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魔導旅記〜魔法を極めるために旅をする〜  作者: 哉瀬
エールヘッジ王国
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新たな仲間

 もっと早く動いていれば、彼女ユウを助けれることができたのかもしれない。

 だが、それに気付くには遅すぎた。

 さらには、なぜ影がこの段階で出てくるのか。普通、影は熟成された負の感情を持つ人に力をよこすものなのである。ユウのこの嫉妬の感情はつい最近芽生えたものとみられる。普通、こんな短期間では影が力をよこすほどに濃密な負の感情にはならない。

 だが、今考えたってどうにもならない。はてさて、どうやってユウを助けるか。あれこれ考えていたらユウが俺の前から消えていた。...なんだよ。最初からこうならないといけなかったのか?

「クソっ、僕は一体どこで...!」




 リーズの街では、突如街の防壁の向こうにできた黒い結界と、微かにだが聞こえる魔物たちの咆哮により大混乱になっていた。これにより、レンジスの両親たちは領民たちを鎮める為に多忙となっていた。

「安全な場所はどこかとの質問が...!」

「地下だと言っておけ!」

「外の結界は一体何かと...」

「わからん!誰かは知らん!」

「母様、怖いです...」

「大丈夫ですよ、すぐに終わります」

「...!」

 ご覧の通り、父も母も領民たちからいろいろな質問の荒らしを受けていた。そうだ。魔物なら、あいつらの訓練になるんじゃ?!そう考えた僕は|旅に連れて行く組《天使二柱と熱製造機二台》を集めた。



「それでは君たちには東西南北に分かれて敵を迎撃してもらいまーす!」

「「「「無理言うな!」」」」

 4人揃って反対。うんうん。そうだろう。

「それでは先に言っておこう。君達の魔法構築は馬鹿げた速さになっております!」

「「「「へ?」」」」

「じゃあリーフェ、あの木に向けて何かしらの初級魔法撃ってくんない?」

「わ、わかりました...じゃあいきます...」

 そして魔法構築をあり得ない速度で完了させる。

土の矢(サンドアロー)

 その魔法は目標に命中し、当たった木は無惨にも砕け散っていた。

「ど、どういうことですか...?」

「つまりこういうこと。日々訓練を積み重ねてきたからこうなったって訳だよ。あ、さらにおまけで制御魔力量も増えてるから、今なら特級魔法を使えちゃうんじゃない?」

「そ、そうなのね...」

「僕は魔法が苦手ですから、こういう時は心底羨ましいと思ってしまいます...」

 いやいやオルンくんや。そこそこ魔法が使えているのに苦手はないでしょう。この世の全ての魔法使いに後で謝りに行きましょう。

「まあ、ぼちぼちやっていけばいいよ。やってみたければ、僕がその練習台になるよ?」

「本当?!じゃあしょうがないわね私が打ってあげる!」

 フェリスがものすごい勢いで食いついてきた。そんなに僕に怪我を負わせたいのか...

「ふふふ。貴様がこの僕に傷をつけようなど千年早い」

「ぬかせ!」

 ネタに乗ってくれたような乗ってくれていないような...まあいいや。

魔法構築ウェライトディストーション...」

 お、始まった。

 すごい濃密な魔力だ。

 これは水属性の...あれ?フェリスさん?ここら一体を水浸しにする気ですか?

「行くわよ!超圧縮水霊砲ウォータープリズムキャノン!吹っ飛べぇぇぇ!」

 マジじゃないですか。それじゃ僕も...

万物吸収リザレクト...」

 超圧縮水霊砲ウォータープリズムキャノンがレンジスが展開した黒い壁に触れると、まるで粉のように水が消えて行く。

「ちょ、どういうこと?!」

 ふふふ、僕を侮った罰だ。存分に絶望するがいい。

「まあ、まだまだだね。でもこれくらいならそこら辺の低レベルの魔物ならワンパンで狩れるよ?」

「そ、そうなのね...」

 おいおい、自分が引き出しておきながら引くんじゃない。

「まあ、そういう訳だから、あんまり心配しなくてもいいぞ!強敵に出会っても、戦いながら成長すればいいだけだ!」

「あんたねぇ、そんな簡単にいうんじゃないわよ...」

 最後までフェリスがよく突っかかってくる授業だった。



 さて。人払いも済んだ。ちょっと誰かいるそうなのでその何奴と少し話そうではないか。

「おーい、隠れてんのはわかってんだよ、出てこいよ」

「...」

 おお、結構美形な顔立ちだな。街中にいるだけで女性から黄色い悲鳴を浴びせ続けられそうだ。

「お前は何者だ?」

「...ルーファン、魔族だよ」

 ?!っいや今は動揺している暇はない。

「なんでここにいる?」

「...元司令官だった、でも追い出された」

「なぜ?」

「魔王様に対する反逆行為を行ったから。でも、私そんなことした覚えない」

「だとさ魔王様よ。それでどうなの?」

「?!魔王様?!」

 イリスは現役の魔王だったのだ。暇すぎたところ、聖霊召喚クリエイトエレメントの反応が途轍もなく巨大だったものがあった為、出向いたのだとか。これが真相だったのか。

「よいよい、頭を上げよ」

「で?魔王様や。真相の方はどうだい?」

「そんな行為は確認されていない。大方仲間から恨みや憎しみでも買っておるのだろうな」

「そんな...」

 それは悲しいことだ。信頼されていた者たちに裏切られるというほど、信じるということが難しくなってしまうシーンはない。

「ルーファンよ、提案だ。我と共に行かぬか?」

「...え?」

「これは提案だから断っても良い。だがもしいいのなら、我の話し相手になってくれると嬉しいぞ」

「...願ってもない提案です。是非、ご一緒させていただけると嬉しいです」

「うむ。あ、ちなみに此奴は我が主人であるから粗相のなきようにな」

「!敬愛する魔王様を従える大主人よ。あなたに生涯の忠誠を...」

「いらない!それはこいつ(イリス)にしただろうが!」

 こうして、旅に出る前に仲間が1人増えたのだった。


「さて、仲間になった暁には僕に対しての敬語は禁止とします!」

「委細承知。だぁー、わーたよもーかったりぃ...」

 おいおいギャップが激しすぎだろ。

「それが君の普通かい?その態度でこれからも接してくれると助かるよ」

「わーてるて。これからもよろしくねぇ〜」

 うーん、不安。だが司令官に任命されるだけの手腕はあるんだ、戦闘の腕は信用できるだろう。

「そんな君に初任務だ!」

「んにゃ?なんだってんだい最初から...」

「君は敵方の司令官なんだろ?それなら魔物たちの量や質もわかるだろ?」

「そだよ〜」

「それじゃ、一番そのどっちも高い方面軍ってわかるかい?」

「んぁ、北でゃょ〜...」

 まじか。オルン君がいるところじゃないか。これは...

「喜べよ初任務だ!魔王様と一緒にな!」

「この喜び、とても言葉では表せません。ありがたくその人を頂戴いたしたいと思います」

 切り替えはええよ。そしてギャップがえぐいぞ。

「君には魔王様と一緒にオルン君と魔物の迎撃に当たってもらう。余裕ができても深追いはするなよ?いずれは一箇所に集める予定だから」

「承知しました。勝利を御前に必ずや持って行ってまいりましょう」

「うむ。期待しておるぞ!」

「は!」

 うんうん。なんかどこかの時代劇みたいだ。

 とりあえず、配置だ。


 ・北門

  オルン・イリス・ルーファン


 ・南門

  レンジス・アリス


 ・東門

  フェリス・アルファ


 ・西門

  リーフェ・シルフィード


 これでいいだろう。あとは個々が僕の思う以上に成長してくれたらいいけど...まあそれは乞うご期待だな。

それぞれが配置につき、魔物を待ち構えていた。

今回は短め。

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