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第2話 ファンタジー世界に墜落! でも衛星リンクは生きている?

お読みいただきありがとうございます。

 視界が真っ白になった。

 坂木 蓮(さかきれん)はゆっくりと目を開けた。

 背中には何やら土か何かの感触がする。葉っぱのようなにおいもする。


「いったい何が……?」

 蓮はあたりを見回した。

 抜けるような青空。白い雲がふわりふわりと浮かんでいる。


 少し意識がはっきりしてきた。

 どうやら草原におおわれた丘陵(きゅうりょう)にいるらしい。

 近くには人間がぎりぎりもぐりこめる程度の大きさの巨大な卵のようなものが転がっている。脱出カプセルだ。


 少しづつ記憶がもどってくる。


――警報がなった後、大騒ぎになった。

 全員がばたばたと走り回った。

 主任研究員のアイリスがあわてて業務室を飛び出した蓮を見つけ、叱咤(しった)を飛ばした。


「坂木少年! 早く脱出カプセルへ!」

 

 その後はあまり覚えていない。

 脱出カプセルは調査船からどんどんバラまかれる。

 カプセルに入った人間を催眠ガスで強制的に仮死状態にし、使い捨てのエンジンで減速しながら可能な限り安全に惑星などにおろすこともできる。


 どうやら蓮は脱出カプセルで、この監視対象だったスーパーアース「アーキペラゴ」に堕ちてきたというわけだった。


「困った……」

 幸い怪我などはしていないようだった。

 記憶が曖昧だが、とりあえず蓮は脱出カプセルに近づいた。


 宇宙開発機構でアルバイトするにあたって簡単なサバイバル講習を受けた。

 もちろん「万が一」の時のためで、自衛隊員やJICAの職員が受けるような本格的なものではない。


 ただカプセルにはちょっとした救急セットなどが入っていることを思い出したのだ。


「これかぁ……」

 帆布っぽいケースに入った携帯救急品セット。それに護身用なのかショックガンがカプセルの壁にはりつけられていた。


 ショックガンはあくまで護身用だがこの惑星上の亜人類や原生の動物などは一定時間気絶させることができる。蓮の頭に埋め込まれているチップで照準も簡単だ。


 そしてあわてて放り込んだ調査用の装備がはいったバックパックが入っていた。

 蓮たちアルバイトの仕事は惑星の監視だ。


 たまに地上におりて直接調査することもある。

 蓮はまだ経験がなかったが、バイトリーダーの榎本は何度か降りていたはずだ。


 小型観測ドローンと緊急解除システムが入っていた。

 それぞれ近くを観察したり、いざというときにこの惑星上に構築された「魔法」や「魔物」などを解除することができる緊急停止ボタンのようなシステムだ。


 そしてチップに意識を集中させることで、情報収集衛星とのリンクも残っていることがわかった。


「……何が起きたかわからないけど、とりあえず救助してもらわないとね……」

 残念ながら通信はうまく機能しないようで、バイトリーダーの榎本にも連絡がつながらないようだった。


 ふと、どこかからか大勢の人間の声、何か金属がぶつかりあう音、地響きのような音が聞こえてきた。


「まさか……戦闘?」

 蓮はその音がするほうに足を向けた。


 そのまさかだった。


 蓮のいる丘陵地帯(きゅうりょうちたい)から見下ろした先は、見渡す限りの平原だった。そこでみた感じ、数千人の人間たちが展開し、戦闘を行っているようだった。


 中世ヨーロッパの鎧兜(よろいかぶと)に似ているような、どこかファンタジックなような、そんな装備を着た歩兵がぶつかりあい、時折、魔法の閃光や爆発が見えていた。


 黒っぽい集団が若干押しているようだったが、突如、ものすごい轟音が響いた。

 馬に乗った騎兵たちが白い羽飾りをなびかせながら槍をかまえて爆煙のかげから突撃してきたのが見えた。


「こりゃ巻き込まれたら大変だ……」

 戦闘を見つめていたが、ふと我に返り、連は戦場を避けるように丘陵の影から道を探して降りて行った。


 人の気配のない森を抜け、何となく水源地を探していた時。


「見つけたぞ! 待てぇ!」

 乱暴な声と、女性の悲鳴のような叫び声が聞こえてきたのだった。


 それが姫騎士「リル」との出会いだった。

 

 

今回は、


携帯救急品セット:ちょっとしたレーションや医薬品が入っています

小型観測ドローン:近くを観測できます


この2点が出てきます。


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