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魔導旅記〜魔法を極めるために旅をする〜  作者: 哉瀬
エールヘッジ王国
3/30

最強の?

 仕事は疲れるものだな諸君よ。


 僕も働きたくないよ。さっさと娯楽の山に浸かりたい。


 そんな僕の職場は超ブラック。


 今から定時で帰ってみようと思う。見ていてくれ、僕の会社の黒さを...


「さて、僕はもう終わったから後は頼んだよ」

「ちょっと待ちなさい、まだ半分も終わってないわよね?」

「後は任せた」

「ちょっと、もう少しやってもいいじゃないの?」

「ふふ、今日はどんな『げぇむ』をやろうかな...」

「ふふ、これはちょっと話し合い(おしおき)が必要かしら...?」

「やめてください!それだけは!」

「わかればいいのよわかれば」

「怖い...」

「何か言ったかしら?」

「いっいえなんでも!」

「ふぅ、そういえば例の件は進んでるの?」

「あっああ、着々と進んでますよ。まだ実行段階に移すには早すぎるけど」

「そ、進んでるならいいわよ」

「は、はい...」

 怖い。怖すぎる。この姉さん、怖すぎだろ!一体何の末裔なんだよ!

「さっさと進めなさいな。その計画は、私たちにとっては重要な案件なのよ」

「言われなくともわかってますよ...これを実行したらやつ、一体どんな顔をするんですかね?」

「さあ?わからないわね。まあ、今は一時の平和を享受しているだけでしょうけどね」

「まあ、奴がそんな笑顔なら、この計画で歪ませて見せますよ、その笑顔を」

「ええ、その瞬間が来る時をとても楽しみにしてるわね」

「任せてください、我が神(アカリ)様...」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 僕の彼女、王女様の爆弾発言があってからしばらく。

 僕は両親から優しく質問(きょうはく)されていた。

「おい息子よ、これはどう言うことだ!」

「激しく同意ですね。もし王女を誑かしたと言うなら...ねぇ?レンジスちゃん...」

 父の方はまだいい。問題は母の方だ。

 人をちゃん付けで呼ぶときは、絶対教育(おしおき)をする気だ!何としてでもこの場から離脱せねば!じゃないとまた僕は昏睡状態になる!

 とは決意したものの、どうやってこの場から切り抜けようか...

 僕がここからどうやって切り抜けようか頭を悩ませていたところに僕にとっては朗報であり、両親にとっては危惧すべき事案が入ってきた。

「ご報告します!領都リーズから北西5キラミル地点で、大規模な魔物集団(スタンピード)が発生しました!」

「「なんだと!」」

 両親は驚愕したが、僕にとってはいい都合だ。利用させてもらわない手はない。

「父上、と言うわけで用事ができたので行ってきます!では!」

「あ、ちょっと待てお前は.......!」

 父が何か言っているようだったが、この場から切り抜けることを最優先にしていた俺には何を言っているのか聞こえかった。

 そして僕はあの地獄から切り抜けたことに感じる喜びよりも、なぜか大規模な魔物集団(スタンピード)が発生した方に楽しみを感じている方が不思議だったのだ。なにやら、自分の力を試せる相手に出会った時の嬉しさみたいな、もっと強くなるための練習相手と出会えたような...ん?なぜ母はダメなのかって?それは勿論化もn...寒気が止まらなくなったからこれ以上はやめておこう。とにかく母は異次元の存在なのだ。母とは戦わない方がいい。そう、直感が激しく告げているのだ、従うしかない。

 あ、そうそう忘れてた。さて、ちょっと肩慣らしに大規模な魔物集団(スタンピード)を潰そうか。せめて、俺よりも強くあってくれよ?




 領都リーズより北西、5キラミル先の森の中にて...


 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 悲鳴が聞こえ、人が倒れていく。

 この馬車は、実は違法商売を行っている商会が保有しているものであり、実際その馬車の中にはその商売で捌かれる『商品』がいる。しかし、幸か不幸か、この『商品』は奇跡的に助かっており、この『商品』は馬車の中で危険が去るのを待っていた...




 家を出て数分後。

 大規模な魔物集団(スタンピード)の発生した森まできた。いやはや、この程度、肩慣らしにもならないな。そう思って、森ごと焼き払おうとした。が、わずかに強者の気配がした。

 (これでちょっと本気を出せるかも!)

 そう思い強者の気配を探すべく、レンジスは森の中へと姿を消した。


 強者の気配を探すべく森を探検してしばらく。

 襲ってくる魔物は容赦なく消し炭にしてやった。

 森の恵みのために少しは貢献してあげたのだ、感謝してほしいものだね!

 そんなこんなで歩いていたら、馬車を見つけた。しかし、あたりは血まみれ。うっ、襲われた後かよ、後で墓を立ててやらないと...とそんなことを考えていると、僕の強者センサーがビンビンに働いた。もしや!ここに強者が近づいているのでは?!と思い地図魔法を展開する。ちなみに地図魔法は俺のオリジナル魔法だ。誰にも教えていない。墓まで持っていくつもりである。さて、その地図魔法によると強者は...馬車の中にいるらしい。嘘だろ?


 しかし、レーダーによると魔物が近づいてきているらしい。こりゃ、馬車の中を除く前に一運動だな。

「さて、せいぜいいい準備運動の相手になってくれよ!」

 魔法構築。それは貴族王族なら使えて当然、平民は使えたら貴族王族がごそって取り合いになる。それほど魔法構築ができる人はこの世界では貴重な存在なのだ。貴族である俺は当然使える。しかし、このことを鼻にかけて平民を虐め倒す貴族王族もいるらしい。僕はそんな奴らが死ぬほど嫌いなのだ。なぜなら、弱い存在にしか目を向けず、強い存在には胡麻を擦りまくるのだから。漢なら正面切って退治せよと言いたい。さて余談が過ぎたな。普通の人は魔法構築は三段階(サーズ)までしかできない。しかし優秀な人なら六段階(シクサーズ)、天才なら十段階(トーダーズ)、かつていた大賢者様なら三十段階(サーディサーズ)まで構築できると言う。それに、並列構築ができる人はさらに貴重だ。そして火、水、森、風、土、空間、時、聖、闇の全属性使えるとなれば、この世界史上初めての全属性並列構築ができる人物となる。しかし、そんな人物などこの世にはいない。そもそもいなければこんな話はしない。ん?じゃあ僕はって?僕は...

「並列構築...十段階(トーダーズ)...」

 十段階(トーダーズ)は僕でも余裕でできる、僕は七十段階(セブンディサーズ)まで同時に構築できる。だが、それを披露する機会はここではない。そして...

世界停止(タイムズアウト)、発動...火原(フレアグローズ)猛風陣(テンペスター)...」

 僕は全属性使える。これもまた別の機会で。ここでいきなり全属性をぶっ放したら、領都がびっくりするだけじゃなくて、最悪ここら一帯が吹っ飛ぶかもしれない。馬車の中には強者がいるようだしね。舞台は整えてからやらないと。

 僕は”簡単な初級魔法”で、魔物(ゴミ)共を一掃した。


 やべぇやり過ぎた。

 馬車周辺は保護したものの、森中心部から週百ミル四方の木草を吹き飛ばしてしまった。いやはや、手加減してよかったよかった。母には絶対にバレないようにしないと。そう、決心して、俺は馬車の中にいる強者の元へと向かった。




 馬車の中にいる『商品』は外で聞こえる悲鳴でふるふる震えていた。ここ数日まともな飲食も取ってない。おかげで意識が朦朧としている。しかし悲鳴だけははっきりと聞こえる。生まれつき『商品』だった彼女は、『商品』保管用の倉庫の中で他の『商品』の悲鳴を飽きるほど聞いてきた。そして自分も悲鳴を上げてきた。おかげで心も壊れてしまったのだ。今、自分は死へのカウントダウンが急速に進んでいると分かっている。いっそ死んだ方がマシだと思う人生だが、いざ死と対面すると自分の心に残ったわずかな感情が、死を拒絶しようと、恐怖の感情を創り出した。しかし、助けてくれる人はいない。だが、死ぬのは怖い。そんな考えが渦巻いている中、外からの悲鳴が止んだ。ああ、とうとう自分の番なのだと理解してしまった自分が嫌いになってしまいそうだった。『商品』、いや彼女は最後まで生きようと足掻いて見せたのだ。しかしその瞬間、外から男の声が聞こえた。しかも、若い、自分と同じ歳かもしれない声が。その声が聞こえた瞬間、彼女の前に一筋の光が見えた。そして彼女は声を振り絞って、

「た...す....け.............て....」

 と、助けを求めた。

 しかし本人には聞こえてはいない。現在彼は魔法を並列構築中なのだが、小鳥の声を聞く余裕すらあるが今目の前にいる敵を蹂躙し尽くすことに興奮を感じており、脳が戦闘(バトル)モードになっているのだ。この時の彼には周りの声は”ほとんど”聞こえないと覚えておいた方がよい。

 そして、次の瞬間、馬車の外に何やら結界らしきものが張られた。そしてそのすぐ後、ものすごい音と共に、馬車の中にまで猛烈な熱風が吹き付けた。それが何かを確認しようにも、手足が動かない。かろうじて口が動く程度である。

 足音が聞こえる。誰なのだろうか、新しい主人も、また私をおもちゃにするのだろうか?そう考えると彼女は不安で仕方がなかった。しかし逃げようにも手足が動かない。そして足音の主は馬車の中に入ってきた。




 どうしてだろうか、彼女からはものすごいオーラを感じる。この俺の歴戦の勘が告げているのだ、間違いない、と思いたいのだ。みずほらしく、服も汚い彼女が強くなれると。そう考えていると

「おいて.......いかな....い..で....」

 と彼女の口が動き、弱々しくだがそう言ったのだ。

 そんなわけないじゃないか!僕が強者を....ゲフンゲフン。失礼。こんな”か弱い女性”を大規模な魔物集団(スタンピード)が起きた後の森と言う超デンジャラスな場所に置いていけるわけがないじゃないか!そう!”か弱い女性”を置いていけるわけがないのだ!いいかい?”か弱い女性”だ!

 こうして僕は、強sh....じゃなくて”か弱い女性”を屋敷へと連れて帰った。


 そういえばこの子、同い年なのかな?と思ったのは秘密である

 当然、帰ったら母に次の日まで教育(おしおき)された。

 僕はまた一週間目覚めなかったと言う。

 やはり母、最強です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

やはり小説は書くのが疲れるけど楽しい。

こんなかんじで学業に挟みつつぼちぼちやります。

応援よろしくお願いします。

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