表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

乙女ゲームのヒロインだったはず……

 副題追加させていただきました。

      ◇

 ――なんでこうなってしまったのかな?





 私には前世なのかな? の記憶があるみたいというのか――幼い頃から思っていた。

 思い出したというのかなんていうのか――


 不思議な世界の出来事。今生きている世界とは全く違う異世界を生きていたという記憶。



 そして思い出しているうちにこの世界が、自分がしていた乙女ゲームに似ているというのかそのものじゃないかと気がついた。しかもヒロイン。名前がヒロインそのものだった。



 色々気をつけてみたり、まずそうなことは回避していった。


 そしてやっぱり便利になるなら便利な方がいいよねで、うすぼんやり色々と思い出してこんなかんじかな? って似たようなものを作ってみたり、これはこっちの方がいいかなで行動したりしていた。


 ゲーム世界だからか、そこそこご都合で、食べ物や衛生観念とかこれでこうはないだろう? とかご都合すぎるわとか内心つっこみいれながらも――

 ありがとう。ご都合ばんざいと思っていた。


 便利なら便利な方がいいよね? 


 なんだこれってくらいごった煮文化だけれど。







 乙女ゲームのヒロインとして、しくじってしまったのかもしれないと後々思ったけれど。

 確か、戦闘もあるゲームだしってひたすら鍛えたおしたのは悪かったのかな。


 ――攻略対象の騎士候補アライス様、倒しちゃった。



 魔法もあるのよね。この世界。そりゃ頑張るよね。習得。


 ――宮廷魔法使い候補だった攻略対象メイルフ様も倒しちゃった。



 ヒロインたるもの、勉強も出来なきゃねって頑張ってたおかげか――秀才系セラナム様も勝手に倒れたし。


 こう、他にもいる攻略対象達が何故か挑んでくるのよね。突っかかってくるから、勝負だになって…………。




 まぁやる気ないけれど火の粉は払うしかないかなって、やっちゃったのが悪かったのかな?


 それからは定期的に勝負イベントが入ってくる。恋愛イベントじゃなくて、勝負イベント。


 誘いに来るのよ、勝負に。

 デートじゃないのよ。真剣勝負。



 もしかして打ち負かすのが悪いのかもって手加減しすぎたら、悪化したしね。愚弄するな馬鹿にするなって怒るのよね。


 思い切り自分に枷はつけてしているのだけれど、それ以上に手加減しすぎてしまったのよね。負けたら終わるかなとかも思ったし。





 恋愛が憧れだったけれど、どう頑張ればいいかもう、さっぱりわからない。



 おかしいな。ヒロインよね? 勝手にヒロイン補正かかるのじゃないのかな? 


 ゲームに出てくる学院に行く頃になれば、モテ人生巡ってくるかなって思っていたのに。



 凛々しい格好いいって言われて女性に黄色い悲鳴をあげられるのだけれど、乙女ゲームだったよね? ヒロインよね?











      ◇

「ラナサリア様」

 鈴を転がしたような声の主が私の名を呼ぶ。


 可憐に首を傾げ空色の瞳で私を眩しそうに見つめる栗色の髪の少女。


 私に負けて、傷心の攻略対象達をさらりと天然で軒並み虜にしたのがこのモブ令嬢レフィラン・アナトレス嬢。 


 特に悪意もなさげ。なさげだけれど――


 私懐かれてしまっているのよね。彼女に。何したっけな? なんかしたっけ?




 モブ令嬢は私の隣に座る。

 相手は伯爵令嬢。男爵令嬢である私より爵位が上。学院では身分は同等という建前はあるが、それでもな。


 上位貴族に勝負を挑まれ続けていて、勝ち続けている私が言うのもなんだけれど。





 ――私は、特別仲良くする気、ないのだけれどな。



 私は私にむけた嫉妬の眼差しを感じ、内心溜息をついていた。


 痛いわ。視線痛い。遠巻きに見つめる攻略対象達の嫉妬の視線が突き刺さるわ。


「アナトレス様」

 離れてくれないかな? と思いつつも仕方なく声をかけた。


「レフィランと呼んで下さい。ラナサリア・メハサナ様」


 ――仲良くなりたくない。


 距離を詰めてくるモブ令嬢。まぁ確かにかわいいと思うよ。


 でも怖いかな? 周りでじっとり見つめてくる攻略対象達が。今も嫉妬でぎらぎらだよ。


 私への甘い眼差しとかないよ。私には一切ない。嫉妬の眼差しは常に受けているかもだけどね。


 たとえ闇討ちされたとしても、まぁ返り討ちにするけどさ。


 そういうゲームじゃなかったよね?


 




 なんだろう。


 男性と、女性の取り合いしたくないのだけどな。


 ちらりと攻略対象達を見て内心溜息をつく。


 私を好きになるはずだったのよねなんて思いながら。


 別の女性に入れあげて、その女性が私を大事にするからって、そこに嫉妬する男性。


 最早攻略する気なんてないけどね。出来る気もしないし。


 ――なんかもう嫌になってきちゃった。


 レフィラン様はみんなお友達と思っているのよね。

 競いたくないかな。



 私だって、ヒロインだから可愛くないわけじゃないと思うけど、レベル可愛くないからね。

 最大まであげたよ。あげれるだけ全部。


 魔王がもし現れても世界守れるように。

 足手まといは嫌だなでひたすら鍛錬していた。


 聖なる力で攻略対象達と一緒に戦うとかだったはずだけど、もう攻略対象達は無理だろうし、ひとりで倒せばいいかな? 


 ソロでいいよね? 


 鍛錬はもう日課だし、上限いつか越えてもっと増えないかな? 楽にソロ出来るように。



 きらきらした攻略対象達に、もう期待してないし。してないし。確かに定期的に私と戦うからレベルは上がってきていそうだけど、まだまだだしな。


 でもさ、乙女ゲームのヒロインってこんなだっけな?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ