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僕が僕であるために-4

 千津子が朝学校に着くと、すでに学校に来ていた連中が頭を突き合わせて何かを話していた。その中に優子がいたので、挨拶して、何かあったの、と訊くと、優子は、自分も今聞いたばかりなんだけども、と前置きして教えてくれた。


 サッカー部の小池は、昨日の夜、電話で聞いたことを確かめに早くから学校に来ていた。そして、やはりいつもより早く登校していた顧問の吉田先生に確かめた話を、教室で友達と話しているところ、次第に人が集まってしまった。その話は、昨日の夕方サッカー部が練習で学校の周りをランニングしているときのことから始まった。

 いつものように南門を出て、城仙公園の沿道を走り抜け、公園の南西側の石碑の前まで行って戻ってきて、野球部グラウンドの外野沿いの土手を走ってきたところだった。そこに、四人の学生が立っていた。派手な格好の連中だと思いながら通りすぎると、いきなりキャプテンの城山の名前を叫んだ。城山は立ち止まった、といっても、嫌々というか渋々というか、そんな態度だった。息を整えながら、四人の不良たちの方へ歩いていくと、大声で不良の一人が城山に話し掛けた。

「おい、城山ァ。こないだの礼をしたいんでなァ、クラブが終わったらそこの林に来いやァ」

城山は自分を抑えながら応えた。

「なんで、行かなきゃならないんだ」

「忘れたのかァ。オレに恥ィかかせやがって、そのままで済むと思ってんのかァ?ン?」

「まるで、チンピラじゃないか。やめろよ、そんな言い方。昔はおまえも…」

「うるせえ。おまえなんかに、昔話してもらういわれなんかないんだよ!」

「昔話は、常田富士夫で充分ってか」

 連中の笑い声の中に城山は気押されつつあった。火浦が城山の後ろに付き、睨みながら言った。

「お前ら、四人で、城山をリンチにかけようってのか?そういうつもりなら、先生に言いつけるぞ。警察でもいいんだぞ」

「ハッハッハッ!センセエ、だってよ」

「そんなセコイことはしねえよ。一人だ。一人で充分だ、こっちは。そっちは何人でもいいぞ、なんだったらクラブ全員でもいいんだぜ。その時は、どっちがリンチにかけたのか、わからなくなるが、な!」

火浦が突っかかろうとすると、城山は火浦を抑えた。

「わかった、後で行く。今はクラブ途中だから、これ以上、時間を取られるわけにいかないからな」

「だけど、城山。絶対、こいつらリンチにかけるつもりだぞ」

「シネエヨ!そんなセコイことは!一人だ。一人で、やってやる」

「言っとくけどな、決闘罪ってのも、あるんだぜ。正々堂々なんていって一対一でケンカしても、罪になるんだぜ」

「うるせえな、カスは黙ってろ!城山ァ、確かに聞いたぜ、来るってな。いいな、約束だァ。約束破ったらどうなるかなァ。エ?オレは、しつこいぜ、いいな」

 不良たちはそう言い残して立ち去って行った。後に残されたサッカー部の連中はみんな不安を抑えきれないまま、城山を見た。火浦がその気配を察して言った。

「おい、やっぱり、先生に言おうぜ。あいつら、ヤバイよ」

「先輩、その方がいいよ、絶対」

「いや、いいよ」

「ヤバイって、だめだよ」

「まぁまぁ、とにかく学校に戻ろう」

明るく振る舞っていたが、虚勢にしか見えなかった。



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