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魔導旅記〜魔法を極めるために旅をする〜  作者: 哉瀬
エールヘッジ王国〜エリャグル山郷編〜
24/30

強敵と書いて幼馴染と読む

 時は戻り、カイたちと僕が一向に戻る途中。


「にしても...ねぇ?おめでとうと言ったほうがいいか?」

「揶揄うのはやめてくださいね...」

「んん?一言も僕は揶揄う気で言ったつもりはないぞ?それとも....?今日から張り切るのはやめてくれよ?せめて防音障壁をしてからだな...」

「だから!揶揄わないでくださいよ!」

「え?命の恩人にそんな態度でいいのかな?」

「くぅぅ...」

「まあ冗談だよ。あ、マジで今日から張り切るのだけはやめてくれよな?」

「だから張り切りませんって!もうその話やめましょうよ!カイが赤くなってます!」

「大丈夫だから...俺の心配はするなよ...あと師匠もマジでその話はやめろ」

「カイ...」

「おーいいい雰囲気になるのはいいがいちゃつくのなら少なくとも僕が今いる大陸から離れてからしてくれー」

 サナの左手の薬指に指輪がついているのが分かってから、僕は妬み半分面白み半分で新婚カップルをいじり倒そうとしていた。しかし、その考えが甘かった...いや僕もリーフェという立派な婚約者がいるけどね?にしても、彼らがいうには赤子の頃からサナはカイアスに恋心を持っていたらしく...ようちえん?などという異世界の施設で、女が寄らぬ様精一杯アピールをしていたのだそう。しかし当の本人には全く見向きもされなかったという...

 懐かしい。幼稚園という施設はよくわからないが、幼馴染ならばいた。

 だが、いつの間にか疎遠になっていた。

 久しぶりに会ってみたいという気持ちはあるが、今はどこにいるかもわからない。

 もしかしたら、どこぞの貴族に嫁入りでもしたかもしれないな。


「...う。...ししょ...。師匠?」

「?ああすまん。少し考え事をしていた」

「ダーリンの師匠たるものが、何を考えていたの?」

「ダーリンって...照れるからやめてよ」

「やめない♡このあとーーーするならいいわよ?」

「っ...考えておくよ」

「丸聞こえだからマジでやめろお前ら」

 サナの態度が変わってて怖かった。





 そして。

 とうとう僕らは、あの地獄の森から出ることができた。

 そして目の前には...

「...街だ...」

「「ぃやったぁぁぁぁ!!」」

「街だ〜!!」

 これほど街の存在が嬉しかった時は初めてである。

 なんせ悪夢を見た森から出たのだ。

 そして、すぐに街が見える。

 幻視でも、嬉しくはなる。

 とりあえず、温かい食べ物とふわふわのベッドは欲しいところだ。

「はやく...はやくめし...めしをよこせ...めし...」

「おいサクラ獣になるんじゃねぇ」

 サクラはもう限界の様だ。

「とりあえず飯は宿を取ってからだ」

 そういうとサクラは暴れ出した。

 取り押さえるのに時間がかかったのはいうまでもない。




 宿を取った後。

 しばらく各自行動の時間をとった。

 師匠はどこかへ行ってしまった。

 俺はサナと初デート中。

 順番がおかしいという質問は受け付けてはいない。

「これ、サナに似合うと思う」

「ほんとう?ありがと!」

 その後に手が触れるとーーー

「あっ」

 と顔を赤らめながら手をサッと引っ込めるーーー

 というテンプレ展開にはならなかった。

 もうすでに慣れていたし、プロポーズ以前から2人での買い物はしていた。

 だがしかし。

 女性の買い物に慣れたとは一言も言っていない。

 つまり...

「ほらーカイ?荷物持ってよー帰ろーよ〜」

「マジで...マジで休ませて...」


 こうなる。

 占めて100kg。どんだけ欲しいものがあるのか。

 四○元ポケットみたいなん使えねぇのかって言ったら「そんなもの必要ないわ!全部持ってくれるでしょ?」とすごい甘い声で、目をうるうるさせながら俺を見てきた。

 そんなに迫られてしまうと断ることなどできないわけで...

 まあ、そういうことである。

 そして、現在に至る。

 俺、ベンチで脱力中。

「あ”ー...もう動けねぇ...」

「もうちょい少なめが良かったかな...?」

「多すぎるんだよ感性どうなってんだ」

 そんなたわいのない会話をしていると。

 目の前に突然女の子が現れた。

 気配を感じないものだから咄嗟に臨戦体制をとってしまったが、よく見てみると...

 ...でかい。

 何かとは言わないし、創神龍(駄龍)とまではいかないが、とにかくでかい。

 しかし。

 俺はじっと見つめなかった。

 見つめたらサナの鉄拳が降り注ぐからである。

 とまあ、それよりも。

「ど、どうしたんだ?」

「あんたら、レンジスの知り合い?」

 突然出てきた師匠の名前にカイアスたちは困惑する。

 そして敵だと認識する。

「サナ!」

「ええ!」

 カイアスたちは女の子に向かっていくが...

 そのまま気絶させられたのだった。

 そして女の子はその場をさった。

「レンジス...どこにいるというんだ...」





 目が覚めた。

 気がつくと、宿のベッドの上にいた。

 周りを見てみると、俺の隣にサナがいる。

 寝顔も可愛いが、いかんせん無防備すぎる。

 俺の理性フル稼働して表情は抑えているものの、震えている。

 それよりも。

 師匠が狙われていることを伝えなければ。

 俺は師匠の元へと急いだ。

 師匠は街の外れの平原にいるという。

 おおかた魔法の訓練でもしているのだろうか。

 そうだとしたら尚更危険である。

 俺は大急ぎで街外れの平原へと向かったがーー

「...ここはどこだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 ...俺、迷子になりました。






 やっと街から出て、ようやく外れの平原に着いた。

 師匠はーーー

 あの女の子と戦っていた。

 剣術だけで。

 しかし、戦いの余波はこちらまでしっかりと届いていた。

「...すごい」

 今のところ、両者は互角。

 決着は永遠につかないと思われる。

 俺は息を呑みながら、戦いの行方を見届けていたがーーー


 3時間後。

 幾重の風圧の後に、2人が姿を現した。

 先程まではあまりの速さに俺の目には映っていなかったのだ。

 2人が近づき...

 笑って抱擁していた。

 ...?

 ...??

 ...???



 理解するのに数分の時間を要した。その間に、師匠と女の子は何か会話をしていた。

 座りながら。

 俺が導いた推論は一つ。



「師匠、いやレンジス!覚悟しろ!」

「何言ってんだお前」

 なんかカイアスが僕を攻撃しにかかってきたから優しく気絶させてあげた。

「大丈夫なの?」

「大丈夫だよ。僕が鍛えているんだよ?これくらいで死ぬほどやわじゃないよ」

「そ。それよりも...」

「それは連れて行ったら面倒臭いことになりかねないからだよ」

「...なんで私のいうことがわかったの?」

「いや...逆になんでわからないと思ったの?」

「ずっと隠してたのに...なんでわかってんのよー!」

「いや知ってたし」

「嘘?!嘘でしょ!」

「嘘じゃないよ」

「いつから知ってたの?!」

「僕らが初めて出会った日の帰り」

「...もしかして...見てたの?」

「まあね。少年の好奇心は止められない」

「...」

「...そんな話はどうでもいいとして。ここまできてくれて帰れなんて手厳しいことは言わない。とりあえず、余計なことをしないなら、連れていくよ」

「ありがとー!感謝感激ー!さっすが私の幼馴染(・・・)〜この私をちゃんと理解してらっしゃる〜☆」

「そりゃあんなに一緒にいれば理解するだろう。とにかく余計なことはするなよ?」

「もっちろん!この私に任せなさいよね!」

「...本当に余計なことはするなよ?ハルナ」





 本日二度目の天井の景色。

 そして本日二度目の宿のベッド。

 そして本日二度目の俺の腕にしがみついて寝ているサナ。

 そして本日一度目と違うのが、下半身がスースーするところだろうか。

 ...

 まじかよ。

 こんな形で俺は捨てちまったのか...

 そんなことよりも。

 レンジスの野郎を殺さないと。

 あっという間に身支度・戦闘準備をした俺は宿中を駆け回り、レンジスを探した。

(いた)

 やつはあの女の子と一緒に自室にいた。

「覚悟ぉぉぉぉぉ!!」

「だからうるせぇ」

 カイアスは目の前が真っ暗になったーーー



 こいつ、絶対に勘違いしてやがる。

 何を持って僕を敵と認識しているのか。

「おかしいだろ?」

「おかしいね。こっちが笑ってるもん」

「僕ら、幼馴染なのにね...」

忙しいので投稿頻度減ります。

全国0人のこの作品のファンの皆さん、申し訳ない

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