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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第五章 氷雪の国
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128話 巫女の秘密

 地上に戻って来た俺達は、宿のファミリールームのロビーに集まっていた。



 第四階層の攻略が完了した後、地上に戻って来た俺達はギルド長や、他の冒険者たちの歓迎を受けた。

 ギルド長が作戦の成功の連絡を受けて、祝賀会の準備をしてくれていたのだ。


 冒険者たちはギルドの大盤振る舞いに歓喜し舞い上がっていた。


 俺達は酒が飲めないし、ココさんは、いくら飲んでも普段と全く変わらないので・・・まあ普段から酒に酔っているような状態とも言えなくもないのだが・・・


 ココさんも連れて途中で抜け出して、宿に帰って来たのだった。


 おそらくあの宴会は朝まで続くのだろう。



 ユナさんも事情を話して手を貸してもらおうかと思ったが、危険な事に巻き込んでしまうかもしれない、

 今回はまだ、俺達だけで行動する事にした


 ちなみにギルは、はなから誘う予定はなかった。




「とにかく、無事に第四階層が解放されて良かったぞ!みんな、お疲れ様!」


「思ったよりも簡単だったね!」


「みんな無事でなによりです。でも色々気になる事は残りましたが」


 そうだな、『上級の魔物』の事もあるが、例の『巫女』の事だ。


「結局、あの術者の人たちは何をやってたんだろうね?」


 キアもそれは気になっていたらしい。


「おそらく、あの『巫女』と呼ばれていた少女が鍵だな」


「どういう事?」


「あの少女は、行きと帰りで別人だったんです」


「そうなのか!それはどういう事なんだ?」


「おそらく第四階層に連れて行った少女と、元々第四階層にいた少女が交代したんです」


「それって、その女の子はずっとあの第四階層にいたって事なの?」


「はいそうです。そして、出発時に一緒にいた少女は、今でも第四階層にいる事になります。


「あの『聖域』と呼ばれる場所の地下に秘密がありそうだな」


「気にはなるが、あんまり、この国の秘密に深入りしない方がいいぞ!」


「でもココさん、もしかしたら女の子が非人道的な扱いを受けているかもしれないんです!もしそうなら放っておけません!」


 シアの言うとおりだ。

 子供にそんな扱いをしているのなら、相手が国家だろうと許せる事じゃねえ。


「そうだな、確かにそれが本当ならあたいも放っておけないな!でも、どうやって確認する?普通に聞いても教えてくれないぞ」


 例の術者たちと『巫女』の少女は、地上に戻ると、いつの間にかいなくなっていたのだ。

 どこに行ったのかもわからない。


 彼らの存在は、おそらく国の最高機密扱いなのだろう。


「明日は一日休みを貰った。少女の事を調査してみる」


 第五階層の攻略は、一日休息を挟んで二日後に行なわれる事になったのだ。


「ゲン、危険な事になるかもしれないぞ!」


「ああ、だが、放ってはおけねえからな」




 俺達四人は、翌日の休日に、例の術者や、『巫女』の少女の所在を探してみた。


 この国の冒険者にそれとなく探りをいれたり、町の人にも話題を振ってみたが、有益な情報は得られなかった。


 そこで俺達は、次の第五階層攻略のあとに、彼らの行方を追跡する事にした。




 そして次の日、俺達は第五階層の攻略に出発した。



 前回同様、俺とシアとキア、それにユナさんは護衛班だ。


 10名の術者は、顔をはっきりと見ていたわけでは無いが、おそらく前回と同じメンバーだ。


 しかし、『巫女』の少女は前回の二人とは、別の少女だった。


 今回は更に幼い少女ではないだろうか?

 おそらく10~11歳くらいだ。


 やはり目がうつろで、自我が無い様に見える。


 いったいこの様な少女が何人いるのだろうか?




 一行は、先日と同様に、各階層の中央の『聖域』で何かを確認していた。


 第四階層の聖域には、先日の巨大な犬が相変わらず寝そべって眠っていた。


 今は大丈夫だと言われても、この巨大な『上級の魔物』が突然の知ってきたらと思うと気が気ではない。


 術者たちは、『上級の魔物』に構わず、その下の魔法陣に何かを施し、調査をしていた。


 聖域の調査にはさほど時間もかからず、術者たちは調査を終えた。


 この魔物の眠る聖域の下で、先日の少女が生きているのだろうか?

 いったいどういう状況になっているのか想像もつかない。




 俺達は聖域を後にして、第四階層から第五階層に繋がるゲートへとやって来た。


 ゲートはやはりバリケードで塞がれていたが、術者たちはそれを排除し、先に進んだ。




 ゲートを抜けた先の第五階層は、溶岩の流れる灼熱地獄だった。


 一応道はあり、溶岩の川や溶岩だまりに落ちなければ問題無いのだが、当然、ここでも魔物は襲ってくる。


 下手に魔物の攻撃を避けたり、むやみに逃げ回ると、危うく溶岩の中に落ちたり、溶岩地帯に追い込まれて逃げ場が無くなる可能性もある。


 魔物に遭遇したら即座に倒した方がリスクが少ないのだ。



 術者の人たちは冷却系の魔法を使っている様で、あまり暑さを感じていない様だ。


 俺達も師匠の装備のおかげで、熱の影響はあまり受けていない。

 あらためてすごいな、師匠の装備は。



 しかし、魔法や特殊装備の無い冒険者は、かなりきつそうだ。


 だが、さすがは百戦錬磨の上級冒険者たちだ。

 この暑さの中でも仕事はきっちりこなしている。




 現れる魔物はいつもの定番の魔物たちもいるが、溶岩地帯特有の、溶岩の中に潜む魔物が少し厄介だった。


 溶岩の中から突然現れ、体当たりしてくるのだが、当然、触ると大やけどだ。


 魔法で倒すか、先制攻撃で剣で一撃で倒さないと、大ダメージを食らってしまう。


 だが火傷をした冒険者は、シアが治癒魔法で直していた。




 迷宮の聖女は、この第五階層でも健在だった。


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