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勇者を名のる剣聖の弟子  作者: るふと
第四章 国外遠征
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103話 討伐作戦会議

 盗賊団の大規模討伐作戦実施にあたって、前日に顔合わせを兼ねた作戦会議が行われた。


 盗賊団に情報が漏れない様に、参加が確定した冒険者のみに、秘密裏に招集がかかった。


 俺達はガズさんから直接聞いた。




 ガズさんに案内されたのは、冒険者ギルドの会議室だ。


 総勢50人ぐらいの冒険者が集まっている。

 殆どが筋骨隆々の厳ついおっさんたちだ。


 俺達ぐらいの年齢の冒険者はさすがにいないな。

 比較的年齢の低い冒険者も数人いるみたいだが



「ねえ、君たちも討伐に参加するの?」


 きれいなお姉さんが俺達に話しかけてきた。


 俺達よりも2~3歳年上だろうか?

 俺たちを除くとこの中では最年少だろう。


「はい!そうです!旅の途中ですが、困っている人々を見捨てる訳にはいきませんから!」


 キア、こういう時の反応は早いな。


「へぇ、駆け出しの冒険者みたいだけど、今回の募集は中級以上だよ?間違えてきちゃったのかな?」


「いえ!僕達はこう見えて・・・」



 キアが事情を説明しようとした時に、ギルド長の話が始まった。



「みんな!静かにおし!」


 ギルド長は老婆だった。


 だが、とんでもない気迫だ。


「ふん、腰抜けぞろいで、人数が集まらないかと思ったが、そこそこ集まったみたいだな」


「今回は上級冒険者が5人も参加してくれる事になった。作戦はそいつらを中心に考えた」




「上級冒険者が5人だって!?どこにいるんだ?」

「そんなすごそうなやつら見当たらねえぞ」

「上級冒険者が5人もそろう事なんてあるのか?」


 地元の冒険者たちがざわめいてる。



 ・・・5人って事は俺達の他にもう一人いるって事か?



「こいつらだ!」


 ガズさんが俺達を指さした。


「どこにいるんだよ。ガキしかいねえじゃねえか?」

「まさかそのガキどもって冗談言う訳じゃねえよな?」


「そのまさかだよ。ココと『黒曜石の剣』だ!」



「上級冒険者のココっていやぁ中級の魔物を一撃で殴り倒すって話だぞ!」

「ベテランの冒険者って話だ、こんな子供な訳ないだろ」

「『黒曜石の剣』って、この前最年少で中級冒険者になったって噂になってたやつらだよな?」

「ああ、隣国でそんな噂が流れてたって話だよな?だが、いくら何でも13歳で中級冒険者になれる訳ないだろ?」

「それがもう上級冒険者ってそんな話信じられるかよ」


 まあ、普通に考えてそうだろうな。


 本人達がまだ実感を持てねえんだから。



「静かにおしっ!本物かどうかは実戦で確認しな!今回の盗賊団には相当な手練れが複数いるって事がわかってる。そいつらには上級冒険者を当てる」


 ギルド長がざわめく冒険者に一喝した。


「これからおまえたちを三つのグループに分ける。まず一つ目、ココを中心としたグループだ。正面突破を担当してもらう」


「おう!まかせろ!」


 ココさんが、ギルド長にサムズアップで答えた。

 ギルド長もうなずいたところを見ると、二人はどうやら知り合いらしい。



「二つ目は『黒曜石の剣」を核としたグループだ。陽動を担当してもらう」


 つまり、囮って事だな。


 まあ、うちには名人がいるからな。


「あの、わたしたちは三人一緒ですか?」


 シアがギルド長に質問した。


「ああ、おまえらは上級になったとはいえまだ経験が浅いからな、三人で一人前だ」


 まだ、そこまで信頼していなという事か。


「でもゲンと離れなくてよかったです!」


 シアは俺達と一緒で少し安心したらしい。



「三つ目は、ギルを中心とした少数精鋭のグループだ。遊撃部隊として活動し、ココのグループと敵の本体の本格戦闘が始まったら、敵のリーダーを見つけて迅速に制圧しろ!」



「ああ、わかった。でも本当は僕は一人の方が効率的に動けるけどね」


 ギルと呼ばれた青年は、豪奢な金髪の優男だ。

 女にもてそうな顔してるな。


「そう言うな、万が一に備えて必ず複数で行動しろ」


「しかたないなぁ、せめてメンバーは自分で選びたいね。そうだな・・・君!どうかな?」


 優男はシアに手を差し伸べた。


「えっ!私ですか!?」


「君の魔法の腕前はここにいる冒険者の中で最高レベルだよね?それに美しさも一番だ」


 こいつ、何を言ってやがる!


「あのっ!困ります!」


「あと数年もしたら、君は世界一の美女になるよ」


 男がシアの手を取った。


 こいつ!ふざけんなよ!


 俺が動こうとしたら、ギルド長の声が遮った。


「そいつは『黒曜石の剣』だ!あんたとは別グループだよ!」


「そうか、そいつは残念。では、依頼が終わったら個人的にお誘いするよ」


「おっ、お断りします!」


 シアはきっぱりと言いはなった。


「おや、誘う前から断られるとは思わなかったよ。今まで女性に断られた事は無いのだけどね」


 何なんだこいつは?


「それから君、僕にかかって来ようとしてたみたいだけど、君では僕には勝てないよ」


 男は俺の方をちらっと見て言い放った。


「なぜそう言い切れる?」


「そんなの、見れば分かるじゃない?君にはわからないのかい?それじゃなおさら僕には勝てないね」


 何なんだ、この上から目線は?


「試してみるか?」


「僕は構わないけど、いいのかい?彼女に無様なところを見られても」




「あんたら!今はブリーフィング中だよ!後にしな」


 ギルド長に怒られてしまった。




 その後、各グループのメンバーを決め、当日の作戦の詳細説明を聞いて解散した。




「何なんだろうね、さっきの男。女の子とみれば見境なく声をかけるなんて最低だよ!」


 キア・・・おまえ、やってる事ほとんど一緒だぞ・・・


「わたしもああいう男の人は嫌いです。二度と関わりたくないです!」


「今回の作戦も別グループだし、これが終わったら俺達はすぐに旅立つ。もう会う事もないだろう」




 だが、あいつの言っていた事が頭の片隅に引っかかっていた。


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