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【9章開始】勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第六章 魔女の末裔
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190話 上級魔法士試験合格発表

 汗びっしょりになったヒナが、「シャワーを浴びたい」と言ったら、女性職員の人がシャワールームに案内してくれた。


「大丈夫か?一人で浴びれるか?」


 ようやく歩けるようになったが、ヒナはまだ少しふらふらしていた。


「だめそうです。ゲンさま、一緒にシャワー浴びるの手伝って貰えませんか?」


「・・・バカ。一人で浴びてこい」


「ちぇっ、ダメでしたか」


 ヒナが倒れそうになっているのが演技だという事は気が付いていた。


 ・・・いや、実技試験の最後は本当に倒れ込んでいたのだが、その後すぐに回復していたにも関わらず、一人で歩けない振りをして俺にもたれかかっていたのだ。


 ・・・まあ、あれだけ頑張ったんだし、ご褒美という事で気が付かない振りをしていたのだ。


 俺なんかがご褒美でいいのか?というのもあるんだが・・・



 ヒナがシャワールームに入っていったので、俺もその間にシャワーを浴びる事にした。


 もちろん、ここのシャワールームは男女別だ。


 魔法庁は人手不足で忙しいらしく、泊まり込みで仕事をする事も多いそうだ。

 そのため、この様なシャワールームが用意されている。




 俺はシャワーを浴びながらさっきのヒナの実技試験の事を思い出していた。


 セナが使った魔法は、おそらく魔力増強系のサポート魔法の類だろう。


 今まで、全く変化が無かったヒナの体内魔力に動きがあったのだから、なにかしらの効果はあったのだろうが、しかし、何故魔力が体外に放出される直前で止まってしまったのだろう?


 あれがいわゆる『魔女の覚醒』が来ないと越えられない壁という事なのだろうか?


 だが、ヒナは本物の魔女ではなく亜魔女だ。


 俺やシア、それにビビは最初から普通に魔力を使えている。

 なぜヒナにだけ制限がかかっているのだろう?



 考えてみたが結局答えは出なかった。



 シャワー室から出ると、同時にヒナも女性用のシャワー室から出てきたところだった。


 髪を乾かす魔道具が備え付けてあったので、それで髪を乾かしたのだろう。

 サラサラのきれいな髪が復活していた。


「ゲンさまもシャワーを浴びてらっしゃったのですね?・・・でもずいぶんゆっくりだったんですね?」



 ・・・考え事をしていたら、結構時間が経っていたらしい。



「準備が出来たら面接に行くぞ。大丈夫か?」


「はい!大丈夫です!髪型も気合を入れて整えてきました!」


 ・・・確かに、いつもより少しゴージャスになっているかもしれない。


 緩く縦ロールが入って髪のボリューム感が増していた。


 その他にも、色々手を加えたらしく、ヒナの美しさが更に強調されていたのだ。


「ああ、これなら第一印象は良さそうだな」


 まあ、さっきまで会っていたセナが面接官だから第一印象は関係ないのだが・・・




「失礼します」


 セナの執務室についたのでとりあえず二人一緒にドアを開けた。


「おお!ヒナちゃん!かわいくなったね!合格だよ!」




 ・・・・・第一印象で合格させていいのか?




「・・・それで、面接はどちらから行いますか?」


「ああ、面倒だから二人一緒でいいよ。そこに座って待ってて」


 セナは執務室にあるソファーを指さした。


「では、失礼します」


「失礼します」


 俺とヒナは並んでソファーに座った。



 セナは山積みの書類を片っ端から片付けていた。

 本当にちゃんと内容を見ているのかというくらいの速さだ。




 しばらくして、セナが執務机から立ち上がり、俺達の向かいのソファーに座った。


「さてと・・・じゃあ、面接を始めようかな?二人とも、実技試験、お疲れさまでした」


「はい、とっても疲れました」


「ははははは!、ヒナちゃんはほんとに頑張ってたからね」


「でも、結局、なんにもできませんでした・・・」


「・・・そうかな・・・ふふふっ、まあいいや」




 ・・・何だろう?今の含みは?




「さて、この面接は、受験者が上級魔法士の資格を得るにふさわしい人格者かどうか見定めるための面接なんだけど・・・二人の事は良く知ってるから、まあ、必要なかったんだけどね」


 ・・・なんだよ、それは?



「という訳で、いきなり結果発表に入りたいと思います」


「ええっ、いきなりですか!まだ心の準備が・・・」



「そっか、じゃあ、まずはゲン君の方からかな?ゲン君は心の準備は大丈夫?」


「ああ、俺は問題ない」


「じゃあ発表するるね。まず、学科試験・・・・・合格」


 まあ、予想通りだな。


「それから、実技試験・・・・・合格」


 よし!実技は合格基準が良く分からなかったが、あれで良かったみたいだな。


「そして、面接・・・合格!よって、ここにゲン君を『上級魔法士』として認めます。おめでとう!ゲン君」


 セナがわざとらしく拍手をした。


「おめでとうございます!ゲンさま!」


 ヒナも目一杯拍手してくれた。



 とにかく、これで、束縛されることなく自由に行動が出来るようになった。


 俺としては魔法士の資格はどうでも良かったんだが、行動制限が無くなっただけでも合格の価値があった。




「次にヒナちゃんの番だね」



「・・・結果はわかっているので、手短にお願いします」


「ふふふ、まあ、聞いてよ」


 セナは相変わらずのポーカーフェイスだ。


「まず、学科試験・・・・・なんと満点合格だよ!」


「ええっ!ほんとですか!」


「上級魔法士試験の満点合格は、過去にもほとんど前例のない快挙だよ」


「やったな!ヒナ!」


「はい!嬉しいです!」




「次に実技試験・・・・・」


「・・・・・もう聞きたくないです・・・・」


 ヒナは耳を塞いでしまった。




「・・・実技試験合格!・・・そして面接も合格だから、ヒナちゃんもこれで上級魔法士だよ!おめでとう!」


 セナはわざとらしく拍手をした。




 耳を塞いでいたヒナは、わけがわからずきょとんとしていた。

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