時たま話題に上がる『転生チート』を、『アプリゲーム』を題材にして掌編小説として書いてみた。
……つまり、転生チートって、こういうことですよね?
(↑あらすじと同じこと書くな)
ジャンルは良くわからなかったので『その他』にしました。
げーんだい、現代の事でした。
あるところに、ひとつの無料アプリゲームがありました。
前評判がとても良いこのゲームは、配信開始と同時に次々にダウンロードが行われました。そして、その噂に違わぬ重厚な世界観と濃密なストーリーでプレイしたユーザー達を瞬く間に魅了していきます。
あまりの面白さに、無課金勢はゲージが回復するまでの合間、勉強や家事をしてゲームをプレイしたい気持ちを必死にそらし、重課金勢は、使い切ったゲージをその財力をいかして、回復させるような光景が見られるようになりました。
評判は評判を呼び、一年後には『無料アプリゲーム』ジャンルの売上一位を獲得します。
その効果もあってか、このアプリゲームは加速度的にダウンロードされていくのでした。
しかし、時を重ね、新規加入者が増えてくると、無料アプリゲームにありがちな、こんなコメントが増えて来ます。
「どうせ、このアプリも重課金者が勝つ仕様」
「弱いモノいじめして楽しいかね? この重課金勢が」
「貧乏人には死ねってか」
「重課金勢に勝った時、マジかいかん〜〜〜♪♪」
「言わせてもらいますケドネ、課金しても勝率上がりませんよ。このゲーム」
「労働の対価で課金してなんの問題がある。いちゃもんつけんじゃねえよ」
「無課金勢の言い分、的を射てなくてマジウケる草w」
「かねを湯水のように使って弱い者いじめするの、超かいかん〜〜♪♪」
このようなコメントが散見すると、対応に追われるのがゲームを制作した運営陣ですが、それでもログインボーナスを充実させたり、課金の割合に応じて、レアアイテムの排出率を上げたりなどして、ゲームが中だるみしないよう、苦慮して来ました。
そのかいあってか、このアプリゲームは配信開始以来、ほとんどの離脱者を出す事もなく、四年連続で『無料アプリゲーム』の総合ジャンル一位を獲得する、という快挙を成し遂げました。
その後も、このアプリゲームは順調に売上を伸ばし、五年目には全国にその名は知らぬ者はいない、というほどにダウンロードが行われ、その年の総合ジャンル一位を早い段階で不動のものにしました。
その事に喜びを爆発させたのは、ゲームを制作した運営陣でした。
運営陣は「五年連続で一位を取れたのは、ひとえに、このゲームを応援してくれているユーザーがいてくれたから」と言い、日頃の感謝とお礼を込めて、全ユーザーにこんなメッセージを贈りました。
『いつもこのゲームをプレイして頂き、誠にありがとうございます! 当ゲームは、みなさまの応援により、五年連続総合ジャンル一位という快挙を成し遂げる事が出来ました。そこで、来たる六周年に向け、みなさまに日頃の感謝を込めました『祝! 五年連続総合ジャンル一位!! ログインボーナス五年分大盤振る舞い!! 祭り』を開催いたします』
これを読んだ無課金勢と重課金勢は大変喜びました。なぜなら、一日一回もらっていたログインボーナスが、六周年を迎えたその月に一度ログインするだけで五年分も頂けてしまうのですから。胸踊らないはずがありません。
無課金勢と重課金勢はみな、お祭り開始日である六周年目を心待ちにしようとした……その時です。
メッセージの最後に、とても小さい字で、こんな注意事項が書かれている事に気づきました。
『なお、五年分のログインボーナスをもらえるのは、新規登録者に限ります』
この一文を目にした無課金勢と重課金勢は、住む場所は違えど、一斉に、同じ言葉を口にしました。
「これってチートじゃね?」
「これってチートじゃね?」
……おしまい。
もし、このお話を読んで、なにか感じて頂けたら、純粋な評価と感想をお願いします。
ただ、今は作者の脳みそがおかしいので、返信には天文学的な時間を要しますが……