154話 師匠の手伝い
目が覚めるとビビによる二人目の少女の治療は終わっていたらしい。
少女が棺から出されていて、傍らに師匠がいた。
俺は、まだ眠っているシアを起こさない様に起き上がると、師匠の方に歩いていった。
「終わったのか?師匠」
屈みこんでいる師匠に背中から声をかけながら覗き込むと・・・師匠の前には全裸のビビが寝ていた!
・・・またしてもビビの全裸を見てしまった!
「何やってんだ!師匠?」
「あっ!ゲン!起きちゃたの?だめだよこっち来ちゃ!」
「んんっ、・・・何事ですか?・・・・・ああっ!またしてもわたくしを裸に!」
目を覚ましたビビは自分が全裸である事に気がついた。
「いや!違う!これは俺じゃねえ!」
「そう言いながらしっかりとわたくしの胸とあそこを凝視していたではありませんか!」
・・・相変わらず俺は女性のあの部分に視線がいってしまう・・・
「ごめんなさい!ビビさんが全身汗でびっしょりだったので私が服を脱がせて体を拭いていたんです!そこにゲンが目を覚ましてしまって!」
師匠が状況を説明してくれた。
「エッチな弟子で本当にすみません!」
師匠がそう言って俺の頭を地面に押しつけた。
・・・今のは俺が悪いのか?
「ああっ!ゲンがまたビビさんを裸にしています!」
・・・騒いでいたら、シアも目を覚ましてしまった・・・
「もう!裸が見たかったら私のを見て下さいって、いつも言ってるじゃないですか!」
そう言ってシアが装備を外し始めた。
・・・またこの展開かっ!
「仕方ありません、今回は私の責任ですので今度こそ責任をとって私も裸になります」
師匠もそう言って装備に手をかけ始めた!
遂に!・・・今度こそ本当に師匠の裸が拝めるのかっ!
さすが!『全裸の魔女』の効力は半端ねえ!
これはビビに感謝しなきゃいけねえな!
そして師匠は胸元を開き始め、ついに豊満な胸のふくらみと、その谷間が見え始めたのだ!
師匠の谷間は、それだけでもビビの全裸より破壊力があるかもしれない。
「ララ先生!ゲンが変に期待しちゃってるじゃないですか!ララ先生はゲンの前で絶対に脱いじゃダメです!」
自分も脱ぎかけの、あられもない姿のシアが、身を挺して師匠を俺の視界から遮った。
シアは慌てて脱ごうとしたのだろうか?まるで襲われたかのような乱れた格好になっていた。
肝心なところはまだ見えていないが・・・これはこれで、かなり色っぽい。
「あはは、シアちゃん、今度も冗談だってば!」
師匠は笑いながら胸元をしまい始めた。
・・・・・冗談・・・・・に決まってるよな?
俺は本気で師匠の裸が拝めると期待してしまっていた。
・・・どうして俺はこうも簡単に引っかかってしまうのだろう?
潜在意識の中でよほど師匠の裸が見たいんだろうな・・・
「・・・あの・・・いつも被害者のわたくしが放置されているのですが・・・」
・・・ビビは全裸のまま放置プレイだった・・・
気を取り直して、師匠が魔法で乾かした服をビビが着たところで状況を確認した。
ちなみにシアも不服そうにだが、身なりを直していた。
ビビはかなり手こずったが、無事に二人目の少女を治療出来たそうだ。
「こんなに大変だとは思いませんでした。シアさんはよく二人も対処できましたね」
「ビビさんも大したものだよ。結局最後まで一人でやり切ったからね!」
「その代わり疲労で気を失って、またしても全裸を見られる羽目になってしまいましたが」
ビビが俺を睨んだ。
・・・今回も俺のせいじゃないからな!
「残り一階層だけど二人とも大丈夫かな?」
「わたしは眠って疲れが少し取れました」
「・・・わたくしは・・・まだ歩けそうにありません。約束通り運んで頂きます!」
ビビが顔を赤らめながら俺を見た。
「まあ、仕方ねえな、ビビも頑張ったからな」
「今回だけですからね!」
『嫉妬の魔女』も今回だけは太っ腹だった。
「じゃあ、出発しよう」
俺はビビをお姫様抱っこで抱きかかえた。
「変なところを触らないで下さいね」
「文句を言うなら捨てていくぞ」
「・・・シアさんとずいぶん扱いが違いませんか?」
「シアは天使で聖女だからな」
「本人は『嫉妬の魔女』と名のってましたけど?」
「いいからおとなしく寝てろ」
「もう少し・・・わたくしにも、やさしくしてくれてもいいのでは?・・・」
文句を言いながらビビは俺の腕の中で眠りについた。
「どうですか?ビビさんの抱き心地は?」
シアが俺の隣でビビを覗き込んで聞いてきた。
「そうだな、シアより重いから多少はトレーニングになるかな?」
「わたしだって!これからもう少し胸とお尻を増量しますから!」
・・・変なところにライバル意識を持っている様だった。
「ふふふ、もてもてだねぇ、ゲンは!」
・・・師匠が懐かしのニヤニヤ笑いをしていた。
そうして俺達は第七階層の聖域にたどり着いた。
「ここでは三人の少女を治療するけど、シアちゃんとビビさんは疲労が激しいから残りは私が治療するね」
「そうですね、ここまで運んでもらって申し訳ないですが、わたくしは今日はもう無理そうです」
ビビは俺に抱っこされて眠っていたが、相当な疲労だったのだろう、まだ回復しきれていない様だった。
「わたしはもう大丈夫です!わたしにも、もう一回やらせて下さい!」
シアは、少女たちのために少しでも何かしてあげたいのだろうな。
「じゃあ、先に私が二人治療するから、最後の一人はシアちゃんにお願いするね」
「はい!ありがとうございます」
「それまでしっかり休んでおいてね」
「はい、そうさせて頂きます」
「じゃあ、治療を行うけど、ゲンは大丈夫だったら手伝ってくれるかな?」
「ああ、俺は大丈夫だ」
俺と師匠は一人目の少女を『棺』に入れて治療を始めた。
今度も俺は最初から棺に入って少女を押える準備をした。
「じゃあ、始めるよ」
師匠が耳元でささやいた。
・・・すごく距離が近い。
今振り向いたらキス出来ちまうんじゃねえか?
一瞬そんな考えが頭の中をよぎった。
・・・ふっ切れたつもりだったが、まだ少し未練が残っているのだろうか?
そんな余計な事を考えている内に治療が始まった。




