先に入ってますね!」
ヒナはそう言って風呂場に走って行ってしまった。
「あたしも先に入っているわ」
ユナもヒナに続いた。
「ああ、俺も後から行く」
脱衣所は共通だからな、同時に使うと着替えるところをに遭遇してしまう。
俺は二人が脱衣所から浴場に入った頃合いを確認して脱衣所に入った。
服を脱いで下着も脱ぎ、腰にタオルを巻いた。
さて、二人はもう洗い終わって湯船に浸かっている頃だろう。
そう思って浴場に入ると、二人とも窓際に立って外を眺めていた。
「お姉ちゃん!すごい景色が良いですよ!」
「でも、気を付けないと、あたしたちも外から丸見えよ」
二人は後ろ向きで立っていた・・・そして、形の良い白い尻が二つ、ぷるんとむき出しになっているのが見えた・・・
「あっ!ゲンさま、やっと来ました!」
「遅かったじゃない?ゲン君」
振り返った二人は・・・当然、全裸だった!
二人は何も隠すつもりは無いらしく、ヒナはかわいらしく両手を振り、ユナは腰に手を当てていた。
・・・二人とも肝心な部分は全て丸見えだった・・・
「ばかやろう!何でタオルを巻いてねえんだ!」
「えっ?お風呂に入るのにタオルを巻いて入っちゃだめですよ?」
「家族風呂何だし、問題無いでしょ?前のメンバーともそうしてたのよね?」
「前の時はみんなタオルを巻いていたんだ!それこそ家族風呂だから問題ない」
・・・ちゃんと説明しておけばよかった。
「そうなんだ、でも、ゲン君も、見えてるわよ」
「わあ!大きいです!ゲンさま!」
・・・二人の裸をまともに見てしまった俺の下半身のそれは、肥大して反り返り、腰に巻いたタオルをめくり上げてしまっていた。
「違う!これは!」
俺は力任せに捲れたタオルの裾を掴んで下に引き下げた。
・・・しかし、俺のそれは予想以上に元気になっていた。
無理に引っ張って結び目のほどけてしまったタオルを下半身のそれが跳ね上げてしまったのだ!
掴んでいた指が滑って、宙へ飛んでいったタオルは・・・
ぺちっとヒナの顔に被さってしまったのだった。




