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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第五章 氷雪の国
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120話 地下迷宮へ

 地下迷宮の入り口となる扉をくぐると、地面に魔法陣が描かれていた。


 冒険者が魔法陣の上を通ると魔法陣が光り輝く。


 どうやら、契約魔法の確認をしている様だ。



「一人づつ魔法陣の上を通過して下さい」


 ギルド職員に言われた通り、一人ずつ通過する。


 魔法陣に踏み入ると魔法陣が光り輝いた。

 契約魔法は正常に機能しているらしい。




 魔法陣の先は岩でできた扉だったが、魔法陣の上にのって魔法陣が光ると、岩の扉が開いた。


 通り過ぎると再び扉が閉じていった。





「なるほど、これなら魔物は通過できないな」


「この扉はどういう魔法なんでしょう?」


「魔道具の一種じゃないか?」


 師匠なら仕組みを解析できるんだろうな。




 その先はしばらく通路になっており、再び地面に魔法陣が描かれていた。


 魔法陣の上に乗って扉を開き、先に続く狭い通路を抜けると、ごつごつした岩壁の少し広い空間になっていた。


 ここからは数カ所の洞窟に分かれている。



「ここが地下迷宮かぁ」


「意外と明るいですね。岩壁がうっすらと光っているみたいです」


「地図の通りに進んでみよう。途中で出くわした魔物だけ倒せばいいだろう」


 俺達は地図を見て第二階層へのゲートの繋がる最短コースを進む事にした。


 第一、第二階層は『下級の魔物』しかいないそうなので、俺たちにとっては少々物足りない。



 少し進むと10体程度の『小鬼』と出くわした。


 各自が2~3体ずつ瞬殺する。


 今の俺達にとっては大した脅威じゃない。



 更に先に進んでも『小鬼』か、あるいは同レベルの下級の魔物が、数体から10体程度出現するだけだった。


 ただ、倒しても倒しても一定間隔で再び出現するので、いくら倒しても終わりがない。


 どうやら下級の冒険者たちは、この第一階層で、適当なわき道に入って、ひたすら『下級の魔物』を倒し続け、頃合いをみて引き上げているようだった。




「こうやって、あの大量の魔結晶を集めていたんですね」


「冒険者たちも自分に合った難易度で安定した収入を得られるみたいだな」




 下級の魔物を倒しながら、最短ルートを進んで行くと、2時間程度で第二階層に繋がるゲートに到着した。


「様子を見るため歩いてきたが、走れば時間短縮できるな」

 

 ココさんの言う通り、俺達なら30分かからずに通過できる。


「でも、他の冒険者の方が大勢いましたから移動する時は気を付けないと」


 そうなのだ。第二階層への最短ルートは第一階層のメインストリートになっていて、結構通行人が多いのだ。


「まあ、気をつけながら走ればいいだろう」





 第二階層への通路も人が一人やっと通れるぐらいの狭い通路で、その先に例の魔法陣があった。


 魔法陣の上に乗ると、岩壁の扉が開いた。




 ゲートの先は少し開けた場所になっており、冒険者たちが休憩していた。


 このゲートも二重構造になっているため、間の空間は魔物に遭遇しない安全地帯になっているのだろう。




 俺達はさほど疲れてもいないので、そのまま二つ目のゲートを通って第二階層へと進んだ。




 第二階層は、第一階層と同じ様に岩壁がうっすらと光っている。


 洞窟の広さは第一階層よりも広い。


 そして、ところどころに広場の様に開けた場所があるのだ。


 第一階層の通路の細さであれば、通路の前後だけを警戒していれば良かったが、これだけ通路が広くなると全周囲を警戒する必要がある。



「第二階層も最短ルートで抜けるぞ」



 俺達は地図の最短ルートを選んで第二階層を進んで行った。


 第一階層に比べると冒険者の数がだいぶ減った。


 少し進むと、『足長蟻』の群れに遭遇した。


 『下級の魔物』だが、難易度が上がっている。

 数も百体ほどの群れで、『下級冒険者』の初心者が遭遇したら命にかかわるレベルだ



「一人25体だが、いけるな?」


「はい!大丈夫です」


 シアは既に『アクアスラッシュ』を発動している。


「僕も問題ないよ」

 

 キアも剣を構えている。


「俺も大丈夫だ。行くぞ」


 各自、四方に分かれて『足長蟻』を殲滅し始めた。



 みなが一体一体の『足長蟻』を秒で仕留めていく。


 この程度の数なら一分とかからないだろう。



 特に殲滅速度が速いのがシアだ。


 二つの『アクアスラッシュ』が同時に敵を仕留めていくのだ。単純に俺達の倍速になる。

 更にシアは、素手でも『足長蟻』を殴り倒している。


 ココさん直伝の格闘技だ。


 結局シアが一人で半数近くを倒してしまった。


 百体以上いた『足長蟻』は30秒かからずに全滅していた。




「僕達ってかなり強いんじゃない?」


「俺達というか・・・シアがな」


「やっぱり敵が多いと魔法の方が有利だよね」


「シアの戦い方は普通の魔法士の戦闘スタイルとだいぶ違ってきているな」


「まあ、魔法で攻撃というよりは、二人の剣士と一人の格闘家の働きをシア一人でこなしてる感じだよね」



 そうなのだ。


 シアは『魔法士』の上位職である『魔術師』を目指して魔法の修行を続けている。


 複数の魔法の同時操作がそのための主な訓練だ。


 一般的に『魔法士』は体外の魔力の操作を訓練するものだが、『魔術師』を目指すなら体内の魔力操作の技術も磨く必要がある。


 『魔力』を体外に漏らさずに体内で循環させる『身体強化』は、体外で魔力を操作する『魔法』と性質が真逆のため、同時に習得する事は難しい。

 そのため、普通はどちらか一方しか身に付けないものなのだが、『魔術師』は体の内外を問わず、もっと高いレベルで魔力操作技術が要求されるため、『身体強化』の訓練も必要になるのだ。


 そのため、魔術師を目指す場合は、複数の魔法を同時に操る訓練と、身体強化の訓練を交互に行う事になるのだが、シアはその両方を同時にやる事にしたのだ。


 『中級魔術師』のレンやルナも、身体強化の『防御』や『加速』を使いながら魔法を使っているが、シアの様に、実戦の攻撃に身体強化を使いながら同時に魔法を制御する様な訓練はしてこなかったそうだ。


 魔法を使わず、身体強化による格闘だけでも十分に戦えるシアは、既に普通の魔法使いとは一線を画している。




「これは魔法の修行のためにやってるんです。あくまでもわたしは魔法使いですから!」




 シア自身は、『魔法使い』である事に、強いこだわりを持っているのだ。


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