211話 戦いの後の休息
ヒナは俺がタオルを引っ張ってしまったために、胸が完全に露わになってしまった。
下半身の肝心な部分は、かろうじてタオルの角に隠れていて、丸見えにはならなかったのがせめてもの救いだ。
全てが見えてしまっていたら俺は自制心を保ち切る自信が無かった。
・・・とは言いつつも、タオルをほんの少しでもずらせば見えてしまうこの状況は・・・完全に見えている状態よりもかえって気になってしまうではないか?
それにしてもヒナの体は美しいな。
シアに匹敵する美しさなのではないかと思う。
この年頃の少女の体は、みんなこれほど美しいのかって思ってしまいそうだが、この二人が特別なのだろう。
しかし、ヒナの胸はシアよりほんの少しだけ大きい気がするのだが・・・口が裂けてもこの事はシアには言えないな・・・
などと、観察している場合では無かった。
早くヒナのタオルをかけ直してあげないと・・・本人に無断で女の子の裸を見るなんて、絶対にやってはいけない事だった。
そう思ってタオルを直そうとヒナに近づいたところで、ヒナが声を発した。
「んんっ・・・」
俺はびくっとなってタオルに伸ばそうとした手を引っ込めた。
するとヒナは寝返りをうって体勢を変えたのだが・・・・
足を揃えて寝かせたいたヒナが、寝苦しかったのか、片足を曲げて膝を立て、それから腿を開いてしまったのだ!
その結果、大きく開いたヒナの足の間には、本当にギリギリでタオルの角が乗っかているだけになってしまったのだった!
これって、もう、俺を受け入れる気満々の体勢じゃねえか!
ヒナがほんの少しでも動けば、かろうじて乗っかているタオルの角がめくれ落ちて、その部分が本当に丸見えになってしまう。
確かに見てやると約束はしたのだが、まさかこのタイミングでこんな状況になるとは!
そして、さすがにこの状況で俺の下半身は、もう冷静ではいられなくなっていた。
タオルを取り払ってヒナを抱いてしまいたいという衝動を必死に抑え込む。
ヒナが俺に好意を持っているのは間違いないし、ヒナもそれを望んでいる、
別いいいんじゃねえのかって考えが頭の中をよぎる。
俺は無意識のうちに自分のインナースーツを脱ごうと、手をかけていたのだった。
「んん・・・」
そんな時、再びヒナが身じろぎをした。
ついに大事な部分を隠していたタオルが、めくれ落ちようとしていた!
やっぱりだめだ!
めくれ落ちるタオルをスローモーションの様に見ていた俺は、その瞬間、咄嗟に目をつぶり、手探りでタオルを掴んでヒナの体に掛け直した!
俺の指が、唇の様な柔らかい感触の何かに触れたが、それについては、あえて考えない事にした。
とにかく、今はだめだ!
シアが大変な事になってる時だし、何より意識の無いヒナにそんな事をするのは絶対にやってはならない事だ!
眼を開けて、ヒナの体が完全にタオルで隠されているのを確認した。
そうだ、これでいい・・・後は高ぶった性欲を自分でなんとしないとな。
俺はヒナに背を向けた。
そしてヒナの事を考えない様に、シアの事を考えながら、限界に達しそうな勢いの下半身の処理を始めた
ヒナの事を考えてしまうと、現実に隣で寝ているヒナへの欲望が抑えられなくなってしまいそうだったからだ。
だが、シアの体を思い浮かべると、どうしても体形の似ているヒナの事を思い出してしまう。
そこで、最近見たユナの裸や、前に見たビビの裸を思い出す事にした。
大人の女性の体を想像していた方が、ヒナの事を思い出しにくくなると思ったからだ。
そしてやっぱり最後の瞬間は・・・いまだ見た事のない師匠の裸体を想像しながら迎えてしまった。
何やってんだろうな・・・俺。
ベッドは汚さない様に気を付けたが、床を汚してしまった。
掃除しておかないといけないな。
そうだ!まさか、今のをヒナに見られてないよな?
不安になって振り返ってみたが、ヒナはあどけない寝顔で、健やかに寝息を立てて眠っていた。
良かった。ヒナには見られていなかった。
そして、ヒナの安らかな寝顔を見て、手を出さなくて正解だったなと思った。
ヒナの頬に軽く手を添えながら、俺は何だかとても安らかな気持ちになっていった。
「ちょっと!ゲン君!これはどういう事!」
俺はユナの声で目を覚ました。
しまった!いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
魔物の処理の終わったユナが、俺とヒナの様子を見に来たのだろう。
「どうって、ヒナを寝かしつけて・・・」
「・・・この状況って、どう見てもそれだけじゃないんだけど?」
ユナはあきれた様な少し怒った様な表情で俺を見下ろしていた。
「あたし一人で部屋に入って正解だったわね」
「何を言っているユナ?」
俺は言ってから自分の違和感に気が付いた。
・・・どういう訳か俺はいつの間にか全裸になっていたのだ!
そしてさっきから背中に当たっている感触は・・・
振り返ると同じく全裸のヒナが俺の背中に密着していたのだった!
「違う!ユナ!これは誤解だ、俺はヒナをベッドに寝かそうとしただけで・・・」
「じゃあ、この床に飛び散っているのは何かしら?」
・・・まだ掃除をしてなかった。
「ん・・・ううん・・・あっ!お姉ちゃん!」
そこにヒナが目を覚ました。
「お姉ちゃん、ここは?・・・あっ、ゲンさま!・・・あれ!わたし・・・」
ヒナは自分と俺の状況を確認した。
「えっ!えっ!・・・ゲンさま!これって!」
ヒナは混乱しながらも、何だか嬉しそうな表情になった。
「いや、聞いてくれ、ヒナ。これはだな・・・」
俺はヒナの方を振り返り、事情を説明しようとした。
「さっきのは夢だと思ってたのに・・・わたし、本当にゲンさまのものになったんですね!」
ヒナはそう言って俺にぎゅうっとしがみ付いてきたのだ。




