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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第五章 氷雪の国
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141話 最悪の相手

「何だって!シア!俺がわからないのか!」



 シアは表情を全く変えずに俺を見ている。



「無駄です。彼女の意識はすでに完全に我々の意のままですよ」


 やはりそうか。あいつらに操られているんだ。




「おそらく他の『巫女』と同じ催眠魔法がかけらています」


「ビビ、それは解除できないのか?」


「可能性はありますが、難しいです。それよりも、先回りしたつもりがなぜこんなに早く奴らがここまで来ているのか疑問です。第六・第七階層の攻略が速すぎます」


「くっくっくっ、そこにいるユナからあなた方の行動は聞き及んでいましたからね。先にを越されないために二つの階層は犠牲にしました」


「まさか!階層ごと機能停止させたというの?そんな事をしたらそこにいた『巫女』は・・・」


「はい、二つの階層と二体の優秀な巫女が犠牲になりましたが、この最高傑作ともいえる究極の巫女が手に入るのであれば惜しくは有りません」


「おい、どういう事だ?」


 俺はビビに術者の会話の内容について問いただした。


「各階層は、聖域に行かずともその全機能を停止させる事が出来るのです。それを行なうと、その階層の棺にいる巫女は生命活動が停止し、それによって階層の全ての魔物も消滅するのです」


「何だと!シアを手に入れるために少女を二人殺したのか!」


「いずれ廃人になり処分される者たちです。それが少し早まっただけの事です」


「ふざけるな!人の命を何だと思ってる!」


「ふふっ、あれはもう人ではありませんよ。魔力を提供するだけの獣にすぎません」


「そうしたのはお前らだろう!」


 もう、こいつらの話に付き合ってやる必要はねえ!


「ビビ、シアを助けるぞ!手伝え!」


「あなた方を助ける気ありませんが奴らとの決着はつけるつもりです」



「そうはいきませんよ!さあ!『巫女』よ!こいつらを捕えなさい!」




「・・・はい・・・」




 シアは術者の命令に返事をすると俺達に魔法を放ってきた!


 複数の『アクアスラッシュ』が俺とビビに襲い掛かる。


 シアは魔法陣も詠唱も省いて魔法を発動した。

 そういえばさっきの風魔法も魔法陣を描いていなかったな。


 俺は剣で『アクアスラッシュ』を次々と切り伏せる。

 俺の剣は魔法耐性が附加されているので魔法を切る事が出来るのだ。


 ビビの方も魔法でシアの攻撃を相殺していた。



 シアが放つ『アクアスラッシュ』は同時に3つまでだったが、一つを破壊するとすぐに次が現れる。

 魔法陣と詠唱が必要ないため、次の発動が早いのだ。

 それに一つ一つの『アクアスラッシュ』の威力も上がっている。


 次から次へと襲い掛かってくる『アクアスラッシュ』を捌き続けているとやがて攻撃が止んだ。


 しかし、続いて無数の『アクアアロー』が降り注いできた。


 これはビビが『シールド』で防いでくれた。


「シア、攻撃をやめろ!」


 俺は声を振り絞ってシアに呼びかけた!


「無駄です!洗脳魔法を解かない限りあなたの声は届きません」


「さっき可能性はあるって言ってたよな?」


「試してみなければわかりませんが、そのためには彼女をこん睡状態にする必要があります。意識があると解除できないのです」


「わかった。気を失わせればいいんだな?」


 俺は『ストーンブレード』を発動した。


「聞きたいんだが、『巫女』として覚醒しても魔力が増えるだけで使える魔法が勝手に増える訳じゃねえんだよな?」


「そうですね、魔法陣を覚えていて発動可能な魔法が無手順で発動できるだけです。新しい魔法は魔法陣を覚えないと使えません」


「なるほど、突然未知の魔法を使うって事は無いわけだ」


「はい、知らない魔法が突然使えるなどある訳がありません」


 やはりそこも本物の魔女とは違うんだな。


「逆に魔法陣は覚えていても今まで魔力が足りなくて発動できなかった魔法が使えるようになるって事だよな?」


「自分に使えない魔法陣をわざわざ習得する様な奇特な人がいればですけど・・・・・まさか?」


「ああ、シアは主だった上級魔法の魔法陣は殆んど習得している」


「なんでそんなに勤勉なんですか!」


「シアは魔法オタクで魔法が大好きなんだよ!」


「つまり『上級魔法』を使われる可能性を想定しておく必要がありそうですね」


「ああ、だがここで使ったら自分を含めて全員が助からないだろうけどな」


 この狭い部屋の中では全てが『上級魔法』の有効範囲に入ってしまう。



 ・・・だが今のシアにそこまでの判断が出来るのか?

 命令されたら素直に従ってしまうのではないか?



「おい!あんた!シアは『上級魔法』が使えるぞ!攻撃の指示を止めないとあんたらも死ぬぞ」


「ばかな!ハッタリだ。その娘が『上級魔法士』ではない事は確認済みだ」


「シアは『上級魔法』の魔法陣を習得してるんだ!今のシアなら発動できるんだろ?」


「『上級魔法』の魔法陣を習得するのは容易な事ではない、発動できない『中級魔法士』がわざわざ習得しているわけがない」


「じゃあ試してみたらいい。あんたらもシアも一緒に消し飛ぶぞ」


「確かに・・・万が一、上級魔法を発動されたらただでは済まない・・・『巫女』よ!『上級魔法』及び大出力の魔法の使用を禁止する!その上でその二人を倒せ!男の方は殺しても構わんが女の方は生きたまま捕えよ!」


 よし!これで全滅のリスクは無くなった。


「俺はシアに接近戦を挑む!援護してくれビビ!」


「だんだん人使いが雑になってきましたね」


 俺はストーンブレードを盾がわりに『アクアアロー』を避けながらシアに向かって走り出した。


 ビビも『シールド』を展開してサポートをしてくれた。



 そして俺は一気にシアに接近する。




「シア!目を覚ましてくれ!」


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