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僕が僕であるために-12


 保釈を言い渡された大島は、信じられない気分のまま連れ出された。そして、変に明るい部屋に入ると一人の女性が立っていた。軽く手を振りながら笑顔で迎えてくれたその女性が、身元引受人と言われても何もわからないまま、警察を出た。その女性は、大島の背を大きく叩くと、

「しゃきっとしなさい!完全無罪にしてもらったんだから」と言った。

大島は腑に落ちない気分のまま、はぁ、と応えた。

「元気ないわね、あなた、『戦鬼』でしょ」

「どうして、そのことを」

「あたしの耳には、入ってるのよ。そういう噂は」

「あなたは、誰ですか」

「あたし?あたしは、緑川由起子。って言っても、知らないわね。でも、二代目ファントムレディと言えば、わかるかしら」

「あ、あんたが」

「ごめんね、こんなオバサンで」

「いやぁ、きれいな女性なんで、びっくりしちゃった。もっと、いかつい人かと思ってたから」

「何よ、上手したって、ダメよ」

「ハハ」

「元気になったわね」

「…でも、現行犯だろ。前科はないけど、ブラックリストにも載ってるはずだから。少年院行きかと思ったけど」

「そのつもりだったのね」

「ん。まぁ」

「あいつら、あなたが叩きのめした連中ね、彼らに前科があったの。それで、優子ちゃんたちと口裏合わして、優子ちゃんたちが苛められた仕返しで、暴走したってことにして、保釈してもらったの。あそこの署には、知ってる人もいたから」

「でも、どうして」

「あなたが、無茶してるから」

「…それは、仕方ないんだ。ま、そう思ってきただけなんだけどね」

「わかってるの?」

「どんな理由があっても、人を殴っちゃいけないってことだろ」

「フフ、違うわ。あなたは、独りで生きようとしているっていうこと」

「え?」

「誰とも付き合わない。お金を介してしか人と付き合わない。そうして、つっぱって生きようとしている。それはね、辛いことなのよ」

「あんた、何者だ」

「ファントムレディよ。元、不良、ってとこね」

「ふーん、ほんとに?」

「そうよ、今でもあんたくらいには、負けないつもりだけど」

「うん。降参」

「仙貴くん。あなたの身元引受人ついでに、あなたの保護者にならせてくれない」

「はい?」

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