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魔導旅記〜魔法を極めるために旅をする〜  作者: 哉瀬
エールヘッジ王国〜エリャグル山郷編〜
26/30

道のり

 夜。

 寝ていると、何かモゾモゾしているような音が聞こえる。

 起きて確かめると...

「おい...なんでいるんだ?ルナ」

「それはご主人様成分の摂取を...」

「そこに正座しなさい」

「ハイ」

 そして。

「あとハルナ。でてこい」

「...」

「やっぱりお前は置いて...」

「ただいま馳せ参じました!!」

「そこに正座しろ」

「ハイ」


 女性2人を正座させている男性。

 側から見たら僕が悪いように見えるが今回は違う。

「なんで夜這いしにきた?」

「ちっ違います私はご主人様成分の摂取を...!」

「それは気持ち悪いから今すぐやめなさい」

「はいぃ...」

「そしてハルナ。君はなぜだい?」

「だって...面白そうだったから...」

「5年前と変わってないじゃないか...」

 僕とハルナは5年前に初めて出会ったのだ。

 その時はまだリーフェには出会っていない。

 僕とハルナは意気投合し、その後3年ほど派遣の修行に打ち込んでいた。

 ほとんど独学だが、我ながらすごく強くなったと思う。

 だがしかし。

 寝床に入ってきては「一緒に寝よ!」などと言ってくるのにはその時は可愛い妹ができたみたいで満更ではなかったが、今となるととてもうざくなってしまった。

 これも心境の変化か?

 とりあえず、だ。

「2人とも、今日1日飯抜きな!」

 2人に笑顔で冷酷に告げた。

 ルナもハルナもおよそ食べ物とは呼べない何かを作ることしかできない...はず。

「「そんなぁぁぁぁぁ」」





 そして数分後。

 ようやく僕らはエルフとドワーフの住む街へと向かい出した。

 昨日はいろいろトラブルが続発したものだから、疲れが溜まっているとは思っていたが、案外そうでもなかった。

 だが、たまにハルナの修行相手にならないと、そこら辺の山が一つ消し飛んでしまう。

 僕の精神はすでに色々な方向に集中しているため、休む余裕などなかった。

 それにハルナの修行相手も務めているのだから、もう心身ともにへとへとだった。

 あれだけ修行相手やってくれとみんなにも言ったのに、誰もなってくれないのだ。

 この辺りで地形破壊を起こされると近くの宿泊街や街道への影響がたまったものじゃない。そうなるということは理解してもらいたいものである。

 そして...最悪の事態が起きた。

 ハルナが、環境を消し飛ばしたのである。

 その日は僕は忙しかったので、誰か代わりに練習相手になってくれと言った。

 ハルナの強さは以前見せたはずであり、カイアスとサナに至ってはその身をもってわかったはずであった。

 しかし。

 その小さな体からはあまり出ないだろうと舐めていたらしい。

 その結果が今回の惨劇である。

 被害は甚大で...

 なんと、森を半分消し飛ばしただけでなく、エリャグル山脈にある山々を数峰消し飛ばして、新たな街道を開拓してしまった。

 この山脈を境に国境が敷かれているので、これを機にと戦争が起こらなければいいが...

 しかし、どうしたものか。

 その後、僕が出向いてハルナと修行(殺し合い)をしたのだが...

「誰も私の練習相手になろうとしなかったからな。素振りをしていたのよ!」

 そう元気に言われても困る。

 あの時間、カイアスもルナもオルンもレイアも暇だったはずなのだが...

 僕は4人を呼び集める。

 覇気を放ちながら。

「君ら、僕言ったよね?彼女の相手にならないと、山が消し飛ぶって」

「...だって」

「だってじゃない。僕は一度忠告したことはあまり咎めないスタイルなんだけどもね...流石に今回は君らに罰を与えないとね」

「罰って...」

 ルナとオルンとレイアが何か察したようで、顔が青白くなっていく。

「君ら、一ヶ月間サクラの料理修行の味見役になってもらうよ」

「え?私のために修行を設けてくれるのかしら?あなたたち!私が作る料理の味見役になるのだから光栄に思いなさい!」

 この会話を聞いていたのであろうサクラが尊大な態度でそう言い放つ。

 カイアスは軽い罰で済んで良かったという顔をしていた。

 ふふふ、彼は夜にこれが軽い罰ではないと思い知ることになるだろう...

 その後、カイアスはさなにつきっきりで面倒を見てもらったらしい。




 森を進んでいくこと数日。

 またもや野生の力に仲間が目覚めかけていた。

 もう本当に勘弁してほしい。

 あの地獄だけはもう見たくはないのだ。

「まじで正気を保ってくれよ君ら」

「レンジス、何を言ってるの?」

 何も知らないハルナがそう言ってくる。

「...聞くか?」

 そうとてもやばい!みたいな雰囲気の顔で言うと、

「...やめとく」

 ハルナが引き下がってくれた。

 良かった。

 もうあの地獄だけは思い出したくもない。

 口に出すだけで身震いをしてしまう。

 そんな茶番をしていたら...

 なんかやってきそうだ。

 僕の魔力検知に引っかかった。

 最低でも...カイアス以上の強さだそうだ。

 ヤベェな、こいつ。

 絶対魔族だろ。

 だが。

 僕らには気づいていないようだ。

 そりゃそうだ。

 なんだって、僕の検知範囲は少なくともここからエリャストの街まではあるのだ。もっと広げることもできる。

 話を戻す。

 つまり、魔族がエリャストの街にいるということ。

 ざまあみろ。

 うちの娘を攫ったことを後悔するがいい。

 だがしかし。

 後味が悪くなるので...

「みんな、僕らが今向かっている街に魔族が襲撃している」

 みんなに知らせることにした。

「イリス、魔族に待機命令出してないのか?」

 イリスにも尋ねてみることにした。

 一応イリスは魔族の王、魔王なのだ。

 こんなちっこくても魔族は頭を下げるだろう。

「...」

 視線をこっちに向けてくれない。

 大体は察することができた。

「父さん、早く行かないとみんな死んじゃう」

 ミリスが目をうるうるさせながら言ってきた。

 そんな目をされると断れないじゃないか....

「癪だが、助けに行くか...」

 そう答えるしかなかった。




 一方、某街では。

「けっ、こりゃたまったもんじゃねぇ」

 土人(ちび)族ことドワーフは危機に瀕していた。

 魔族が襲撃してきたのだ。

 なぜかはよくわからない。

「これじゃいつになっても鉄を打てねぇな...」

 土人族は火属性に特化しているため、その大体の人が鍛治師へとなり、武具防具を打つ。

 そしてできた武具防具を売り、収入源とする。

 それを一生続ける。

 中には名をあげてどこかの都市へと移り住む者もいる。

 鍛治だけが取り柄なのだ。

 一応武の心得もあるが、そこまで敵を圧倒できる!と言うほど強くはない。

 なので、魔族の先兵にもあまりいい結果で勝利できてはいない。

「くっそ、俺らに怪我の治療を求めるなよ...」

 土人族は治癒魔法は全くと言っていいほど使えない。

 日常的にできる手の豆も直せないほどだ。

 なので...

「あんの空気の読めない耳ながどもに頼る...?ありえねぇな」

 耳長(みみたぶ)族ことエルフたち。

 彼らは森と共に過ごす種族。

 しかし、それとは見合わぬ特徴があり...

 割愛。

「はぁ...こんな時に、誰か救世主か勇者か現れないもんかね...」

 この土人は、今ここに救世主も勇者も向かっていることを知らない。

 次回、激戦必死。

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