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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第四章 国外遠征
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109話 盗賊の幹部達

 村の中は、ギルと同じ遊撃部隊の冒険者たちが、応戦していたため、まだ大きな被害は出ていない様だった。


 しかし、遊撃部隊は劣勢で、かなりの負傷者が出て、盗賊たちに押され気味だ。




 俺は冒険者と対峙している盗賊の一人に切りかかる。


 後ろから不意打ちだが、卑怯だとかそんな事は言っていられない。

 盗賊の一人は背中にダメージを負ってそのまま地面に倒れた。


「加勢に来たぞ」


「ああ、助かった、ありがとう」


「他はどうなってる?」


「見ての通り、かなりの劣勢だ。盗賊のリーダーをギルさんが相手をして、その他の盗賊を俺達で対応していたんだが、後から増援に来た盗賊がやたら強くて、一気に劣勢になってしまったんだ」


「後から来た奴らはどこに行った?」


「村長の家の方に行った。腕に自信のある冒険者が後を追ったが、まともにやりあったら勝てないだろう」


「ゲン君!村長の家に急ぎましょう!」


 ユナさんと共に村長の家に向かう。




 村長の家の前で、さっき逃げた幹部連中と、冒険者が戦っていた。


 冒険者はほとんどが倒されて、残って数名もかなり危なそうだった。



 俺は『ストーンブレード』を飛ばして冒険者を援護する。



 その隙に俺自身も現場に接近する。


 盗賊が突然飛来した『ストーンブレード』に怯んだ隙に冒険者が盗賊に攻撃を決めた。


 今戦っている冒険者はそれなりに腕が立つ様だ。


「助かったよ、ぼうず!」


「さっさと片を付けるぞ!」



 ユナさんも参戦して、冒険者側がだいぶ有利になった。


 盗賊の幹部連中に、ダメージを負わせ始めた。



「ボスはまだ来ねえのか?けが人が増えてきた。ボスに傷を治してもらえねえと戦力が足りねえぞ!」


 やっぱり、ポスは治癒魔法が使えるのか。


「お前らのボスは仲間が足止めしてる。ここには来ないぞ!」


 俺は盗賊に教えてやった。


「なんだあ!さっきのガキか!もう来やがったのかよ!」


 さっき戦った『アニキ』だった。


「今度こそ止めをさしてやる」


 俺は『ストーンブレード』を呼び寄せてそれを構える。


「ちっ!またそれか!さすがに分が悪いな。野郎ども!ずらかるぞ!」


 盗賊の幹部たちは武器を引いて一斉に逃走に入った


「ボスを置いて逃げるのか?」


「ボスなら何とでもなるさ!じゃあな、小僧。次はお前を倒してやる」


 そう言って『アニキ』も逃走した。



 ・・・相変わらず逃げ足は速いな。



「村の被害状況は?」


 ユナさんが、残っていた冒険者に聞いた。


「まだ、大した被害は出ていない。あんたらがギリギリで間に合ったよ。火を消したのもあんたらか?」


「ああ、俺の仲間だ」


「村が無事なら、さっきのボスがいたところに戻った方がいいね」


 ユナさんの言う通り、シア達が心配だ。


「ここの後始末は任せるよ。あたしたちはボスのところに戻る」


 ユナさんが他の冒険者に指示を出して、俺達はボスとココさんたちが戦っている村の入り口に戻った。




 村の門を出ると、シア達三人と盗賊のボスはまだ戦っていた。


「シア!大丈夫か?」


「ゲン!村の方は大丈夫でした?」


「ああ、盗賊の幹部はみんな逃げた。後はこのボスだけだ。こっちはどうだ?」


「シアと盗賊のボスの魔力対決になっているぞ。お互いの『結界』が強すぎてどっちも攻撃が決まらねえんだ」


 ココさんが教えてくれた。


「やっぱりシアさんは素晴らしいね!敵の魔法使いと互角の能力だ!」


 ギルが必要以上にシアを褒めちぎっている。


「いえ、ココさんとギルさんがいるこちらの方が攻撃面で有利なはずなのに膠着状態になっているのは向こうの方が魔法の技術が上だからです」


 シアは冷静に戦況を分析しているな。


 その間もシアは敵の攻撃魔法で破損した『結界』を張り直し続けている。


「向こうの方が『結界』の発動が速いです。それに攻撃魔法の発動もです。おそらくルナさんとレンさんを合わせたぐらいのスキルです」


 それはかなり手ごわいじゃねえか!


「よし、それなら俺が加勢すれば、バランスを崩せるって事だな。ココさんとギルで『結界』を削ってくれ。オレが止めをさす」


「仕方ないね、ここは君に華を持たせよう」


 いちいち気障だな。


 だが、戦況を正しく理解して最善策は分かるみたいだ


「どうするんだ?ゲン」


「オレが魔法を準備する。合図したら連続で攻撃を入れて『結界』を壊してくれ!」


 俺は魔法陣を描いて魔力を注入し始めた。


 魔法をまともに使うのは久しぶりだな。


 俺の魔法陣の描画速度は、剣の上達に比例して速くなっている。

 複雑な中級魔法の魔法陣を一瞬で描き上げた。


「へえ、君は攻撃魔法も使えるのかい?」


 ギルが興味深そうに俺の魔法陣を見ている。


「シアほどじゃないがな」


 威力を高めるために魔法陣に十分に魔力を注ぎこむ。

 普段使い道の無い余った魔力だ。

 出し惜しみは必要ねえ!


「今だ!仕掛けてくれ!」



「まかせろ!」


「後は頼むよ!」


 ココさんとギルが、盗賊の『ボス』に向かっていった。


 敵の攻撃魔法が二人に襲い掛かるが、巧みにそれを躱し、接近する。



 まずギルが、渾身の一撃を入れて、一つ目の結界を破壊した。


 続けて、ココさんの拳が、二つ目の結界を破壊する。



「『ストーンランサー』!」


 ココさんが結界を破壊するタイミングで、俺は『ストーンランサー』を放った。


 以前に上級の魔物に傷を負わせた魔法の強化版だ。

 貫通力と速度を向上させ、更に回転も加えて破壊力を増している。


 対『上級の魔物』用として、師匠が改良してくれた魔法陣を使っている。



 黒曜石の槍は通常の『ランサー』よりも高速で飛翔し、『ボス』が結界を張り直すよりも早く『ボス』に到達した。


 もう一つ『結界』があった様だが、それもあっさり粉砕した。




 そして俺の放った『ストーンランサー』は、『ボス』に到達した。


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