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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第四章 国外遠征
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107話 盗賊の増援

 俺と盗賊の幹部らしき『アニキ』は、ほぼ互角の戦いをしていた。


「いい腕だが、こっちはもうすぐ増援が来る。そうしたら一気に片をつけてやる」


 残念だな、増援ならこちらにも来る。

 終わるのはお前らだ。



するとそこに盗賊の斥候がやって来た。


「アニキ!大変だ!増援に来るはずのチームが、向こうで敵の別働部隊と交戦を始めちまった。かなりの劣勢ですぜ!」


「何だと!おい!貴様、そっちにも増援がいたのかよ!」


「ああ、その部隊が俺達の本体だ。あんたをここで釘付けにしておけば、向こうはじきに片が付くだろうな」


「畜生!そうゆう事かよ!」


 『アニキ』はかなり怒ってるようだな。


「おい、ボスにこの事を知らせて来い!」


「良いんですかい?村への襲撃は」


「村の襲撃どころじゃねえ!こっちが全滅しちまう!」


「わかりやした!伝えてきます」


 斥候は返事と同時に姿を消した。



 ボスの方は、あのギルってやつが対応しているはずだが、どうなっているんだろうな?

 性格は別として、実力はかなりのはずだ。心配はいらないだろうが。



「わりぃな小僧、遊んでる暇が無くなった。とっととてめえを片付けて、向こうに行かせてもらうぞ!」


 『アニキ』の打ち込みがさっきより激しくなった。

 今まで本気を出していなかったのか?


 身体強化の腕力も速度もさっきよりも増している。


「あんた、この国の人間じゃないのか?」


 ざっと見た感じ、この国の冒険者に、ここまで身体強化を使いこなせる奴はいなかった。


「はっ!盗賊に国なんか関係ねぇ!今はこの国で雇われ・・・おっといけねぇ。無駄話が過ぎたな」


 何だって、ただの盗賊じゃないのか?


「こっちも本気をださせてもらう」


 俺は剣を鞘にしまった。

 そして、『アニキ』に向かって突進する。



「なんだぁ、俺様と素手でやり合おうってか?」


「素手じゃない」


 俺が『アニキ』に切りかかる予備動作をしたところで、後方から飛んできた『ストーンブレード』が俺の手に収まった。


 俺の速度に『ストーンブレード』の速度を加算して、『アニキ』に叩き込む。


「なんだ!そりゃ!どこから出てきた?」


 『アニキ』は慌てて自分の大剣で受け止めようとしたが、『ストーンブレード』に力負けして吹き飛ばされる。



「どうなってんだ!力と速さが一気に倍増したぞ!」


 俺は吹き飛んだ『アニキ』を追いかけて、第二撃を打ち込む。


 再び、『アニキ』が吹き飛んだが、手ごたえがさっきより少ない。

 おそらく全力でぶつかる前に、自ら後ろに下がったのだろう。


 今の俺には勝てないと判断したか?



「冗談じゃねえ!何で貴様みたいな化け物がこの国にいる?」


 俺は更に追撃をかけ、『アニキ』に三撃目を入れる。


 今度は受ける気もなく、完全に逃げに入った。


 俺を倒すってのは諦めた様だ。



「おめえら!ここは撤退する。向こうのチームに合流するぞ!」


 『アニキ』は残ったメンバーに声をかけて、逃走した。



 俺は追いかけずに、周りの状況を確認した。


 他の盗賊は、幹部らしき数人を除いて、全て倒している。

 幹部たちも、ユナさん、シア、キアとそれぞれ対峙していて、いずれもこちらが押し気味だ。

 

 しかし、そいつらも、戦うのをやめて逃走に入った。



「ゲン君とシアさんは、あたしと一緒に奴らを追うよ!キア君と他のみんなは、倒した盗賊を捕縛して!」


「了解!まかせて下さい!」


 ユナさんはまだ、動ける盗賊もいるのでキアを残したのだろう。


 俺とシアはユナさんと共に、逃走した『アニキ』たちを追った。


 行先の別働隊はココさんたちが制圧するだろうから、挟み撃ちに出来る。



 しかし、盗賊だけあって逃げ足だけは妙に早いな。


 既に逃走した幹部たちの姿は見えない。

 だが、別動隊のところに行ったに違いないので、ココさんたちと合流すればいい。


 俺達はココさんたち本隊のいる場所を目指した。




 ココさんたちの場所は、連絡係が教えてくれたので、最短距離で到着出来た。

 本隊は、既に盗賊の別働隊を制圧し終わっていた。


「ココさん、ガズさん、こっちは終わりましたか?」


 ユナさんがガズさんたちに尋ねた。


「ああ、ココさんが大活躍して大体片付けたんだが、盗賊の幹部らしき奴らを数名取り逃がしちまった」


「こっちもです。腕の立つ4名が逃走したので、こっちの隊に合流したのかと思ったのですが?」


「ここには来なかったぜ。そうするとそっちも取り逃がしちまったって事か?まずいな、それは」


 結局雑魚ばっかり捕らえて、幹部を一人も捕まえていない。



「村へ行くぞ!」


 ココさんは言い終わるよりも早く村に向かって駆け出していた。



「そうだな、盗賊の残党は村に集結している可能性が高い。ここの片付けは俺達がやるからお前らは村に向かえ!」


「わかった!ここは頼むよガズ」


 盗賊のリーダーの率いるチームは当初の予定通り村に向かっていたはずだ。

 おそらく他の幹部たちもリーダーと合流し、村を襲ってから離脱する可能性が高い。




 倒した盗賊たちの捕縛はガズさんたちに任せて、俺とシア、それにユナさんはココさんを追って村へ向かった。



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