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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第五章 氷雪の国
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148話 亜魔女の定義

「師匠、いいのか?」


 魔女の存在をビビ話してもいいものなのだろうか?


 っていうか、もう話してしまっているのだが。


「ええ、ビビさんは魔女の存在を確信していますよね?もしかして魔女に会った事があるとか?」


「いえ、直接会った事はありません。でも自分が普通の魔法使いではなくなった事はわかります。それに、様々な特徴が伝承上の魔女の特徴に一致しているという事も」


「まあ、そうだよね、魔法陣や詠唱無しで魔法が発動できたり、魔力が高まると黒目黒髪になったり、成長が遅かったり、ちょっとやそっとじゃ死なない体になったって事でしょう?」


「はい、そのとおりです」


「うん、それってみんな魔女の特徴だよね」


「ララ先生、それで、わたし達は、本当に魔女になってしまったんでしょうか?」


「それが、ちょっと違うんだな」


「どう違うんですか?」


「まず『魔女』の本質っていうのは一代限りで子孫には受け継がれないんだよ。受け継がれるのは魔法を扱うのに適性のある体質とか、そういうものだけなんだよ」


「つまり、魔女の血を引いていると、魔法に適した子供が生まれやすいけど、あくまでも魔女ではないという事ですね?」


「そのとおり。魔女の血を引いている子孫の中でもあなたたちは特に魔女に近い体質で、魔法に対する適性が極めて高いんだけど『魔女』そのものではないんだよ」


「でも私は元々『中級魔法士』でしたが、そんなに魔法の適性が高いのなら、何故『上級魔法士』じゃなかったのでしょうか?」


「わたくしも元は『中級魔法士』レベルでした」



「それは現在の主流の魔法と、魔女の使う魔法の質の違いによるものだね」


「質の違いというのは?」


「現在一般的に使用されている魔法は、魔法の発現方法の中の一部の方法を使用しているに過ぎないんだよ。魔法の発動方法はそれこそ無数にあるからね。魔物だって魔法を使うけど、魔法陣や詠唱は使わないでしょ。それに『勇者』もね!」


 師匠は手のひらから水を湧き出して見せた。


 ・・・それ、『勇者』じゃなくて『魔女』の魔法だよな?


「魔力の発生源も一つじゃないんだ。普通の魔法使いの魔力の発生原理と魔女の魔力の発生原理は別物だし、『勇者』の魔力は更に別のところから供給されているんだよ」




「ええと・・・つまり、わたしとビビさんは何者なんでしょうか?」


「魔女に近い魔力と、魔法が使えるけど本当の魔女ではない存在・・・『亜魔女』といったところかな?」


「亜魔女」・・・ですか?」


「まあ、今のところ二人だけだから何て名のってもいいんだけどね」


「あっ、そうだ!わたしの二つ名は『嫉妬の魔女』にしたんです!」


「えっ!『嫉妬の魔女』?何でそれにしたの?シアちゃんならもっとかわいいのが似合いそうだけど?」


 やっぱり、そう思うよな?


「いいえ!これでいいんです!ゲンに変な虫が寄り付かないようにするにはこれくらい印象に残る二つ名が丁度いいんです」


「・・・ゲン・・・今後もう浮気は出来ないよ?」


「しねえからいいんだよ!」




 ・・・するとしたら・・・相手は師匠くらいしか考えられねえんだからな・・・




「ちなみにこいつは『全裸の魔女』だ」


 俺は親指でビビを指さした。


「・・・また変な二つ名付けたね・・・」


「違います!勝手に決めないで下さい!」


「その場にいる全員が全裸になるなんてミラクルを引き起こしたんだ。もうそれでいいだろ?」


「だから、私のせいじゃありません!」


「へえ、そんな事があったんだ?」


「ああ、師匠が現れる直前にな」




 ・・・あれ?・・・もしかして・・・師匠がもう少し早く現れてたら・・・師匠も全裸になるなんてイベントが発生したんだろうか?



 頭の中に全裸になった師匠の姿が渦巻き始めてしまった!




「ああっ!ゲン!いま全裸のララ先生を想像しましたね!」

 

「ばか!なにを言ってる!そんなわけないだろ!」


 ・・・またしてもシアに考えを読まれてしまった。


 ほんとに魔法で読んでるんじゃないだろうな?


「あははは! ゲンはエッチだからね!・・・でもみんなが裸を見せあったのなら私も脱がないといけないかな?」


 師匠はそう言って自分の装備に手をかけ始めた!




 まさか!・・・ついに念願の師匠の全裸が拝めるのか?




「ララ先生!何やってるんですか!」


 シアの髪と眼が、またしても黒く染まった!


「あはははは!冗談だってば!ごめんね、シアちゃん。それにしてもすごい魔力だね?」


「ほら見た事でしょう!やはりこの娘は『嫉妬の魔女』ですね」



「もう、ララ先生、ひどいです!」


 シアの髪の色と瞳の色が元に戻っていく。


「そしてゲン!今本気でララ先生の裸が見られるって期待してましたよね?」


「いっ、いや!そんな事は考えていないぞ!」


「バレバレの嘘はつかないで下さい!」


 だから、どう考えても、心が読まれてるとしか考えられねえんだが・・・


「・・・すまん・・・ちょっとだけ見たいと思ってしまった・・・」


「もう!ゲンはわたしの裸だけ見ていればいいんです!」


 そう言ってシアはローブを脱ぎ捨ててしまった!


 ・・・そうだった。シアはローブの下には何も着ていなかったのだ!


「シア!人前で何を!」


「ここにはゲン以外に男性はいないからいいんです。二人にはもう何度も見られてますし!」


 シアがどんどん大胆になって行くな・・・


「わかったから!早くローブを着てくれ!」


 俺は急いでローブを拾ってシアに纏わせた。




「うん・・・確かにこれは・・・『嫉妬の魔女』だね」


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