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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第四章 国外遠征
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104話 陽動作戦仲間

 宿に戻ってガズさんたちと食事をしていたら、冒険者ギルドで話しかけてきた女性が現れた。


「あなたたち、上級冒険者だったなんてね。びっくりしたわ!」


「あっ!さっきのお姉さん!先ほどは話の途中で失礼しました。僕は上級冒険者のキアと申します」


「わたしたちは見習いでしょう、キア。あ、はじめましてわたしはシアと申します」


「俺はゲンだ」


「あたいはココだよ」




「あたしは中級冒険者のユナっていうんだ。よろしくね!」


「ユナさんもわたしたちと同じ陽動作戦グループでしたよね?」


「ええ、そうよ。先輩としてあなたたちの面倒を見ようと思ってたんだけど、余計なお世話だったかな?」


「いえ!ぜひ面倒を見てもらいたいです!」


「でも、あたしより強いんでしょ?」


「上級と言っても僕は仮合格ですので!」


「仮合格?」


「今回正式に上級冒険者に合格したのはゲンだけで、わたしとキアは条件付きで一時的な見習い上級冒険者なんです」


「へえ、そうなんだ?どういう事?」



 シアはユナさんにこれまでの事情を説明した。



「それで、僕たちは実技試験で合格基準に達してていなかったんだけど、ココさんの今回の任務に同行している間だけ、仮に上級冒険者権限が使える事になったんですよ」


「そんな事情があったんだね。でもそうすると、ゲン君だけは実力で上級冒険者になったって事だよね?」


「俺もまぐれだけどな」


「どっちにしてもみんな上級冒険者に近い実力って事は事実なんだよね?その若さですごいよ、君たち!」


「何と言っても、このゲンは『勇者』の弟子だからな!」


 なぜかガズさんが俺の事を自慢げに話した。


「『勇者』じゃなくて『剣聖』の弟子だ」


「どっちも一緒だろ、同一人物なんだし」


「ええっ!『勇者』の弟子なの?それじゃあ『勇者』と親しいんだ?」


「親しいどころかゲンは勇者様と一緒に暮らしてたからね」


「へえ!そうなんだ!今の勇者様ってすごい美人なんでしょ? っていうか、シアさんがあたしが今まで見た中で一番の美少女なんだけど、勇者様ってそんなにきれいなの?」


「はい!勇者様はわたしなんかよりずっとおきれいな方です!」


「シア、そこは好みによるだろう?実際クラスの男子は師匠派とシア派に分かれてたぞ?」


「ふふっ!わかったわ。シアさんと同レベルの美女って認識で問題なさそうね。そしてゲン君はシアさん派って事よね?」


「ああ、・・・まあ・・・そういう事だな・・・」


 俺が照れながら答えていると、シアも隣で赤くなっていた。


「ふふっ、かわいいわね、二人とも」


「うぶに見えるけどこの二人、この歳でやる事はしっかりやってるんだぜ!」


「やってねえ!」

「やってません!」


 ガズさん、余計な事言うなよ!


「あははは!冒険者はそんなこと気にしないでいいよ!そういう事には割とみんなおおらかだからね!」


「そういうものなのか?」


「うん!冒険者って、出会いと別れが多いし、突然命を落とす事もあるからね。気があったらすぐに付き合うし、別れもあっさりしてる。出会ったその日に体を重ねるなんてよくある事だよ。一緒に死線をくぐり抜けた男女がその勢いでって、よくある話だし」


 なぜかガズさんとタヤさんが赤くなっていた。


「そうなんですね!ではユナさん!僕と今晩どうでしょうか?」


「ごめんね、あたしキア君とはまだそういう気分じゃないかな?」


「では、今回の作戦で、その気にさせて御覧に入れましょう!」


「あはははは!じゃあ、期待してるね!」


 ・・・おい、キア、ココさんの事はどうすんだよ



「・・・ねえ、ゲン、あまり深刻に考えなくてもいいみたいですよ」


 シアが俺の袖をくいくいっと引っ張りながら言った。


 顔を赤らめて俺を見上げている。



 これは、もしかして・・・ありなのだろうか?



 自分にけじめをつけるためにまだしばらくは我慢するつもりだったが、そんなに気にしなくても、もっと気楽に考えて良いものだったのかもしれない。



「まあ、貴族だったらいろいろしがらみがあるだろうけどさ、気ままに生きられるのがあたし達冒険者の特権だよね!」



 ・・・そうだった、シアは貴族だった。例の王族からの求婚の話もあって、結構デリケートな状況だったのだ。



 それに・・・シアの体の成長の事もあった。


 シアは比較的体の成長が遅めで年の割に小柄で華奢な方だ。

 一方俺は成長が早くて、既に成人男性に近い体格だ。


 せめてもう少しシアが成長してからでないと、シアの体に負担をかけてしまう。

 シアに無理をさせない事を一番に考えてあげないとな。



「シア、正式に婚約するまでは我慢しよう。そう決めただろ」


「ゲンがそういうなら仕方ないです。我慢します」


 嬉しそうに舞い上がっていたシアは、しょぼんと落ちこんでしまった。

 ちょっとかわいそうな気もするが、これはシアのためだ。


「ふふっ、彼女の事、本当に大事にしてるのね。羨ましいな」


 ユナさんは少し遠い目をした。


「シアさん、素敵な彼氏を見つけたね。絶対手放しちゃダメよ!」


「はい!絶対手放しません!」




 ユナさんのおかげでシアが少し元気になったな。


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