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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第五章 氷雪の国
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119話 魔力源の秘密

 シアは契約魔法にずいぶん時間がかかっていた。




 俺も時間がかかったが・・・さすがに遅すぎないか?




「お待たせしました」


 かなりの時間が過ぎてから、シアが部屋から出てきた。


 だいぶ憔悴している様だった。


「大丈夫か?シア」


「契約魔法が中々うまく発動しなかったらしくて、何度か方法を変えてやってたみたいなのですが、最後は数人の術者の人たちで背中に大きな魔法陣を描いて、ようやく施術できたみたいです」


「俺の方も手こずっていたが、シアの方が大変だったようだな」


「はい、魔力量と魔力制御能力が高い人ほど施術が難しくなるそうです」


 俺は、魔力量だけで、制御能力は大した事無いからな。


 ・・・でも、そうなると、レンやルナにはこの術はかけられないんじゃないか?



「契約魔法の魔法陣を見たかったのですが、背中に描かれたので直接見られませんでした・・・」


 シアが残念がっている一番のポイントはそこか。


「でも背中に感じた魔法線からすると、かなり複雑な魔法陣だったみたいです」


 ・・・ん?オレのうなじに描かれた魔法陣ってそんなに複雑だったか?


「その後、契約魔法の発動した時の魔力の流れも大体覚えていますので、あとで解析してみようと思います。この手の精神に作用する魔法って中々接する機会が少ないので」


 本当にシアは魔法の研究に熱心だな。





「皆様、契約魔法の施術が完了しましたので、このギルドと、この国の説明をいたします」


 案内の女性職員が説明を始めた。


「これからお話しする事はこの国の最高機密になります。契約魔法で部外者には決して漏洩出来ない様になります。また、この国から外に出た際には、契約魔法は解除され、ここで知り得た機密情報は忘却する事になります」


「あの、この国にいた間の事は全て忘れてしまうのでしょうか?」


 シアが質問した。


 確かに全て忘れてしまうのは勘弁してほしいが。


「いえ、忘却するのはこれからお話しする機密事項にかかわる内容だけで、それ以外の記憶は残ります」


「そうなんですね!それで安心しました」


 そうだな、せっかくの旅の思い出を忘れたくはないよな。




「では、ここからが国家機密事項になります」


 女性はあらたまって話を続けた。


「このギルドの奥には巨大な地下迷宮が存在します。そして、その地下迷宮には魔物が常に湧き出ているのです」


 何だって!魔物が常時湧き出る地下迷宮なんて聞いた事無い。


 魔物の発生はかなりランダムだ。

 発生しやすい場所は確かに存在するが、その位置は常に変化するものだ。


「同じ場所から魔物が発生し続けるなんて!聞いた事ないです」


「はい、ですから国家機密扱いになっております」




 ・・・そういう事か。




 この国は魔物の安定した発生源を独占してるから、他国との交流が無くとも魔力を無尽蔵に使えるってわけだ。


「じゃあ、冒険者たちが入っていった奥の扉が?」


「はい、あの扉が地下迷宮の入り口になっております。では次に、地下迷宮の説明に入らせていただきます」


 女性職員は説明を続けた。


「地下迷宮はいくつかの階層に分かれており。深い階層に行くほど魔物の脅威度が上がっていきます。階層間はゲートで区切られており、ゲートの通過には先ほどの契約魔法が必要になります。また、魔物はゲートを通過できませんので強い魔物が浅い階層に現れる事はありません」


 なるほど、自分のレベルに合わせて魔物の強さを選べるって事だ。


「第三階層以降は『中級の魔物』も出現するため、『下級冒険者』は第二階層までしか許可されません。第四階層以降は先に進むにつれて、『中級の魔物』の発生率が高くなっていきます」


「俺達は『上級冒険者』だから第三階層以降に進んでも問題ないな」


「だた、現在はある事情により第四階層以降への進入は禁止されております」


「なんだ?ある事情っていうのは?」


「それは・・・機密事項になっておりますので申し上げる事が出来ません」


「・・・つまり、俺達の指名依頼と関係ある事なんだな?」


「この件に関しましてはギルド長より説明があるまでお待ちください」




 ・・・何となく話が見えてきた。


 おそらく第四階層で何かトラブルが発生して、その解決のために俺達が招集されたって事だな。


「とりあえず地下迷宮に入ってみませんか?どんなところか気になります」


 シアは好奇心満々だった。


「危険なところかもしれないぞ?」


「第二階層までは『下級冒険者』でも入れるんですよね?だったら、私たちなら心配ないですよ!それより、この迷宮って、きっと何か特殊な魔法で作られたのではないかって思うんです」


 なるほど、シアがやる気を出してるのは、未知の魔法に触れられるかもしれないからだな。


「時間もあるし試しに入ってみてもいいだろう」


 ココさんも賛成の様だ。


「僕も構わないよ。迷宮ってどんなところか興味あるし」


 キアも問題ないな


「じゃあ、行ってみるか」




 俺達は、ギルド職員の女性から迷宮探索の説明を受けた。


 とりあえず第三階層までの地図をもらった。


 第一階層は、結構入り組んだ複雑な迷路の様な地下通路で、確かに地図が無ければ道に迷って帰って来られないかもしれない。

 だが、地図のおかげで第二階層へ続くゲートへの最短ルートが分かる。


 第二階層も迷路のようになっているが、何カ所か広場になった場所がある。

 こちらも、地図で最短ルートがわかるな。


 第三階層は、全体が繋がった広い空間になっている様だ。

 『中級の魔物』も発生するのであれば、下手をすると魔物に囲まれて命を落とす危険もある。


 なるほど、急に難易度が上がる訳か。



「じゃあ、第三階層を目指して行ってみるか」




 初の地下迷宮探索へ出発だ。


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