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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第五章 氷雪の国
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111話 依頼主の国へ

第五章 【氷雪の国】開始です。

「ゲン!国境が見えてきましたよ!」


 シアが嬉しそうに俺の方を振り返った。


「やっと着いたのかぁ、走り通しで疲れたよ」


 キアはそろそろ疲労が限界みたいだな。


「あの国境を越えたら今回の依頼のあった国だぞ!」


 ココさんが教えてくれた。


 


 盗賊狩りの後、旅を再開した俺達四人は、もう一つ別の国を通過して、ようやく目的の国の国境にたどり着いたのだ。




 俺達の国を出てから二つ目の国は、一つ目の国よりもさらに治安が悪く、街道の整備も行き届いていないし、盗賊の出現率も高かった。


 宿屋の整備も不十分で、ろくな宿屋が無く、たまにまともな宿屋を見つけたと思ったらギルも同じ宿に泊まっていて、シアにちょっかいをかけて来てひと悶着あったりと、ろくな事が無かった。


 だが、魔物の出現率は低く、むしろそのせいで盗賊が増えているのかもしれない。


 ココさんも、この国には長居をしない方が良いと言っていたので、最速で通り抜けて、一気に次の国の国境まで来たのだった。




大陸の北に連なる大山脈の麓にある目的地の国は、三方を山に囲まれ、南側に隣接する国との国境のみが、唯一の入国経路となっている。


 隣接する唯一の国が、あんなに治安が悪くて大丈夫なのかと不安になった。




 国境で警備兵に冒険者証を見せる。


「我が国が指名依頼で招集した冒険者に間違いない。通れ!」


 冒険者証があれば本当にどの国でも簡単に入れるって話だが、この国はちょっと様子が違うな。


 入国審査を結構細かくやってるみたいで、一人一人の確認に時間がかかっていた。

 俺達の前に並んでいた商人や冒険者のうち、何人かは入国を許可されなかった様子だ。

 冒険者でも、誰もが入国できる訳では無いらしい。




 国境を通り抜けた先は、山の渓谷沿いに上り坂が続いていた。

 かろうじて馬車が一台通れるかどうかといった狭い道だ。


 本当この先に国があるのか不安になる。




 道を進んで行くと、なんだか寒くなってきた気がする。


「ゲン、なんだか寒くなってきましたね」


「シアは大丈夫か?」


「はい、装備の防寒機能がありますのでまだ大丈夫です」


 俺達の装備は出発前に師匠が手を加えてくれて、温度防御機能が『附加』されていた。

 ある程度なら、炎や冷気の中でも耐える事が出来る。

 だが、感覚を完全に遮断すると戦闘に支障が出るため、多少の寒暖は感じられる様になっている。



「これから行く国は一年中気温が低いからね。この季節でも雪が降る事もあるよ」


「へえ!そうなんですね!わたし、本物の雪ってまだ見た事がないです」


 シアは魔法で雪を降らせる事が出来るからな。


「少し先を急ごう!宿のある町まで行かないと、さすがに野宿はちょっときついぞ!」


 確かに、装備があるにしても、この寒空の下での野宿はちょっと遠慮したい。




 坂道を登り切ったところに、頑丈そうな城壁が現れた。


「国境から結構ありましたね」


 大抵の国は、国境の近くに宿場町があるものなのだが、この距離だと下手をすれば町に着く前に夜になってしまう。


「この国は他国との交易がほとんど無いみたいだからな」


「それにこの地形だと、途中に町を作れる場所は無かったな」


 国境からここまで、渓谷の狭い一本道で、開けた場所など無かったのだ。



 町の入り口も警備が厳重で、冒険者証を念入りにチェックして、ようやく通行を許可してもらった。




「へえ、町の中は結構近代的だね」


 さびれた山道と対照的に、町に中は結構栄えてにぎわっていた。


 俺達はとりあえず宿屋を探す事にした。

 商店の並ぶ大通りを歩いて町の中心を目指す。


 商店の様子を見ると、俺達の国とはだいぶ様子が違っていた。

 とにかく洋服屋は厚手の服ばかり並んでいる。


 通行人はみんな分厚いコートを着ているので、俺達みたいに装備のままで歩いているとかなり目立つ


「後でコートを買いませんか?」


「ああそうだな、宿屋が決まったら買い物に行くか」


「それに魔法の道具の店がたくさんあるので見て見たいです」


 確かに、魔道具関係の店が多い気がする。


 これまで通過した国は、魔法が盛んではなく、それらしい店は殆どなかったが、この国は魔道具が発達しているのだろうか?



 町の中心付近でかなり立派な建物の宿屋を見つけた。


 「ちょっと高そうだけどここにしよう!」


 ココさんが宿屋に入っていった。


 「二人部屋を二つ頼む!」


「お客様、四名様ですか?それでしたら、多少お高くなりますがファミリールームを用意してございます」


「『ファミリールーム』?」


「はい、プライベートのリビングに、それぞれの個室が繋がったファミリー向けのお部屋にございます」


「へえ!それはいいです。寝るまでゲンと一緒に過ごせますね!」


「そうだな、そこにしよう」


 いつもは宿では男女に分かれるので、部屋に戻るとキアと二人っきりになってしまうのだ。

 キアは寝つきがいいので大体一人でさっさと寝てしまうのだが。


「ふふっ、これでゲンと夜通し語り明かせます!」


「いや、夜通しはだめだろう」



 案内された部屋は思った以上に豪華だった。


 まるで貴族の屋敷のリビングだ。


「はい、貴族の方向けのお部屋でございますので」


 案内してくれた宿の人が教えてくれた。


 どおりでいい値段がするはずだ。

 まあ、持ち合わせは十分にあるので問題ないが。


「こちらが専用の浴室になります」


 複数人で同時に入れそうな、大きな浴室があった。


「では、ごゆっくりとおくつろぎ下さい」


 宿の人は一通り部屋の説明を終えて戻っていった。




『わあ!素敵なお風呂です」


 風呂好きのシアが風呂を覗き込んで目を輝かせている。


 そして期待に満ちた目で俺を振り返った。


 ・・・だめだぞ、一緒に入るのは!




「これならみんなで入れそうだな!一緒に入るか!」




 ココさんが爆弾発言を投下した!


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