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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第六章 魔女の末裔
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181話 師匠の結婚

「つまり、要約すると、師匠が盗賊だと思って股間を蹴った相手が、お忍びで出歩いてた皇帝で、その責任をとって結婚しなきゃいけなくなったって事だよな?」



「そうなんだよ!危うく、帝国とこの国の間で戦争が始まるかもしれないところだったんだからね!戦争回避のための苦肉の策でもあったんだよ」



 どうやら師匠は、冗談みたいなきっかけから、帝国の政治問題に巻き込まれて、その解決のために皇帝と偽装結婚する事になってしまったらしいのだ。


 偽装結婚なので、当然、夫婦間の関係はないそうだ。


 それについては師匠が嘘をついている様には見えないのでたぶん本当の事なのだろう。




 ・・・師匠はこの手の事で嘘をつくのが本当に下手だから、嘘だったら俺にも簡単に分かってしまう。




「とにかく、師匠がエロじじいの手籠めにされたんでなくて良かったよ」


「ふふふっ、心配してくれてありがとう・・・でも、それとは別にエロオヤジに手籠めのされかけた事はあったんだけどね」


「なんだそりゃ!どういう事だ!」


 他にもトラブルに巻き込まれてたのか?



「その後、帝国内の別の王国に行った時に、その国の国王にも求婚されたんだよ。そっちはジオ様とシンのおかげで事なきを得たけどね!」



 シンというのは皇帝の名前らしい。


 じじいかと思ったらまだ20代の青年だそうなのだ。



 しかもどうやら以前のジオに匹敵するくらいの超絶イケメンらしいのだ。


 シンの話をする時の師匠の嬉しそうな様子がちょっと気になるんだが・・・


 ・・・それにしても師匠、何気にイケメンに弱いよな。




「しかし、『多夫多妻』が認められた国があるなんて驚きだな」



 どうやらその帝国では、男性も女性も複数のパートナーと同時に婚姻関係を結ぶ事が認められているそうなのだ。


「それって、無責任に子供が増え過ぎたりしねえのか?」


 誰とでも結婚できるとなったら、次々に結婚して、無責任に子供を作っちまいそうだが?




「それは逆なんだよ。子供のために作った法律だそうだよ」


「子供のため?・・・どういう事だ?なんでそれが子供のためになるんだ」




「人間ってさぁ、どうしても浮気しちゃうじゃない?」




 ・・・師匠が半目で俺を見ながら言うもんだから、つられてヒナも俺を見た。




 ・・・・・俺に同意を求めるなよ?


 俺は!・・・浮気なんか・・・・・しねえからな!




「この国でも父親がいなくて母親だけに育てられている子供がたくさんいるんだよ。中には父親だけの子供もいるけど」


「ほらみろ、無責任に子供を作っちまう奴らが大勢いるからそうなるんだ」


「それはそうなんだけど、この国や他のほとんどの国が、基本的に『一夫一妻』制でしょ?一部の貴族や王族には『一夫多妻』が認められてるど、女性には『一妻多夫』は認められていないよね?」


「まあ、それが普通なんじゃねえの?」


「だから浮気や不倫で出来た子供はどうしても片親になっちゃうんだけど、帝国には片親の子供ってほとんどいないんだよ」


「えっ?何でそうなるんだ?・・・ってそうか!不倫相手とも正式に結婚が出来るのか」


「そう、帝国では、逆に子供が出来た男女は必ず籍を入れなければいけない決まりになっているんだよ」


「そうか、それなら子供からすれば、必ず婚姻関係を結んだ両親がそろっている事になるのか」


「そういう事、画期的な法律でしょ?」


 確かに、俺が育った村でも、母親しかいない子供が何人かいた。

 そういう子たちは、決まっていじめられる対象になりがちだったのだ。




「だが、夫婦仲が悪くなって離婚したい時はどうするんだ?」


「それは子供がいる限り認められていないよ。まあ、他に好きな人が出来ても籍を入れたままでもその相手と結婚はできるから、離婚が出来なくても困らないけどね」


「でもそれだと本当に別れたくなった時は、子供を亡き者にしようっていう非道な奴が現れないとも限らねえんじゃねえのか?」


「それは帝国において最も重い罪になるね。もしそんな事をしたら両親揃って死刑になるよ」


「そりゃ、まあ、それくらいの重罪になって当然だよな」


「とにかく、子供を作った人は、その子供が成人するまで養育の義務は絶対に外れないんだよ」


「なるほどな、この国の連中みたいに女を弄んでおいて、子供が出来たら後は母親に任せてほったらかしってのが出来ない仕組みになってるのか」


「そう!だから遊びでそういう事をする人はむしろ少なくって、みんな本気で子供を持ちたいって相手とそういう関係になるんだよ!」


 ある意味、理想的な仕組みともいえるのか?



「一歩間違えるとドロドロした人間関係の問題が起きそうだけどな」


「そこは、あの国の人たちは、基本的におおらかな人が多いから!相手が自分を愛していて大切にしてくれるなら、他に好きな人がいても大丈夫!って考え方がわりと浸透してるかな?実際、私も、シンの他の妃たちとはすっかり仲良くなったからね!」


 師匠ならすぐに仲良くなりそうだな。


 その様子は容易に想像がつくな。




 しかし、ちょっとまだ頭の整理が追いつかねえが、そういう考え方もあるって事だよな?




「つまり、その国に行ったら、わたしもゲンさまのお嫁さんになれるって事ですよね!」




 ・・・俺の隣で話を聞いていたヒナが、いきなり爆弾発言を投下した。



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