七不思議 三番目の謎 虹?
「それで、ナナちゃん。虹の謎が解ければ不思議なことが起きるのはわかったけど、虹はどうするのさ。まさか、雨が降って、都合よく晴れて、目標地点に虹が出るなんて思ってないよね。」
「ふふん、もちろん考えてあるわ。そうなったら、そうなったでロマンチックな感じでいいな~とは思うわよ。でも現実と理想は違うのよ。イイな~起こって欲しいな~で、起きたら神様はいらないし、天気予報もいらなくなるのよ。」
「うん、僕だってそう思うよ。だから、どうするの?って方法を聞いているんじゃないの?神宮寺高校創立以来の才女たる、時渡那奈美さんに。」
「う~んでもね。人間頭を働かせなきゃダメだと思うのよ。人に聞くのもいいのよ。それが近道だし、やってほしいことをしてあげるもの一つの手なのよ。でもね。世界に大きく羽ばたきたいならそれじゃ~ダメなの。頭の灰色の脳細胞が焦げ付いて、真っ黒になるまで燃焼させて、そこで思いついた答えが世界をあっと言わせるのよ。わかってるトシ君?」
「うん、わかってるよ。何年君の幼馴染をやっていると思っているの。僕はそれは耳にタコが出来るほど聞いているよ。その上で時間短縮のために聞いているんだよ。今回は世界をあっと言わすためではなく、僕たちがあっと驚くためだろ。それに、青春の一刻一刻を大事にするんだろ。これ以上時間を持て余してたら、不思議が逃げちゃうかもしれないよ。せっかく近くまで来てるかも知れないのに、逃しちゃうかもね。」
「トシ君やるじゃない。私に反論するなんて。でも、そうね、確かに時間は1分1秒全てが大切で愛おしいわね。しかたないわね。答えを言ってあげるわ。虹ってなんで出来ると思う?」
「いや、それ答えになってないよ。ナナちゃん。話が進みそうにないし答えるけど。雨上がりで空が晴れている時に太陽が出ている場所とは反対に虹がでるんだよね。人為的にも起こすことは可能だよね。自然物だと、滝が落ちる場所なんかが、水滴と太陽の光で虹が出るし、人工だと、庭とか畑にホースで水やりをした時に出てくるよね。」
「そうよ。ピンポーン。大正解よ。答えはその通り、トシ君の言った通りよ。」
「ってことはまさか、僕らが水を撒いて、そこに人為的に虹を発生させるっていうこと?」
「そう、そのまさかよ。それしかないわ。もちろん時期的なものも踏まえて、7月7日に決行するわよ。土曜日は体育会系や吹奏楽部の部活動の練習で人手が多いわ。せっかくの七不思議の秘密だから、他の人にはなるべく内緒にしときたいのよね。こう、大勢に知られちゃったら、せっかくの感動が台無しになると思わない?」
「そうだね。世界でみんなが不思議に会ったのと、僕たち二人だけで会ったのでは希少度が違うからね。内緒にしておくというのもわかった。なら、結構は、7月7日日曜日の太陽の出ている昼間の時時間帯だね。」
「そうなるわね。丁度七夕だし。短冊に願い事書いといたら、きっと不思議が起こるわよ。」
「でも、どうやって水を出して、虹を演出するんだい。幸い天気予報では、丁度その日は晴れるみたいだけど。」
「ふふっ、それは見てのお楽しみよ。そうね当日は準備もあるから、10時に中庭の噴水に集合ね。もしかしたら、神隠しに会うかもしれないから、どこに飛ばされてもいいように武器や守るものは必要よ。トシ君は確か、少年剣道やってたわよね。」
「ああ、小学校の頃に少年剣道をやっていて、初段まではもっているよ。だから家には、子供用だけど木刀もおいてあるし、いれる袋もある。それを持って来いってことだね。いったいどんな神隠しを期待しているのさ。」
「ふふふっ、きっと楽しい神隠しよ。だってこれまで、いなくなった人はいない神隠しなのよ。それに七不思議の『徳川の埋蔵金』ってフレーズあったじゃない。あれが、もし作った人に何らかの意図があるなら、井戸にはなかったけど、七不思議には関係しているかも。そうなると、江戸時代に飛んじゃったりするのかもしれないわね。そうなると、洋服よりかは紋付袴の方がいいかしら。」
「それなら過去の七不思議に関連していた人たちは何らかの昔の古物を現代に持ってきていることになるね。流石に大騒ぎしそうなものだけど。」
「そうね。そこがまだわからない所だわ。どうして七不思議を作ったのか?どうして、その道筋を残しているのか?作者の意図がそこはまだ読めないわね。でもいいわ。そこは不思議に出会った時のお楽しみよ。あ~~今から寝るのが楽しみになってきたわ。」
「君はいつも楽天的でいいな~。僕なんか、もし何かあったらどうしようって不安で一杯だよ。時渡の親父さんにも、君のことは良く見るように頼まれているのに。」
「何言ってんのよ。私のお父さんは大丈夫よ。娘の私がお願いって言ったら、はいはい、って二つ返事で了承してくれるもの。ま~いいわ、今日の所は予定も決まったし解散よ。では、また明後日学校で会いましょう。あっ、忘れてわた。一応お弁当は持ってきてね。水筒も必要よ。」
「いや、どっかに遠足行くわけじゃないんだから……」
こうして、僕たちは学校を後にして、電車で自宅まで帰って行った。僕らは、同じ部落に住んでいるので、学校で別れる意味なんてホント意味はなかった。駅のホームでどうせ会うんだから。